2026.03.15

教員向け簡易型ウェルビーイング調査の開発と検討

早稲田大学 佐藤先生、東別院小学校 中島先生、武蔵野大学 ロッキー先生の最近の論文😍

教員向けの簡易ウェルビーイング調査と、

その調査結果の整理😊

日本語なので、是非、本文を❗
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▼ この研究は何を目的としているか

日本では教員不足が深刻な問題となっており、2021年時点で全国の公立学校に2,558名の欠員があることが明らかになっています(文部科学省、2021)。長時間労働・業務負担の増加・低い待遇などが原因で、若者の教職離れが進んでいます。

この問題を解決するヒントとして、著者らは「教職員のウェルビーイングを高めること」に注目しました。

・ウェルビーイングとは:こころ・からだ・社会的なつながりがよい状態のこと。単なる「幸福感」よりも広く、長期的・多面的な健全さを指します。

幸福度が高い従業員は、そうでない従業員に比べ、創造性が約3倍、生産性が約30%高く、欠勤率・離職率・事故率も大幅に低いことが知られています(ハーバード・ビジネス・レビュー、2012)。教員に当てはめれば、ウェルビーイングを高めることが、業務改善や教職の魅力向上にもつながると考えられます。

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▼ 既存の調査の課題

これまでにも教員の幸福度調査はありました。たとえばパーソル総研による調査(2023)では42問、露口(2024)の調査は30問程度ですが、回答の選択肢が3〜11段階まで項目によって異なります。いずれも回答負担が大きく、研究者なしでは分析が難しいという問題がありました。また、ICT活用・業務改善・子どもへの影響といった著者らが重視する視点が含まれていませんでした。

そこで本研究では、忙しい教員でも「5分でできる」簡易型ウェルビーイング調査を独自に開発しました。

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▼ 調査の概要

・対象:全国20都道府県・29校の小学校に所属する教職員323名

・質問数:25項目(7段階評価、1=全くそう思わない〜7=とてもそう思う)

・質問の観点:「個人」「職場」「子ども」「学校」の4つ

主な質問例としては、「私は仕事に喜びややりがいを感じている」「職場には助け合いの雰囲気がある」「子どもたちは前向きにやってみようという気持ちにあふれている」などがあります。

・7段階評価を採用した理由:信頼性・妥当性・判別力の観点から5〜7段階が最適とされているため(Preston & Colman、2000)

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▼ 分析の3つの視点

研究チームは以下の3つの角度からデータを分析しました。

・① 勤務年数・性別・職位別の回答傾向

・② 質問項目どうしの相関関係(※相関関係=2つの項目が同時に高くなる・低くなる関係)

・③ 特定項目に高得点をつけた人が、他の項目にどう答えているか

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▼ 分析①:勤務年数・性別・職位による違い

全教員を見ると、勤務年数「4〜6年」と「25年以上」の教員のウェルビーイングが特に高い傾向が見られました。

・25年以上の教員:長年の職場経験がウェルビーイングに寄与している可能性があります。

・4〜6年の教員:職場環境やキャリア形成がポジティブに作用していると考えられます。

男性教員では「4〜6年」層が突出して高く、年数が増えるにつれてウェルビーイングが低下する傾向が見られました。理想と現実のギャップが影響している可能性があります。

女性教員では「7〜15年」層が最も低く、「25年以上」が最も高い結果でした。中堅期に特有の困難がある可能性が示唆されます。

管理職(校長・教頭)は教員全体より高い値を示しましたが、管理職と一般教員の間には意識のギャップが存在しており、相互理解の強化が課題として浮かび上がりました。

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▼ 分析②:質問項目どうしの相関関係

相関係数0.6以上(強い関連)を示したペアは9組ありました。そのうち7組が「職場の雰囲気」「コミュニケーションのしやすさ」「建設的な発言の多さ」に関するものでした。

・相関係数とは:2つの項目がどれだけ連動して変化するかを示す指標。1に近いほど強い正の関連があります。

最も強い相関(0.747)は「子どもたちの前向きさ」と「子どもたちの再チャレンジ意欲」の間でした。次いで「職場での対話の建設性」と「異なる視点を取り入れる風土」(0.731)が続きます。

この結果は、職場環境の質的な側面は互いに密接につながっており、一つを改善することで連鎖的な改善が期待できる可能性を示しています。

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▼ 分析③:高得点者の回答パターン——「時間的ゆとり」の重要性

「私は、業務を改善しながら、時間的なゆとりをもって業務を行えている」という項目に高評価(6または7)をつけた51名(全体の16%)は、他のほぼすべての項目でも高い平均値を示しました。

これは、日本の小学校教員にとって「時間的ゆとり」がウェルビーイング全体と最も密接に関連する要因である可能性を示しており、業務改善・効率化の必要性を強く示唆する結果です。

2位以降では以下の要素がウェルビーイングと強い相関を示しました。

・自己の強みの理解と発揮

・共感的コミュニケーション能力(相手の気持ちに寄り添う力)

・職務における喜びややりがい

・子どもへの肯定的影響の実感

・学校経営方針の理解と自己の役割認識

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▼ 興味深い発見:「ウェルビーイングを理解していること」の順位

