はぴテク相談室:幸福感が高い人は脳卒中や心筋梗塞になりにくいというのは本当か?
最近、友人から「幸せな人は心臓病になりにくい」って聞いたんですが、本当なんですか?なんか都市伝説っぽくて…
実は、これを大規模な研究で調べたデータがあるんですよ。イギリスの12万人以上を追跡した「UKバイオバンク」というデータを使った研究で、幸福感の高い人は、低い人に比べて心筋梗塞や脳卒中などのリスクが大きく低い、という結果が出ています。
12万人!それはすごい規模ですね。どのくらい差があったんですか?
かなりはっきりした差が出ていて、幸福感が最も高いグループは最も低いグループと比べて、脳卒中が約45%低リスク、心筋梗塞は約56%低リスク、心不全は約51%低リスクという結果でした。数字だけ見るとかなり大きな差ですよね。
えー、それって本当に「幸せだから」心臓病にならないってことなんですか?
そこが大事なポイントで、研究者たちも慎重に分析しています。「メンデルランダム化」という遺伝情報を使った統計手法で因果関係の可能性も探っていて、幸福感がリスク低下と関連している可能性が示唆されました。ただ、観察研究の部分も含むので「幸せになれば必ず心臓病にならない」と断言はできません。あくまで強い関連が見られた、というのが正確な表現です。
なるほど。じゃあ、幸せな人はなぜ心臓病になりにくいんでしょう?何か理由はあるんですか?
研究ではその「なぜ」も調べていて、大きく2つの経路が見えてきました。ひとつは「健康的なライフスタイル」、もうひとつは「体の慢性炎症が低いこと」です。幸福感の高い人は、運動したり食事に気をつけたりといった行動を取りやすく、その結果として体の炎症レベルも低かったという分析結果が出ています。
慢性炎症って何ですか?ちょっと難しい言葉ですね。
体の「さびつき」みたいなイメージです。本来、炎症は細菌やケガへの防御反応なのですが、ストレスや不健康な生活が続くと、炎症が低レベルでじわじわ続く状態になることがあります。これが血管を傷つけて心臓病につながりやすいと言われているんです。幸福感が高い人はこの慢性炎症が低い傾向があった、というのが今回の研究の発見のひとつです。
つまり、幸せ→健康的な行動&炎症が低い→心臓病リスク低下、という流れがあるかもしれないってことですね。
そうです、うまくまとめてくれました!研究では「ライフスタイルと炎症が幸福感と心臓病の関係を部分的に仲介している」と表現されています。「部分的に」というのが重要で、他にも影響する要因はいろいろあるということです。
ちなみに、この研究の「幸福感」ってどうやって測ったんですか?
家族関係・友人関係・健康状態・経済状況への満足度などをアンケートで聞いて、それを組み合わせて「幸福度スコア」を算出しています。そのスコアをもとに4つのグループに分けて比較したんです。日常生活のさまざまな面での満足感を総合的に見た指標ですね。
なんか、幸せって漠然としたものだと思っていたけど、ちゃんと測れるものなんですね。生活の満足感を少しずつ上げていくことが、心臓の健康にもつながるかもしれないと思うと、なんだか前向きになれます。
その感覚、とても大切だと思います。研究でも「幸福感を高めることが心臓病予防の現実的な戦略になりうる」と結論づけています。家族や友人との時間を大切にしたり、日々の小さな満足感を意識したりすることが、心身両面でプラスに働く可能性を示してくれている研究ですよ。
■ 今日のまとめ
- 12万人以上を対象にした研究で、幸福感が高い人は脳卒中・心筋梗塞・心不全などの心臓病リスクが最大50%前後低いという関連が示されました。
- 幸福感と心臓病リスクの関係には、健康的なライフスタイルと慢性炎症の低さが「仲介役」として部分的に関与していることが分かりました。
- 幸福感は家族・友人・健康・経済への満足度などで構成されており、日常生活の満足感を積み上げることが心血管の健康と関連している可能性があります。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Kim H, et al. 'Well‐Being and Cardiovascular Health: Insights From the UK Biobank Study.' Journal of the American Heart Association, 2024年9月18日. https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.124.035225
- 【注意事項①】本研究はコホート観察研究を主体としており、幸福感が心臓病リスクを下げると確定的に「因果関係」を証明したものではありません。メンデルランダム化で因果の可能性が示唆されましたが、あくまで示唆にとどまります。
- 【注意事項②】対象はUKバイオバンク参加者(主にイギリス在住の成人)であり、異なる文化・年齢層・生活環境の集団にそのまま当てはめられるとは限りません。
- 【注意事項③】幸福感とリスク低下の関連には、測定されていない第三の要因(交絡因子)が影響している可能性も否定できません。
研究自体の紹介はこちら😊
幸福感が高い人は脳卒中や心筋梗塞になりにくいというのは本当か?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-10-27-1730026202/