はぴテク相談室:生物多様性のある自然の中にいると、私たちは精神的に良い気分になる
最近なんだか気持ちが沈みがちで、でも特に何か大きな問題があるわけでもなくて…。日々の生活の中でちょっとでも気分が上向きになる方法ってありますか?
それは辛いですね。大きな理由がないのに気分が上がらないって、逆に「なぜだろう」って悩んでしまいますよね。実は最近、日常の中で気分が良くなることに関係した面白い研究があるんですよ。自然と精神的な健康についての話なんですが、少し聞いてみますか?
はい、ぜひ聞かせてください!自然と気分って関係あるんですか?
あるんです!キングス・カレッジ・ロンドンのライアン・ハムード先生らの研究で、スマートフォンのアプリを使って世界中の約2,000人に「今どこにいて、どんな気分か」をリアルタイムで記録してもらったんです。すると、鳥や木や植物といった自然のものが見えたり聞こえたりする場所にいる人は、精神的に健康な状態でいられることがわかりました。しかも、その効果はなんと最大8時間も続いたんですよ。
8時間も!それはすごいですね。公園を少し散歩するだけでもそんなに効果があるんですか?
そうなんです。短時間でも自然に触れるだけで、その日の気分に関係してくるという結果でした。しかもこれ、年齢・性別・職業・学歴に関わらず見られた傾向だったので、多くの人に当てはまりそうだなと思えるところが興味深いですよね。
じゃあ、緑のある公園ならどこでも同じ効果があるってことですか?
ここがさらに面白いポイントなんです!実は「ただ緑があればいい」ではなかったんですよ。研究で分かったのは、自然の種類が多様であるほど、気分が良くなる度合いが大きいということでした。たとえば、木だけがある場所より、木・草・花・鳥・水…といろんな自然要素が混在している場所の方が、精神的な健康スコアがさらに高かったんです。
多様性って大事なんですね。具体的にどのくらい違うんですか?
数字で言うと、アヒルや小川など、その場所にある自然の要素が1種類増えるごとに、精神的健康のスコアが平均で約0.91ポイント上がる(50点スケール)という関連が見られました。小さいように聞こえるかもしれませんが、いろんな自然要素が組み合わさっていくと積み重なっていく感じですね。また、自然環境が気分に与える影響のうち約23%は、この「自然の多様性」によって説明できるという分析結果も出ていました。
なるほど〜。じゃあ、整備された芝生の公園より、ちょっとごちゃごちゃした感じの自然豊かな場所の方がいいんですか?
その理解はとても的確です!研究チームも「刈り込まれた芝生だけの公園より、いろんな生き物や植物が混在する多様な空間の方が良い」という趣旨のことを述べています。いわゆる「生物多様性」が高い場所ですね。日本なら、雑木林とか、野鳥もいて草も花も生えているような里山的な場所が近いかもしれません。
確かに、きれいに整備された公園より、ちょっと野生感のある場所の方が気持ちいい気はしていました!でも、毎日森に行けるわけじゃないですよね…。
そうですよね。ただ、この研究は「毎日長時間いないといけない」とは言っていないんです。日常の中でちょっと自然に触れるだけでも関連が見られた、というのがポイントでした。たとえば通勤路に木や鳥が見える場所を意識して歩いてみるとか、週末に近くの自然が多め公園に出かけてみるとか、そういった小さな積み重ねが日々の気分と関係してくるかもしれません。
それなら続けやすそうです!なんか、意識して自然を「見る」「聞く」ようにするだけでも違うんですね。
おっしゃる通り!実はこの研究、スマートフォンアプリで「鳥が見えましたか?水が聞こえましたか?」と記録させることで、意識的に自然に気づく習慣を作っていたんですよね。「気づく」こと自体がポイントかもしれません。もちろん、この研究は観察研究なので「自然が気分を直接良くする」と断言はできないのですが、関連として見ると十分に興味深いですよね。ぜひ、次のお散歩のとき、周りの鳥の声や木の種類をちょっと意識してみてください!
■ 今日のまとめ
- 鳥・木・植物など自然の要素が見えたり聞こえたりする環境にいることは、精神的な健康と関連しており、その効果は最大8時間続くことが観察されました。
- ただ「緑があればいい」ではなく、自然の種類が多様であるほど(生物多様性が高いほど)、気分への関連がさらに大きくなることが分かりました。
- 毎日長時間でなくても、日常の中でちょっと自然に「気づく」「触れる」ことが積み重なることで、日々の気分に関係してくる可能性があります。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Ryan Hammoud et al., 'Smartphone-based ecological momentary assessment reveals an incremental association between natural diversity and mental wellbeing', Scientific Reports, 2024. https://www.nature.com/articles/s41598-024-55940-7
- 【出典②】Greater Good Magazine, 'The Top 10 Insights from the Science of a Meaningful Life in 2024', 2024/12/19. https://greatergood.berkeley.edu/article/item/the_top_10_insights_from_the_science_of_a_meaningful_life_in_2024
- 【注意①】これは観察研究(スマートフォンのアプリを使ったリアルタイム調査)であり、自然の多様性と精神的健康の『関連』が見られたものです。自然が精神的健康を直接『引き起こす』という因果関係が証明されたわけではありません。
- 【注意②】参加者はスマートフォンユーザーかつ高学歴者が多い自己選択的なサンプルであるため、すべての人に同様に当てはまるとは限りません。
研究自体の紹介はこちら😊
生物多様性のある自然の中にいると、私たちは精神的に良い気分になる
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-01-05-1736115002/