一般的な企業の文脈では、「ウェルビーイングとは何かを知っている人はウェルビーイングも高い」という傾向が知られています。これは「ウェルビーイング・コンシャス・プレミアム(意識することによる上乗せ効果)」と呼ばれています(伊藤邦雄、日経BizGate、2023)。

しかし本研究では、「私は、私にとってのウェルビーイングを理解できている」という項目は上位にランクインしませんでした。

これは教育現場の特殊性を反映していると考えられます。教員は自分自身のウェルビーイングよりも子どもの幸福を優先する傾向があり、また組織的・制度的な制約から、理解していても実践できないという乖離(かいり=ずれ)が生じている可能性があります。

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▼ まとめ:本研究から得られた主な知見

・勤務年数・性別によってウェルビーイングのパターンは異なり、中堅層(特に女性)での低下傾向が課題として浮かび上がった。

・管理職と一般教員の間に意識のギャップが存在する。

・「時間的ゆとり」が教員ウェルビーイングと最も密接な関連を持つ要因である。

・自己の強みの発揮・やりがい・子どもへの影響の実感・役割認識なども重要な関連要因である。

・ウェルビーイングの理解と実践の間には、教育現場特有の乖離が存在する可能性がある。

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▼ 今後の展望

本研究は小学校教員を対象としたものですが、今後は中学・高校にも調査を拡大し、より汎用性の高いウェルビーイングチェックツールの開発を目指すとしています。また、教師のウェルビーイングが子どものウェルビーイングにもつながるという先行研究(Emily et al.、2022)を踏まえ、両者を包括的にとらえたアプローチの開発が今後の重要な課題とされています。

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教員向け簡易型ウェルビーイング調査の開発と検討

佐藤明日香, 中島清人, 浦谷裕樹 - 武蔵野大学しあわせ研究所紀要, 2025

https://mu.repo.nii.ac.jp/record/2000804/files/mhi8_pp.23-46.pdf

本研究は教育現場におけるウェルビーイングの可視化を目指し、学校環境のウェルビーイング評価に関する新たな指標を提供するために、29 校の小学校に所属する 323 名の教員を対象に、「5分でできる学校ウェルビーイングチェック 2024」と題したアンケート調査を実施し、初等教育機関における教員のウェルビーイングの現状把握と分析を行った。

アンケートの質問は 25 項目あり、個人、職場、社会、および子どもの4観点から既存の評価尺度と独自項目を組み合わせたものとなっている。

データ分析は、1)勤務年数・性別・職位別の回答傾向、2)項目間の相関関係、3)特定項目高得点者の他項目回答パターンの3視点から行った。分析結果から、教員のウェルビーイングは職場環境の質的側面が相互に密接に関連しており、勤務年数「4~6年」と「25 年以上」の教員ならびに校長 ・教頭が高く、ウェルビーイングが高い教員の共通項として「時間的ゆとり」が挙げられる点が明らかになった。

