はぴテク相談室:創造社会において個々人がどのような状態でいることが幸せなのか
最近、仕事がルーティン化してしまって、なんだか毎日が面白くないんです。新しいアイデアも出てこないし、やる気も上がらなくて…。どうしたらいいでしょうか?
それは辛いですね。毎日同じことの繰り返しに感じると、どんどん気力も落ちてきますよね。実は最近、東京学芸大学などの研究チームが「遊力(ゆうりょく)」という面白い概念を提唱していて、これがまさにその悩みにヒントをくれそうなんです。聞いてみますか?
「遊力」…?遊びの力、ということですか?仕事と遊びって、なんか関係あるんでしょうか?
そうなんです!この研究では、テクノロジーが急速に変化する今の社会を「創造社会」と呼んで、その中で人が創造的に、そして幸せに生きるためのカギとして「遊力」を位置づけています。もともと未就学の子どもと親を対象にした研究なんですが、研究者たち自身が「大人の仕事にこそ大切」と言っているんですよ。
へえ、子どもの研究が大人にも当てはまるんですね。その「遊力」って、具体的にはどういうものなんですか?
5つの効能として整理されています。①好奇心を持って「遊びを感知する」、②試行錯誤しながら「遊び続ける」、③創意工夫して「遊びを創る」、④仲間と一緒に「遊び仲間を創る(共創)」、そして⑤「自己肯定感を得る(自信)」です。どれかピンと来るものはありますか?
う~ん、①の好奇心は最近すごく薄れてる気がします。昔は「これ面白そう!」ってすぐ飛びついてたのに。
それ、すごく大事な気づきだと思います。研究では「遊びを感知する力=好奇心」が遊力の出発点とされています。何かを「面白そう」と感知することが、創造性の入り口なんですね。逆に言うと、ルーティンに慣れすぎると、この感知センサーが鈍ってくる、ということかもしれません。
確かに。じゃあ、②の「試行錯誤し続ける」というのは、失敗してもやめないってことですか?仕事だと失敗が怖くてなかなか…。
まさにそこが「遊び」の視点の面白いところで、遊んでいるときって、失敗してもまたやり直しますよね。「これどうなるかな?」って軽い気持ちで試せる。研究ではこの「遊び続ける力」が創造性を育む上で重要だとされています。仕事を少し「実験」のように捉え直すと、試行錯誤が怖くなくなるかもしれませんよ。
「実験」か…それは気が楽になりそうですね。④の「遊び仲間を創る」というのも気になりました。一人で悩んでることが多いので。
この研究では「共創」、つまり一緒に何かを作り上げていく仲間の存在が遊力の重要な要素として挙げられています。一人で抱え込むより、「一緒にこれやってみない?」と巻き込める関係が、創造性にもつながるという考え方です。職場でもそういう関係を意識的に作ってみるのが、ひとつのヒントになるかもしれませんね。
なんか、「遊ぶように働く」っていうのが少し具体的にイメージできてきた気がします。でも⑤の自己肯定感って、遊んでいるうちに自然とつくものなんですか?
この研究では、遊びの中で好奇心を持ち、試行錯誤して、仲間と創り上げていくプロセスの先に自己肯定感が生まれる、という流れが仮説として示されています。「できた!」「面白かった!」という小さな経験の積み重ねが自信につながる、ということですね。ただ、これはあくまで仮説的な概念の提案段階なので、すべての人に同じように当てはまるかどうかはこれからの研究次第ではあります。
そうなんですね。でも「遊力」という考え方、なんかすごくしっくりきました。今日から少し、仕事を遊びっぽく捉えてみようと思います!
いいですね!「くう、ねる、あそぶ」という言葉が研究の中でも紹介されていて、遊びは食事や睡眠と並ぶ人間の本質だという見方があります。ルーティンの中にも「これ面白そう」という小さな感知をする瞬間を意識してみるだけで、何かが変わってくるかもしれませんよ。
■ 今日のまとめ
- 「遊力」とは、好奇心・試行錯誤・創意工夫・共創・自己肯定感の5つから成る概念で、創造社会を生きるうえで重要とされています。
- 仕事をルーティンと捉えず「実験」や「遊び」として見直すことが、創造性や好奇心を取り戻すヒントになり得ます。
- 一人で抱え込まず「共創」できる仲間をつくることも、遊力の重要な要素として位置づけられています。
■ 出典・注意事項
- 出典:池田晴彦ほか「創造社会に向けた『遊力』の提案 ─ 遊力研究① 共同研究を通じて見出した『遊力』の概念とその意義 ─」『東京学芸大学紀要』2024年11月25日 https://u-gakugei.repo.nii.ac.jp/record/2000720/files/24349399_76_05.pdf
- 注意事項①:本研究は未就学期の親子を対象としたワークショップ実践をもとにした仮説的概念の提案段階であり、大人の職場環境への効果を直接検証したものではありません。
- 注意事項②:「遊力」の5効能は研究チームによって導き出された概念であり、因果関係を実証したものではなく、今後の研究によって検証が進む予定のものです。
- 注意事項③:対象集団が未就学期の親子に限られているため、成人一般への一般化には限界があります。
研究自体の紹介はこちら😊
創造社会において個々人がどのような状態でいることが幸せなのか
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-11-26-1732659002/