自然とのつながりとウェルビーイング
75カ国を対象とした多国籍調査からの知見
自然とのつながりとウェルビーイングについて、
75カ国もの大規模調査から分かったこと😍という最新研究。
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①自然とのつながりは、ウェルビーイングに関わる6つの指標と関係していた
自然とのつながりがある人は、↓の6つも高い😍
・人生の目的(purpose in life):自分の人生に方向性や意味を感じているか
・希望(hope):未来に対して前向きな期待を持てるか
・人生満足度(life satisfaction):人生全体に満足しているか
・レジリエントな対処(resilient coping):困難をポジティブに乗り越えようとする力
・楽観主義(optimism):将来を前向きに見通す傾向
・マインドフルネス(mindfulness):今この瞬間に注意を向け、気づきを持つ傾向
※西洋だけでなく、世界のほとんどの国で。
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②国による、自然とのつながりと、ウェルビーイングの関係性
・集団主義な国ほど、自然とのつながりが幸せにつながる
・格差が大きい国ほど、自然とのつながりが幸せにつながる(IHDI)
・自然が豊かでない国ほど、自然とのつながりが幸せやレジリエンスを高める(EPI)
(全部因果でなく、相関ですが。)
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自然とのつながりとウェルビーイング:75カ国を対象とした多国籍調査からの知見
Nature connectedness and well-being: Evidence from a multi-national investigation across 75 countries
Journal of Environmental Psychology,2026/3
Lea Barbett(ファーン大学) et al.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272494425003780?via%3Dihub
自然とのつながりは、人が自然と持つ関係の情動的側面と認知的側面を包含する、広く用いられている心理学的概念であり、環境心理学の文献において中心的な関心変数となっています。この関心は、自然とのつながりが幸福感の向上に及ぼす効果によって部分的に動機づけられています。しかし、自然とのつながりと幸福感の関連性に関する包括的な国際的評価は依然として不足しています。本登録報告書では、75か国(N = 36,803)を対象に、自然とのつながりの個人差が幸福感の複数の側面(人生の目的、希望、マインドフルネス、生活満足度、楽観主義など)とどのように関連しているかを検証するために、以前に収集されたデータの二次分析を提案します。国別および国間分析(線形回帰 および混合回帰)の結果、自然とのつながりは幸福感の強力な正の予測因子であることが示唆されました。私たちの研究結果は、特に自然や社会資源へのアクセスが低いコミュニティにおいて、世界的に幸福感にとって自然とのつながりが重要であることを強調しています。
【背景】
■ 自然とのつながり研究の背景:本研究を支える先行知見の整理
■ そもそも「自然とのつながり」とは何か
自然とのつながり(nature connectedness)とは、人が自然に対して持つ感情的・認知的な絆を指す心理学的概念です。単に「自然の中にいる」「自然に接触する」という行動的な事実とは異なり、自分のアイデンティティと自然が一体化しているような内面的な感覚を指します。
▼ 主な操作化(どう測るか)の軸
・自己概念への自然の取り込み:自然を自分自身の一部として認識するか(Schultz, 2002)
・自然への愛着と感謝:自然を愛し、美しさを感じているか(Nisbet & Zelenski, 2013)
・自然との情緒的なつながり:自然と一体であるという感覚(Mayer & Frantz, 2004)
これらの概念に共通するのは、「自然との関係が意味ある絆として内面化されている」という点です(Unsworth et al., 2016)。
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■ 自然とのつながりとウェルビーイングの関係:メタ分析による知見
複数の研究を統計的にまとめたメタ分析(meta-analysis)が複数実施されており、自然とのつながりとウェルビーイングの正の関係は繰り返し確認されています。
▼ 幸福感との関連
Capaldi et al.(2014)のメタ分析は、自然とのつながりと幸福感の関係を包括的に検討した代表的な研究です。快楽的ウェルビーイング(hedonic well-being:楽しさや満足感などの「気持ちよく生きる」側面)・充実的ウェルビーイング(eudaimonic well-being:目的・成長・意味などの「よく生きる」側面)の両方と一貫した正の関連があることが示されました。
▼ ユーダイモニックなウェルビーイングとの関連
Pritchard et al.(2020)のメタ分析では、特にユーダイモニックなウェルビーイングとの関連が重点的に分析され、人生の目的感や意味との強い結びつきが示されました。
▼ 健康・ウェルビーイング全般との関連
Barragan-Jason et al.(2023)は、自然とのつながりに関するメタ分析を複数まとめたシステマティックレビューを行い、自然との心理的・物理的なつながりが人間のウェルビーイングと自然保護行動の両方を促進することを確認しました。
Wu & Jones(2022)もメタ分析を通じて、自然とのつながりとウェルビーイングの正の関係が複数の研究で一貫して示されていることを報告しています。
▼ 子どもへの効果
