はぴテク相談室:ワークライフ・コンフリクトと幸福度は、スパイラル
最近、仕事と家庭の両立がうまくいかなくて、なんだかずっとモヤモヤしています。仕事が忙しくて家族との時間が取れないし、かといって家に帰っても仕事のことが頭から離れなくて…。これってどうにかなるものでしょうか?
それはしんどいですね。仕事と家庭の間で板挟みになっているような感覚、「ワークライフ・コンフリクト」と呼ばれる状態ですね。実はこれ、幸福度との間に深い関係があることが研究で明らかになっています。少し聞いてみますか?
はい、ぜひ聞かせてください。どんな研究なんですか?
オーストラリアで約1万1千人の働く大人を21年分にわたって追跡した大規模な調査があります。その結果がなかなか興味深くて、「ワークライフ・コンフリクトが高まると翌年の幸福度が下がり、幸福度が下がると翌年またワークライフ・コンフリクトが高まる」という、負のスパイラルの傾向が見られたんです。
負のスパイラル…。つまり、どちらかが悪化すると、もう一方も引きずられてしまうということですか?
そうなんです。しかも2つのパターンがあって、ひとつは「時間的なつながり」。今年コンフリクトが高いと来年の幸福度が下がる、という時間差のある影響です。もうひとつは「同時のつながり」で、コンフリクトが高い年には、その同じ年に幸福度も低い、という傾向も見られました。短期でも長期でも関連しているんですね。
じゃあ、私が今モヤモヤしているのも、このスパイラルに入りかけているということでしょうか…?
可能性としてはありえますね。ただ、これはあくまで「傾向」の話で、すべての人が必ずそうなるわけではありません。大切なのは、「コンフリクトと幸福度はお互いに影響し合っている」と知っておくことだと思います。どちらか一方だけを何とかしようとするより、両方に目を向けることが大事になってきます。
両方に目を向ける、というのはどういうことでしょう?
たとえば、仕事の忙しさだけを減らそうとするのではなく、日常の小さな幸福度を上げることも、スパイラルを断ち切るひとつの入り口になりえます。幸福度が少し上がると、コンフリクトの感じ方も変わってくるかもしれない、という研究の示唆がありますので。
確かに、余裕がある時は仕事のことがそんなに気にならなかったりしますよね。逆に疲れていると、ちょっとしたことでもイライラしてしまいます。
まさにそれが研究で見えてきていることに近いですね。余裕があるかどうか、つまり主観的な幸福感の状態が、仕事と家庭の板挟み感にも影響してくる。自分の状態を整えることが、めぐりめぐって職場や家庭での感じ方にも関わってくるんです。
ちょっと気になったんですが、「旦那さんが家にいる時間が長いと家庭の幸福度が下がる」という話も聞いたことがあって…。家にいれば解決するわけじゃないんですかね?
鋭いところを突きましたね。単純に「家にいる時間を増やせばOK」とは言い切れないのが面白いところで、そこには「パートナー自身が幸せかどうか」も関わってきます。本人の幸福度が高い状態で一緒にいることが、家庭のコンフリクト軽減につながりやすいという見方もあります。時間の量だけでなく、自分自身の状態も大事なんですね。
なるほど、まず自分の幸福度を意識してみることが大事なんですね。今日は気持ちが少し整理できました。ありがとうございます!
お役に立てて良かったです。スパイラルは一方向には進みますが、逆にどちらかが好転すると良い方向にも回り始める可能性がある、ということでもあります。小さなところから自分の幸福度を意識してみてくださいね。
■ 今日のまとめ
- ワークライフ・コンフリクト(仕事と家庭の板挟み感)が高まると翌年の幸福度が下がり、幸福度が下がるとさらにコンフリクトが高まるという、負のスパイラルの傾向がオーストラリアの大規模調査で見られました。
- この関連は短期(同じ年)でも長期(翌年以降)でも見られており、コンフリクトと幸福度はお互いに影響し合っています。
- 仕事の忙しさを減らすことだけでなく、自分自身の幸福度を高めることも、スパイラルを好転させる入り口になりえます。
■ 出典・注意事項
- 出典:Yu, G. B., Joshanloo, M., & Sirgy, M. J. (2025). A Longitudinal Multilevel Analysis of the Reciprocal Associations Between Work-Life Conflict and Subjective Wellbeing. Applied Research in Quality of Life. https://link.springer.com/article/10.1007/s11482-025-10442-0
- 注意事項①:本研究はオーストラリアの成人労働者(HILDA調査)を対象としたものであり、他の国や文化圏にそのまま当てはまるとは限りません。
- 注意事項②:研究で示されているのはワークライフ・コンフリクトと幸福度の間の「関連性(相関)」であり、一方が直接の原因となって他方を引き起こすという因果関係が証明されたわけではありません。
- 注意事項③:個人差があり、すべての人にこのスパイラルが生じるわけではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
ワークライフ・コンフリクトと幸福度は、スパイラル
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-04-13-1744581603/