2024.12.20

はぴテク相談室:ウェルビーイング増進のための人間工学的方法論-遊びで楽しさを

相談者

最近、仕事がなんだかしんどくて…。毎日こなしているんですけど、全然楽しくないんですよね。やらされてる感じというか。どうしたら仕事が楽しくなるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

それはつらいですね。「やらされてる感」、すごくよく分かります。実は千葉大学の下村先生が、人間工学の観点から「仕事の楽しさ」をちゃんと測れる考え方を研究されていて、そのヒントが参考になりそうです。少し一緒に考えてみませんか?

相談者

人間工学って、椅子とか机の高さとかの話じゃないんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

よくそう思われるんですが、人間工学の大きな目標のひとつが「ウェルビーイング(よく生きること)」なんです。下村先生の研究では、楽しさのカギは「遊び」にある、と提案しています。ここでいう「遊び」とは、ゲームで遊ぶというより、「内側からやりたくなって、自分で決めて行動し、それ自体が気持ちよい」という状態のことです。

相談者

なるほど。でも仕事って、上司に言われてやるものですし、そもそも「遊び」とは違いますよね…。

はぴテクさん
はぴテクさん

そこが面白いポイントなんです。研究では、仕事でも「遊び度」が高くなりうると言っています。遊び度は4つの要素で構成されています。①内発的動機(自分がやりたいかどうか)、②意志決定(自分で決めて動けるか)、③行為(自分がやっているという実感があるか)、④報酬系の賦活(やると気分・気持ちがいいか、夢中になるか)、この4つです。

相談者

うーん、今の仕事はどれも低そうです。特に「自分でやりたい」という気持ちと「自分で決める」という感覚がほぼないかも。

はぴテクさん
はぴテクさん

正直に教えてくれてありがとうございます。研究では「外からの動機で動いて、他人の意志に従っている場合、成功しないと報酬感が得られにくい」と述べています。一方、「自分の意思決定で取り組んで、達成感が得られる場合は、成否にかかわらず報酬感が得られやすい」とも言っています。つまり結果より、自分で決めて動くプロセス自体が大事みたいです。

相談者

じゃあ、「自分で決める」余地を増やせばいいってことですか?でも、仕事って指示されることが多くて…。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですね。研究では、遊び度の低い項目に絞って引き上げることがウェルビーイングの増進につながる可能性がある、と述べています。具体的な例として「業務の中で達成感につながる意思決定のウェイトを高める」が挙げられています。たとえば、与えられたタスクの中でも「やり方」「順番」「工夫の仕方」など、小さくても自分で決められる部分を意識して増やしてみるのがヒントになるかもしれません。

相談者

小さな「自分で決める」を積み重ねる、ですね。たしかに、やり方くらいは自分で決められることもあるかも。あと「夢中になる」感覚も全然なくて…それも遊び度に関係しますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、④の「報酬系賦活」の中に「夢中になる(ドーパミンシステム)」という項目があります。これは脳が「もっとやりたい」と感じる状態のことです。研究では、自分の意思決定や行為の実感があると、この報酬感が得られやすいとされています。逆に言うと、①②③が整ってくると、④も変わってくる可能性があるということです。

相談者

なるほど!全部つながっているんですね。ちなみに、遊び度って仕事以外にも使えますか?趣味とかにも?

はぴテクさん
はぴテクさん

そこがこの研究の面白いところで、遊び度は仕事に限らず、趣味や日常生活にも使える指標として作られています。研究では「ワークエンゲージメント(仕事への活力・没頭感)は仕事に特化した指標なので、生活全体の中での仕事の位置づけを俯瞰できない」とも指摘しています。遊び度を使うと、仕事・趣味・日常を同じ尺度で比べられるわけです。

相談者

じゃあ趣味の遊び度が高いと、それと比較して仕事の課題も見えやすくなるかもしれないですね。なんか、具体的にやることが見えてきた気がします!

はぴテクさん
はぴテクさん

いいですね!まず自分の仕事の「遊び度4要素」のどれが低いかを振り返ってみるのが出発点になりそうです。特に「自分で決める」「自分がやっているという実感」の部分を少しずつ増やせないか、日々の業務の中で探してみてください。大きな変化じゃなくても、小さな積み重ねが遊び度を変えていく可能性があると研究は示唆しています。

■ 今日のまとめ

  • 「遊び度」は内発的動機・意志決定・行為の実感・報酬感の4要素で構成され、仕事も趣味も同じ尺度で評価できる指標です。
  • 仕事がつらいと感じるときは、やらされ感(外発的動機・他者の意志決定)が強い状態。自分で決める余地を小さくでも増やすことが、ウェルビーイング増進につながる可能性があると研究は述べています。
  • 遊び度の低い項目に絞って引き上げることが有効とされており、まず「どの要素が低いか」を自分で振り返るのが第一歩です。

■ 出典・注意事項

  • 出典:下村芳樹「特集:ウェルビーイング増進のための人間工学的方法論-遊びで楽しさを」『人間工学』60巻6号, pp.335-, 2024年12月19日, 千葉大学. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jje/60/6/60_335/_pdf

  • 注意事項①:本研究は「遊び度」という指標の提案・概念整理を中心とした論文です。遊び度を高めることがウェルビーイング向上に直結するという因果関係が実証されたものではなく、「つながる可能性がある」という段階の提案です。

  • 注意事項②:遊び度の12項目は主観評価法であり、個人の感じ方に依存します。また、対象集団や職種・文化的背景による差異については本論文内で十分に検証されていません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
ウェルビーイング増進のための人間工学的方法論-遊びで楽しさを
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-12-20-1734732006/

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