教員のウェルビーイング調査 2024:幸せな学校づくりのための実態レポート 全国29校、323名の教員対象「5分でできる学校ウェルビーイングチェック 2024」 結果、個人・職場・子ども・学校の4領域から幸福可能な教育環境の整備を分析。 323 ウェルビーイングの現状と格差 4~6年 幸福度が低下、 キャリア支援が必要 25年以上 勤続年数による情動 幸福度を高める「資金の鍵」 最重要因子「時間的ゆとり」 時間的ゆとりは全目 標の中で最高度で 習得。 中里屋(特に女性) 「理解」と「実践」の壁 資質の キャリア課題 一般教員 職場環境の質: 同業と対策・励ける 幸福度を高める 知って いても 多忙で選択 できない 「やってみよう」 書欲 「失敗への再挑戦」 やり方 子どもの前向き姿勢 職場の対話 継続的な 共通がない 多様な価値観を 採用する姿勢 自分の終わり を認識 仕事のやりがい 幸福度が高い教員に見られる共通の相関因子(相関係数0.6以上) 持続可能な幸せな学校づくり 見えない疲弊から、持続可能な学校へ データを起点にする「学校ウェルビーイング」の現在地と処方箋 5分でできる学校ウェルビーイングチェック2024分析レポート NotebookLM なぜ今、教員の「ウェルビーイング」を測るのか? 教員不足と過酷な労働環境 2,558名 (2021年公立学校における教員不足数) 小学校4.9%、中学校7.0%で不足。 長時間労働と業務負担の増加により、若者の教職離れとベテランの大量職辞が同時進行。 幸福度は「経営指標」である 幸福度が高い組織のROI (ハーバード・ビジネス・レビュー2012年調査より) 創造性 約3倍 生産性 +30% 離職率 -60% 欠勤率 -40% 教職員の幸福度(働きやすさ×働きがい)を高めることは、 教育の質を担保するための「最優先のシステム投資」である。 忙しい現場のための「5分間」のダッシュボード 「5分でできる学校ウェルビーイングチェック2024」の開発 従来の調査 質問数が多い(42問等)、回答負担が大きい(11段階評価等)、専門的な分析が必要。 本調査(2024) ✓ たった25問(厳選された項目) ✓ 直感的な7段階評価(1:全くそう思わない~7:とてもそう思う) ✓ 平均点の推移だけで効果測定が可能 調査対象:全国29校の小学校、教職員323名。多様な地域・規模から広がる代表性を確保。 4つの観点から「見えない空気」を可視化する 個人(10項目) 心身の健康、強みの発揮、やりがい、時間的ゆとり。(例:「自分の強みを理解し、仕事において発揮できている」) 職場(7項目) 心理的安全性、助け合い、建設的な対話。 (例:「同僚とどんなことでも話しやすい雰囲気がある」) 学校(4項目) ※保護者・地域・管理職評価も含む 地域とのつながり、公正なフィードバック、経営方針の理解。 (例:「本校はウェルビーイングな学校だと思う」) 子ども(4項目) 前向きなチャレンジ、再チャレンジ、教室の心理的安全性。 (例:「子どもたちは、失敗してもめげずに再チャレンジしようとしている」) ファクト1:教員キャリアの「U字曲線」 経験を積むほど、理想と現実のギャップに苦しむ「中堅の壁」 5.2 若手期、職場環境やキャリア 形成がポジティブに作用。 4~6年 (Avg: 5.15) 5.0 中堅期、業務の経験値や専門性が 深まる一方で、学校組織運営の理想 と現実の乖離が生じ、低下。 4.8 16~24年 (Avg: 4.84) ベテラン期、長期的な経験に より、多くの項目で高い安定 感(標準偏差が低い)。 25年以上 (Avg: 5.08) 4.6 勤続年数 ウェルビーイングは一定ではない。キャリアステージ(特に中堅層)に応じた特有の支援体制が必務である。 🏠 NotebookLM ファクト10の深掘り:男女で異なる「疲弊のタイミング」 5.4 4-6年 (Avg 5.27) 男性教員は4~6年目で突出した高 まりを見せるが、その後組織運営の 重圧により低下傾向が続く。 25年以上 (Avg 5.18) 5.2 疲 弊 感 ハ ラ ス メ ン ト 度 5.0 全教員の6割以上を占める女性教員 は、「7~15年」というライフイベ ントとも重なる時期にスコアが 最も落ち込む。 4.8 7-15年 (Avg 4.80) 4.6 1~3年 4-6年 7-15年 16~24年 25年以上 勤続年数 25年以上 (Avg 4.73) NoteBook M ファクト2:可視化された「マネジメントの意識ギャップ」 校長 (Principal / 25年以上) ほぼ全項目で最高平均点、標準偏差は最低。 最も高い満足度と安定感を持っている。 教員全体平均 平均 5.0。 教頭・副校長 (16~24年) 多くの項目で最も低い平均値を記録(全体平均を下回る)。 現場と管理の板挟みとなり、最も負荷が集中しているポジション。 校長から見える「良好な学校の景色」は、教頭や現場教員には全く違って見えている可能性がある。このギャップの認知が、組織改善の第一歩となる。 ファクト3:「職場の空気」を好転させるエコシステム 相関係数0.6以上のデータが語る、組織圏土の連鎖反応 心理的安全性 同僚や管理層とどんなことでも話しやすい (Q11, Q12) 洞察 これらの質的側面は独立していない。一つの要素が改善されると、他の要素も引き上げられる強い連鎖機構を持つ。(相関係数0.6以上)に他の要素も引き上げられる強い連鎖構造を持つ。 相互支援の土壌 助け合いや直感的な協力がある (Q13) 建設的な対話 真なる提言を取り入れ、建設的な異議が言い (Q15, Q16) 🔗 NotebookLM 学校特有のパラドックス:「知っている」のに「できない」 一般企業におけるセオリー ウェルビーイング・コンシャス・プレミアム(伊藤邦雄氏提唱) 概念を理解し意識(コンシャス)する個人は、主観的幸福感が高まる傾向がある。 本調査で明らかになった学校の現実 データ:「私にとってのウェルビーイングを理解できている(Q1)」は、高得点ランキングで8位にとどまる。 概念を理解していても実践できない「阻害要因」が存在する。教員自身の幸福よりも子どもたちの幸福を優先してしまう職業的性質(Children-firstのジレンマ)。 教育現場においては、「意識を変える」精神論だけではウェルビーイングは向上しない。システムとしての「構造的障壁」を取り除く必要がある。 学校ウェルビーイングの原動力(マスターピース) すべての指標を引き上げる唯一の中心軸は「時間」である。 「時間的ゆとり」 (Q8) 業務を改善しながら、時間的なゆとりをもって課題を行っている この項目の「6」または「7」の高 評価をつけた回答者(51名)は、 他の全項目においても全般的に高い 平均値を示した。 自己の働きの裁量 (Q4) 職場における やりがい (Q6) 共感的 コミュニケーション (Q9) 児童へのポジティブな影響 (Q5) 日本の小学校コンテキストにおいて、「時間」は単な
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はぴテク相談室:教員向け簡易型ウェルビーイング調査の開発と検討
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