Arola et al.(2023)は子どもを対象とした系統的文献レビューを行い、自然とのつながりが成人だけでなく子どものウェルビーイングや健康にも正の影響をもたらすことを示しています。
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■ 自然とのつながりは「接触」だけでは説明できない
重要な知見として、Martin et al.(2020)は、自然とのつながりとウェルビーイングの正の関係が、自然への接触頻度や社会人口統計学的要因(年齢・性別・収入など)を統計的に除外した後でも有意に残ることを示しました。
これは、感情的な自然とのつながりが、単に「外に出て自然に触れる」という行動とは独立して、ウェルビーイングに対して独自の役割を果たすことを意味します。
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■ 因果関係についての根拠:介入研究からの知見
多くの先行研究は相関研究(correlational research)であり、「つながりが高いと幸福感も高い」という関係を示すにとどまります。しかし因果的な方向性(高い自然とのつながりが、ウェルビーイングを高める)を支持するエビデンスも蓄積されています。
▼ 介入によって自然とのつながりは高められるか
Sheffield et al.(2022)は、自然とのつながりを改善しようとする介入研究のメタ分析を行い、様々な介入が自然とのつながりを高めることに成功していることを確認しました。さらに、ウェルビーイング指標を含む介入では、ウェルビーイングも一貫して改善されることが示されています。
具体的な介入研究として、Choe et al.(2020)は自然環境を模した空間でのマインドフルネスプログラムが自然とのつながりとウェルビーイングを向上させることを示し、McEwan et al.(2021)はスマートフォンアプリを通じた自然との関わりが同様の効果をもたらす可能性を示しました。
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■ マインドフルネスと自然とのつながりの相互関係
マインドフルネス(今この瞬間に意識を向け、評価せずに気づく心の態度)と自然とのつながりは、相互に強め合う関係にあると考えられています。
▼ 相関的な関係
Schutte & Malouff(2018)のメタ分析は、マインドフルネスをパーソナリティ特性として測定した場合に、自然とのつながりと有意で正の相関があることを示しました。
▼ 介入研究からの根拠
Barragan-Jason et al.(2022)は、マインドフルネス操作を用いた介入が自然とのつながりを高めることに特に効果的であることを報告しています。逆に自然とのつながりを高める介入がマインドフルネスを向上させることも確認されており(Aspy & Proeve, 2017; Hamann & Ivtzan, 2017)、双方向性が示唆されています。
Nisbet et al.(2019)は、自然の中でのマインドフルな関与が自然とのつながりと気分の両方を高めることを実験的に示しました。
▼ 制限された自然体験における可能性
都市部に住む人々など、自然へのアクセスが限られている状況においても、マインドフルな関与が自然とのつながりやウェルビーイングを最大化する経路となり得ることが示唆されています(Macaulay et al., 2022)。
【研究内容】
■ 自然とのつながりとウェルビーイング:研究の内容を詳しく解説(Barbett et al., 2026)
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■ 研究デザインの概要
本研究は「事前登録報告(registered report)」という形式で実施されました。これは、データを分析する前に仮説・方法・分析計画を公開しておくことで、結果に合わせて後から分析を変えるという恣意的な操作を防ぐ、科学的信頼性の高い研究形式です。
また既存データを再分析する「二次分析(secondary analysis)」の手法をとっています。元のデータはCOVID-19が若者に与えた影響を調べる目的で収集されたもので(C19コンソーシアム、2020〜2022年)、本研究の分析はその後に新たに設計・実施されました。
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■ 参加者
▼ 規模と範囲
75カ国、合計36,803名が分析対象となりました。当初76カ国が計画されていましたが、南アフリカでは自然とのつながりの測定データが欠損していたため除外されました。
▼ サンプリングの方法
各国の研究者が便宜的サンプリング(convenience sampling)とオンラインクラウドソーシングを組み合わせて参加者を募りました。便宜的サンプリングとは、無作為抽出ではなく、集めやすい人々(主に大学生など)を対象にする方法で、一般人口への代表性に限界があります。
各国の中央値サンプルサイズはN=322で、最小がアイルランドのN=47、最大がウクライナのN=1,778でした。日本のサンプルはN=931(男性440名、女性491名、平均年齢35.38歳)でした。
▼ 性別と年齢
各国で性別の分布に偏りがあったため、分析では性別と年齢を統計的に統制(コントロール)しました。また性別をノンバイナリー・その他と回答した174名は、性別統制モデルから除外されています。
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■ 測定尺度
▼ 予測変数:自然とのつながり
NR-6(Nature Relatedness Scale)(Nisbet & Zelenski, 2013)
6項目、5件法のリッカート尺度。信頼性係数α=0.87。
・「自然との関係は、私が何者であるかの重要な一部です」
・「私は自然に強い感情的なつながりを感じます」
などの設問で構成されます。
