はぴテク相談室:社会に溶け込めないなぁ、と思いつつも、幸福度が高い人は、犬や猫に心のうちを打ち明
最近、なんとなく社会に馴染めていないなぁって感じることが多くて…。でも不思議なことに、落ち込んでいるわけでもなくて。うちの猫と話したりしていると、なんか落ち着くんですよね。こういうのって、ただの現実逃避なのかな、と少し気になってしまって。
それ、とても興味深い状態ですね。実は麻布大学の研究(2025年)で、まさにそういう方のことが調べられているんです。「社会に馴染めていないなぁ」という感覚を持ちながらも、幸福度が高い人たちの特徴を調べた研究なんですよ。
えっ、社会に馴染めてないのに幸福度が高い人って、どういうことなんですか?
研究では「文化的離反」という言葉を使っています。これは、周りの多数派の価値観と自分がずれているなぁ、なんとなく馴染めていないなぁ、という感覚のことです。普通はこの感覚が強いと幸福度が下がりやすいんですが、ペットを飼っている人の中には、この感覚が強くても幸福度が高い人がいた。その人たちの特徴を調べたのがこの研究です。
その幸福度が高い人たちって、ペットとどんな関係を持っていたんですか?
大きな特徴のひとつが、「ペットに大切なことを話したり、心のうちを打ち明けたりする」という関係性でした。あなたが猫に話しかけているのと、まさに似た状態ですね。研究ではこれを「依存的愛着」と呼んでいます。
依存的愛着…なんか、あまりいい響きじゃないですね(笑)。それって問題のあることなんですか?
鋭いところに気づきましたね!実は元々の愛着の研究では、この「依存的愛着」は精神的健康の低さと結びついている、という知見があるんです。でも今回の研究では、「社会に馴染めていないなぁ」という状態にある人においては、この依存的愛着が幸福感につながっていた、という結果だったんです。研究者たちも、こういう状態の人にとっては、ちょっとした依存的なつながりが大事な役割を果たしているのかもしれない、と考察しています。
なるほど!じゃあ猫に話しかけることって、私にとって悪いことじゃないかもしれないってことですね。他にはどんな特徴がありましたか?
もうひとつ意外な特徴があって、「人間中心主義的見解」のスコアが高かったんです。これは、野良動物の管理や、ペットの繁殖について人間側の都合をある程度認める考え方のことです。
えっ、社会に馴染めていない人なのに、人間中心主義?それはなんか意外ですね…。
研究者たちも同じように驚いていました(笑)。一般的には人間中心主義的な見方は幸福度を下げる傾向があるとされているので。研究の解釈では、この人たちはペットをあくまで「家族」として人間的に扱っていて、他の動物とは違う特別な存在として見ているのではないか、と考えられています。つまり、ペットを自分の大切な人間関係の延長として捉えているイメージですね。
確かに、うちの猫のことは家族そのものだと思っています。他の動物とは全然違う感覚で。なんか腑に落ちます。あと「環境・生態系への関心」も高かったとのことでしたが、それはどういうことですか?
ペットとの深いつながりが、より広い自然や生き物への関心にも広がっている状態、というイメージです。ペットを大切にする気持ちが、外の世界への興味関心にもつながっているのかもしれません。ちなみにこの研究は思春期の若者を対象にした研究なので、すべての年代に同じことが言えるかどうかは注意が必要です。
なんか、社会に馴染めていない自分を責めなくてもいいかなって思えてきました。猫に話しかけていることも、ただの現実逃避じゃないかもしれないと感じられて、少し楽になりました。
それは良かったです。もちろんこの研究は「こうすれば幸せになれる」という因果関係を証明したものではなく、幸福度が高い人にこういう傾向があった、という関連を調べたものです。でも、あなたが猫との関係を大切にしている感覚は、研究の知見ともちゃんと重なっていると思いますよ。馴染めない感覚があっても、ペットとの深いつながりを持ちながら自分なりに豊かに過ごしている人たちがいる、というのは心強い発見ですよね。
■ 今日のまとめ
- 「社会に馴染めていないなぁ」という感覚があっても、犬や猫に心のうちを打ち明けるような深いつながりを持っている人は、幸福度が高い傾向があることが示されました。
- ペットへの「依存的愛着」(大切なことを打ち明けたり親友のように感じたりすること)は、一般的には精神的健康の低さと関連するとされていますが、社会的な馴染めなさを感じている人においては幸福感と結びついていた点が、この研究のユニークな発見です。
- ペットを「家族・人間的な存在」として捉える見方や、環境・生態系への関心の高さも、この状態で幸福度が高い人の特徴として挙げられています。
■ 出典・注意事項
- 【出典】子安ひかり・小笠原さくら・菊水健史・村井俊哉・西田淳志・永澤美保「Study on Adolescents' Attitudes and Attachment Toward Companion Animals: Mitigating the Negative Effects of Cultural Estrangement on Well-Being」Frontiers in Psychology, 2025. DOI: https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1552127 麻布大学プレスリリース 2025/4/15
- 【注意事項①:相関研究】本研究は横断的な調査データに基づくものであり、「ペットに話しかけるから幸福度が上がる」という因果関係を示したものではありません。幸福度が高い人にこうした傾向が見られた、という関連性の研究です。
- 【注意事項②:対象集団の限界】この研究の対象は思春期(青少年)のペット飼育者であり、成人や高齢者など他の年代への一般化には慎重さが必要です。
- 【注意事項③:尺度について】使用された愛着尺度(金子2018)における「依存的愛着」と「基本的愛着」の区分、および動物に対する態度の質問票(ケラート1974、石田1991)は、それぞれ独自の定義に基づいています。日常的な言葉の意味とはニュアンスが異なる場合があります。
研究自体の紹介はこちら😊
社会に溶け込めないなぁ、と思いつつも、幸福度が高い人は、犬や猫に心のうちを打ち明
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-04-15-1744754404/