はぴテク相談室:自然とのつながりとウェルビーイング
最近なんか気力がわかなくて、毎日同じことの繰り返しって感じで…。何か変わるヒントがあればなと思って相談しました。
それは辛いですね。毎日がマンネリに感じると、なかなか気持ちが上がりませんよね。今日はちょっと意外なテーマからヒントをお届けしようと思うんですが…「自然とのつながり」って、ピンときますか?
自然とのつながり?なんとなくは分かるけど、キャンプとか自然の中に行くってこと…ですか?
実は少し違うんです。「自然とのつながり」というのは、心理学的な概念で、自然の中に行くという行動そのものではなく、「自分と自然が一体だ」とか「自然を自分の一部として感じている」という内面的な感覚のことを指します。75カ国・約3万7千人を対象にした大規模な研究で、この感覚がウェルビーイング(心の豊かさ)といくつかの面で関係していることが分かったんです。
へえ、75カ国!すごい規模ですね。具体的にどんなことと関係していたんですか?
6つの指標と関係が見られました。①人生の目的感(自分の人生に方向性や意味を感じる)、②希望(未来に前向きな期待を持てる)、③人生満足度(人生全体に満足している)、④レジリエントな対処(困難をポジティブに乗り越えようとする力)、⑤楽観主義(将来を前向きに見通す傾向)、⑥マインドフルネス(今この瞬間に注意を向ける感覚)です。相談者さんが感じている「気力がわかない」「マンネリ」は、①の目的感や②の希望あたりに近い感じがしますね。
確かに、毎日に意味を感じられないというか、未来に対してもぼんやりしてる気がします。でも、自然とのつながりを感じれば解決するって話ですか?
大事な確認をありがとうございます!この研究はあくまで「関係がある(相関)」を調べたもので、「自然とのつながりを高めれば必ずウェルビーイングが上がる(因果)」とは言えないんです。ただ、関係が世界中のほとんどの国で見られたのは注目すべき点で、「無関係ではなさそう」という証拠にはなっています。
なるほど、断言はできないけど関係はありそう、と。ちなみに自然とのつながりって、どうしたら高まるんでしょう?やっぱり森に行かないとダメですか?
面白いことに、研究によると自然とのつながりという感覚は、自然への接触の頻度とは独立して存在するとも示唆されています。つまり、頻繁に自然に出かけなくても、「自然を自分の一部として感じる」「自然の美しさに気づく」「空の色や風の音に意識を向ける」といった内面的な姿勢そのものが、このつながり感に関わっているようなんです。
それなら、通勤途中に空を見上げるとか、公園の木に少し目を向けるだけでも関係してくるかもしれない、ということ?
そのイメージに近いと思います。「自然は自分と無関係じゃない、自分もこの世界の一部なんだ」という感覚を日常の中で意識してみること…それが自然とのつながり感に関わってくる可能性があります。ただ繰り返しになりますが、これで必ず気持ちが変わるとは言い切れないので、あくまで一つの視点として受け取ってもらえると嬉しいです。
研究って国によっても違いがあるんですか?
はい、それも興味深い発見があって。集団主義的な文化の国ほど、また経済格差が大きい国ほど、自然とのつながりとウェルビーイングの関係が強い傾向が見られました。さらに、自然環境が豊かでない国ほど、その関係が強かったというデータも。自然へのアクセスが限られているからこそ、自然との内面的なつながりが幸福感と深く結びつくのかもしれない、という見方もできますね。
なんか都会に住んでいる自分にも、関係ある話だなと思いました。日常の中で空や植物に少し意識を向けてみようかな。
そんなふうに感じてもらえたなら嬉しいです。「自然は遠いもの」ではなく「自分とつながっているもの」として意識してみることが、この研究が示す自然とのつながり感に近いかもしれません。毎日の小さな気づきが積み重なると、何か変わるきっかけになるかもしれませんね。
■ 今日のまとめ
- 75カ国・約3万7千人の調査で、自然とのつながり感(自然を自分の一部として感じる内面的な感覚)は、人生の目的感・希望・人生満足度・レジリエンス・楽観主義・マインドフルネスの6つと関係が見られた(相関であり因果ではない)。
- 自然とのつながり感は、自然への接触頻度とは独立して存在する可能性があり、日常の中で自然に意識を向ける姿勢そのものが関わっているとも示唆されている。
- 自然環境へのアクセスが少ない地域や格差が大きい国ほど、この関係が強い傾向があり、自然とのつながり感は特に社会・自然資源が限られた環境で重要かもしれない。
■ 出典・注意事項
- Lea Barbett et al.「Nature connectedness and well-being: Evidence from a multi-national investigation across 75 countries」Journal of Environmental Psychology, 2026/3. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272494425003780
- 【注意事項】本研究は相関研究(二次データ分析)であり、自然とのつながりがウェルビーイングを高めるという因果関係を証明するものではありません。
- 【注意事項】75カ国・約3万7千人という大規模なサンプルですが、各国のサンプル特性(年齢層・居住地域・調査方法等)にばらつきがある可能性があります。結果の一般化には慎重な解釈が必要です。
- 【注意事項】自然とのつながりの測定方法や、ウェルビーイング指標の定義は研究によって異なる場合があり、他の研究との単純な比較には注意が必要です。
研究自体の紹介はこちら😊
自然とのつながりとウェルビーイング
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-03-29-1774805528/