2024.10.16

はぴテク相談室:40年間のチームワーク研究のまとめ

相談者

最近、職場のチームワークがうまくいっていなくて悩んでいます。会議は多いし、報告や連絡も頻繁にしているのに、なぜかチームとしての成果が出ないんです。何が足りないんでしょうか…

はぴテクさん
はぴテクさん

それは辛いですね。実は2024年に発表された、40年分のチームワーク研究をまとめた論文がとても参考になるかもしれません。まず最初に気になったのが、『会議が多いのに成果が出ない』というお話。コミュニケーションについて、面白い研究結果があるんです。

相談者

どんな結果ですか?もしかして、会議の回数を増やすことが逆効果とか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ズバリに近いかもしれません!Marlowたちが2018年に行ったメタ分析(複数の研究をまとめた大規模な分析)によると、コミュニケーションの『頻度』よりも『質』の方がチームのパフォーマンスとより強い関連があるという結果が出ているんです。つまり、何回話し合うかよりも、どんな話し合いをするかの方が大事だということですね。

相談者

なるほど!では『質の高いコミュニケーション』って具体的にどういうことなんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

そこで関わってくるのが『心理的安全性』という概念です。Edmondsonさんが1999年に提唱したもので、チームワーク研究に大きな衝撃を与えたとされています。簡単に言うと、『このチームでは、自分の意見や疑問を安心して言える』という感覚のことです。

相談者

心理的安全性、聞いたことはあります!でもそれって本当にパフォーマンスに関係するんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、Frazierたちが2017年に行ったメタ分析では、心理的安全性はチームパフォーマンス、仕事への積極的な関わり、タスクの遂行、満足度、チームへのコミットメントといった要素と正の相関があることが示されています。ただしこれは相関関係の話なので、心理的安全性を高めれば必ずパフォーマンスが上がる、と断言はできないのですが、関連は強そうですよね。

相談者

たしかに、うちのチームは上司の顔色をうかがって、本音を言えない空気があるかもしれません…。あと、チームの構成についても気になっていて、いろんなバックグラウンドを持つ人を集めれば多様性が生まれてうまくいくと思っていたんですが、なんか逆にバラバラな感じもして。

はぴテクさん
はぴテクさん

それも研究で触れられています!Bell たちの2011年のメタ分析によると、『どんな種類の多様性か』によって効果が違うんです。たとえば専門スキルや職種のバックグラウンドの多様性は、創造性やイノベーション、特に製品開発チームのパフォーマンスにポジティブな影響があるとされています。一方で、学歴の多様性はトップマネジメントチームに影響するなど、チームの種類によって異なることも分かっています。つまり、多様性があれば必ずしもうまくいくわけではないということですね。

相談者

なるほど、多様性も『何の多様性か』が大事なんですね。あと、うちのチームってリーダーが全部決める感じで、メンバーが受け身になりがちなのも気になっています。

はぴテクさん
はぴテクさん

それはとても重要な視点です!Wangたちが2014年に行ったメタ分析では、『共有リーダーシップ』、つまりリーダーシップを一人のリーダーに集中させるのではなくチーム全体で分かち合う形が、従来の一人のリーダーが引っ張るスタイルよりもチームの効果性に強い影響を与える可能性があると示されています。特に、チームへの態度や気持ち、チームの行動プロセス、チームの中で生まれる状態(信頼感や一体感など)においてその効果が顕著だったそうです。

相談者

共有リーダーシップ…メンバー一人ひとりがリーダーシップを持つ感じですね。なんか理想的ですが、実際どうすればいいのかイメージが湧きにくいです。

はぴテクさん
はぴテクさん

確かに、研究でもチームワークを実際にどう改善するかという実践面は、引き続き課題として挙げられています。この40年の研究のまとめ自体も、まだ長期的な研究が不足しているなどの弱点があると正直に認めています。ただ、今日お話しした『コミュニケーションの質を高める』『心理的安全性に目を向ける』『多様性の種類を意識する』『リーダーシップをチームで共有する』という視点は、まず自分のチームを見直すヒントになるんじゃないかなと思います。

相談者

ありがとうございます!会議の回数を増やすことばかり考えていましたが、中身や雰囲気を見直す方が大事かもしれないと気づきました。少しずつ試してみます!

■ 今日のまとめ

  • コミュニケーションは『頻度』よりも『質』がチームパフォーマンスとより強く関連している(Marlow et al., 2018のメタ分析)。
  • 心理的安全性(チームで安心して意見を言える感覚)は、チームパフォーマンスや満足度などと正の相関があることが示されている(Frazier et al., 2017のメタ分析)。
  • 多様性は種類によって効果が異なり、また共有リーダーシップ(チーム全体でリーダーシップを分かち合う形)が従来の一人リーダー型より効果的である可能性が示されている(Bell et al., 2011; Wang et al., 2014のメタ分析)。

■ 出典・注意事項

  • 出典: Lacerenza, C. N., et al. (2024). The Science (and Practice) of Teamwork: A Commentary on Forty Years of Progress. Small Group Research, 2024/9/16. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/10464964241274119

  • 引用されている主要研究: Marlow et al. (2018), Edmondson (1999), Frazier et al. (2017), Bell et al. (2011), Wang et al. (2014)

  • 注意事項①: 本会話で紹介した研究結果はいずれも『相関関係』を示したものであり、因果関係(〇〇をすれば必ず△△になる)を証明したものではありません。

  • 注意事項②: 各メタ分析の対象となったチームや組織の種類・文化的背景はさまざまであり、すべての職場環境に同じように当てはまるとは限りません。

  • 注意事項③: この論評自体も、長期的研究の不足などチームワーク研究の弱点を認めており、実践への応用にあたっては引き続き慎重な検討が必要です。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
40年間のチームワーク研究のまとめ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-10-16-1729116955/

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