はぴテク相談室:Kawaii-ness(カワイイネス)と幸せと脳科学
最近、なんとなく毎日が単調で、気持ちが上がらない日が続いています。仕事はそれなりにこなせてるんですが、なんか楽しさが足りないというか…。何かアドバイスもらえますか?
それは少しもったいない毎日を過ごしているかもしれませんね。少し意外な話をしてもいいですか?「かわいい」に関する最新の脳科学研究が、そのヒントになるかもしれないんです。
えっ、「かわいい」ですか?なんか自分には関係ない話みたいで…。私、30代の会社員の男性なんですが。
実はそれ、まさに今日お伝えしたいポイントなんです!京都大学などの研究チームが2025年に発表した研究によると、男性・高齢者・知識労働者・高収入の方ほど、「かわいい」への反応性が低い傾向があると分かったんです。そしてその「かわいいへの反応性」が低いと、幸福感とも関連が薄くなる、という結果が出ているんですよ。
へぇ、そうなんですか。でも「かわいいへの反応性」って具体的にどういうことですか?
研究では「KRI(Kawaii Reactivity Index)」という指標を使っています。簡単にいうと、かわいいものに対してどれだけ反応できるか、という感受性みたいなものです。これが6つの側面に分かれていて、たとえば「自分をかわいいと思う」「かわいいと思われたい」という自分に向けたものから、「赤ちゃんや小動物を見るのが好き」「ギャップにかわいさを感じる」という他の人やものへの反応まで、幅広く含まれているんです。
なるほど。自分をかわいく見せるとかじゃなくても良いんですね。動物とか見てかわいいな〜って思うのもアリなら、なんかハードルが下がる気がします。
そうなんです!KRIは6つの要素があって、「かわいい!という声がしたら振り向いてしまう」「かわいい食べ物を見るとテンションが上がる」「ギャップにかわいさを感じる」「けなげな人に魅力を感じる」…こういった日常の小さな反応も全部含まれます。どれか一つでも「あ、これなら自分にもあるかも」と思えるものはありましたか?
「けなげな人に魅力を感じる」とか「ギャップにかわいいと感じる」なら分かる気がします!映画とか見てて、ふとそういう場面でグッとくることありますよ。
それ、まさにKRIの「他者への快感情」という要素です!そういう感受性がちゃんとあるということですね。研究では、このかわいさへの反応性(KRI)が高いと、主観的幸福感(どれだけ幸せを感じているか)と関連があり、さらにその幸福感が、脳内の情報処理や感情調節の質を示す指標(FA-BHQ)とも関連している、という結果が出ています。もちろんこれは相関の話なので、「かわいいを感じれば必ず幸せになる」と断言はできませんが、興味深い関係性ですよね。
脳の感情調節にまで関係してるって、けっこうビックリです。でも確かに、かわいいものを見てほっこりした後って、なんか気持ちが軽くなる感じはします。
その感覚、研究結果と一致しているかもしれません。研究では、幸福感と関係している脳の領域として「大脳辺縁系-視床皮質経路」が挙げられていました。これは感情を調節する働きに関わる部分です。ただ、この研究は182人のデータを使ったもので、まだ初めての試みという段階ですし、あくまで関連が見られたという話です。因果関係(かわいいを感じるから幸せになる、とは言い切れない)には注意が必要です。
分かりました。じゃあ、毎日の生活の中でKRIを意識するとしたら、何か具体的にできることはありますか?
研究内容から考えると、まず「かわいいアンテナ」を日常に立ててみることが一つですね。たとえばデスクに好きなキャラクターのグッズを置く、通勤中に小動物の動画を一本見る、同僚のちょっとしたけなげな頑張りに「かわいいな」と心の中で思う…これは「身近なところにかわいいものを置く」「他者のかわいさを見出す」というKRIの項目そのものです。特に「どんな人でもかわいいところを見出せる」という感覚を鍛えると、人間関係も少し変わってくるかもしれません。
なんか、意識を少し変えるだけで毎日がちょっと違って見えてきそうですね。「かわいいオジサン」を目指す、というのも悪くないかもしれないです(笑)。
いいですね(笑)!研究の著者たちもまさに「男性や知識労働者はかわいいを避けがちで、もったいない」と言っているんですよ。自分に無理に「かわいくなれ」じゃなくて、周りのものや人に対して「かわいいな」と感じる感受性を少しずつ開いていく、それだけでいいんです。小さな実験として試してみてください。
■ 今日のまとめ
- 「かわいいへの反応性(KRI)」は、自分をかわいく見せることだけでなく、動物・他者のギャップ・けなげさなど幅広い対象へのポジティブな感受性を含む6つの要素から構成されています。
- 男性・高齢者・知識労働者・高収入者はKRIが低い傾向があり、それが主観的幸福感との関連の低さにつながっている可能性が研究で示されています(ただし相関であり因果ではありません)。
- 日常の中で「かわいいアンテナ」を立てる小さな工夫—好きなものをデスクに置く、他者のけなげさに気づくなど—がKRIを意識する第一歩になり得ます。
■ 出典・注意事項
- 出典:Keisuke Kokubun, Kiyotaka Nemoto, Taiko Otsuka, Maya Okamoto, Yuko Shiga, Yuya Makizato, Aya Komaki, Yoshinori Yamakawa, 'Kawaii-Ness Mediates Between Demographic Variables, Happiness, and Brain Conditions', Brain Sciences, 2025年3月9日, https://www.mdpi.com/2076-3425/15/3/289
- 注意事項①:本研究は相関研究であり、「かわいいへの反応性が高いから幸福度が上がる」という因果関係を証明したものではありません。
- 注意事項②:対象は182人の健康な成人であり、サンプルサイズが限られています。また日本社会を背景とした研究であるため、他の文化・集団への一般化には慎重さが必要です。
- 注意事項③:脳の指標(FA-BHQ)との関連も相関であり、かわいさへの反応が直接脳を変えると結論づけるものではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
Kawaii-ness(カワイイネス)と幸せと脳科学
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-03-13-1741904174/