▼ 結果変数:6つのウェルビーイング指標
・人生の目的(Purpose in Life Scale)(Hill et al., 2016)
4項目、5件法。α=0.86。「自分の人生に方向性がある」という感覚を測定。
・希望(Herth Hope Index)(Herth, 1992)
13項目、5件法。α=0.92。未来への前向きな期待と、目標に向かう力を測定。
・マインドフルネス(Langer Mindfulness Scale)(Pirson & Langer, 2015)
14項目、5件法。α=0.92。今この瞬間への気づきと、新しい視点で物事を見る傾向を測定。
・生活満足度(Abbreviated 3-Item Satisfaction with Life Scale)(Kjell & Diener, 2021)
3項目、5件法。α=0.84。人生全体に対する認知的な評価を測定。
・レジリエントな対処(Brief Resilient Coping Scale)(Sinclair & Wallston, 2004)
4項目、5件法。α=0.78。困難な状況をポジティブに乗り越えようとする傾向を測定。
・楽観主義(Life Orientation Scale 楽観主義下位尺度)(Schou-Bredal et al., 2017)
6項目、5件法。α=0.72。将来に対して良いことが起きると期待する傾向を測定。
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■ 国レベルの指標(モデレーター)
モデレーターとは、2つの変数の関係の強さや方向を変調する第三の変数のことです。本研究では以下の3つの国レベル指標が検討されました。
▼ 環境パフォーマンス指数(EPI)
Block et al.(2024)が開発した指標で、58の指標を11のカテゴリーに整理し、生態系の活力(45%)・環境健全性(25%)・気候変動対応(30%)の3分野を総合したスコアです。0〜100の範囲で、高いほど環境保護の取り組みが優れています。75カ国中74カ国にスコアがあります。
▼ 不平等調整済み人間開発指数(IHDI)
国連開発計画(UNDP, 2024)が公表する指数で、生活水準・平均寿命・教育水準を統合した人間開発指数(HDI)に、さらに不平等の度合いによる「割引」を加えたものです。不平等が大きいほどスコアが下がる設計になっており、0〜1の範囲で、高いほど人間開発が進んでいます。75カ国中71カ国にスコアがあります。
▼ 個人主義・集団主義指数
Minkov & Kaasa(2022)が世界価値観調査のデータをもとに102カ国について推定した指標です。女性の解放・内集団の重要性・同調性の3つの側面から算出され、スコアが高いほど個人主義的、低いほど集団主義的であることを示します。75カ国中61カ国にスコアがあります。
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■ 分析方法
▼ ステップ1:測定不変性の検定
測定不変性(measurement invariance)とは、「同じ尺度が異なる国で同じ概念を測れているか」を確認する統計的検定です。国をまたいで比較するためには、測定が各国で等価である必要があります。
分析にはWLSMV(加重最小二乗法の一種)を使用し、配置不変性・測定不変性・スカラー不変性の順に検討しました。CFI(比較適合指数)の変化量が0.010以内、SRMR(標準化残差平均平方根)の変化量が0.025以内であれば不変性が成立するという基準を使用しました(Chen, 2007)。
結果として、自然とのつながり・生活満足度・レジリエントな対処については測定不変性が概ね確認されました。人生の目的とマインドフルネスは特定の項目を除去することで不変性が改善されました。一方、希望と楽観主義については不変性の確保が困難だったため、結果の解釈に注意が必要です。
▼ ステップ2:各国内での分析
各国ごとに自然とのつながりを唯一の予測変数とした標準化線形回帰分析を行い、6つのウェルビーイング指標との関連を推定しました。標準化回帰係数(b)は相関係数に対応し、値が大きいほど関連が強いことを意味します。
▼ ステップ3:多水準混合線形回帰モデル(国をまたいだ分析)
参加者(レベル1)が国(レベル2)に入れ子になった階層的データ構造を扱うため、混合線形回帰(multilevel linear regression)を使用しました。これにより、個人差と国差の両方を同時に考慮した分析が可能になります。
18のモデルが推定されました。
・モデル1a〜1f:切片のみのモデル(無条件モデル)。各指標の国間変動を推定し、級内相関係数(ICC)を算出。ICCとは「全体の変動のうち、国の違いによって説明される割合」を示す指標です。
・モデル2a〜2f:自然とのつながりをランダムスロープで投入した主分析モデル。
・モデル3a〜3f:年齢・性別を共変量(covariate:統制変数)として追加した頑健性確認モデル。
▼ ステップ4:探索的分析(国レベルのモデレーター検討)
3つの国レベル指標(EPI・IHDI・個人主義・集団主義)をそれぞれ独立した交互作用項として追加した18モデルを推定し、自然とのつながりとウェルビーイングの関係が国の特性によって変調されるかを検討しました。
AIさんに動画解説頂きました😊
https://youtu.be/D8FcCGwhwMA
●参考:進化生物学的に見た、利他
ヒトの向社会的行動の進化:なぜ人は利他的に振る舞うのか.
https://www.facebook.com/groups/wellbeinginfo/permalink/1761209514689739/
●参考
職場における親切は、する人もされる人も幸せになるし、親切はうつっていく😍
幸せな職場は、まずあなたの親切から始まるhttps://www.facebook.com/groups/wellbeinginfo/permalink/2046780336132654/