─プロセスとしてのwell-beingからSDGs運動を考える契機として─
という東海大学、山田一隆先生の最新研究😊
地域のウェルビーイングを考える時に、
静的なものではなく、動的なものと捉えて、
価値再構築(メジローの変容的学習理論)
→行為可能性の拡張(ブルデューのハビトゥス論+アマルティア・センのケイパビリティアプローチ)
→制度条件の再編
を回していくのが大事なのでは?
という提言的な論文。
いつも紹介している心理学的なアプローチではなく、
社会学的?アプローチで、面白い観点ですね😍😍
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目次
■Ⅰ はじめに──問題の所在と本稿の目的
■Ⅱ well-being測定の限界
1 .well-being 測定の展開と意義
2 .測定アプローチの特性と方法論的課題
3 .文化的文脈の影響
4 .静的指標の限界とプロセス性の欠如
5 .ガバナンスの技術としての指標化
6 .小括
■Ⅲ プロセスとしてのwell-being──学習と選択の運動論的視点
1 .概念転換の必然性と測定パラダイム批判
2 .変容的学習理論──意味枠組みを問い直すプロセス
3 .ハビトゥスと社会構造の再編──well-being をめぐる不平等の文法
4 .ケイパビリティ・アプローチと選択の実質化──自由の条件を問う
5 .三理論の統合と「運動モデル」の提示──静態モデルとの対比を超えて
6 .プロセスとしての well-being の定義と評価観の再定位──再帰的に語る理由
7 .批判的実践論としての含意──共同エージェンシーの再強調と制度圧力の脱構築
■Ⅳ 社会実装するプロセスとしてのwell-being
1 .プロセスとしての well-being の実践論
2 .A 県 B 市「ワンステップ」事業の概要
3 .「ワンステップ」事業における学びと成長
(1)生徒たちの学びと成長
(2)学生たちの学びと成長
(3)相互的な学びとしての共創
4 .「学び合い」の構造が生み出すプロセス
としての well-being
■Ⅴ まとめ──convivialityと共創を基軸とするwell-being実装の課題
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多様な主体の連携による学び合いを通した地域共創─プロセスとしてのwell-beingからSDGs運動を考える契機として─
日本福祉教育・ボランティア学習学会 研究紀要 2025/12
山田一隆先生 東海大学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaass/45/0/45_56/_pdf
本稿は、well-being を「測定可能な状態」とみなす静態的パラダイムを批判し、学習を媒介とする生成的プロセスとして再構想する必要性を論じる。SDGs や OECD の議論において well-beingは重要指標として用いられているが、既存の枠組みは文化的多様性を捨象し、不可測な側面を排除する傾向を強めている。そこで本稿は、メジローの変容的学習理論、ブルデューのハビトゥス論、センとヌスバウムのケイパビリティ・アプローチを統合し、well-being を「価値再構築」「行為可能性の拡張」「制度条件の再編」という三層の運動として捉えるモデルを提示する。また、A 県 B 市の「ワンステップ」事業を事例に、福祉教育・ボランティア学習の場における相互的な学びと共同エージェンシーの形成を分析し、プロセスとしての well-being の具体化とその限界を明らかにする。最後に、評価制度の再構築や共創文化の醸成といった制度・文化的課題を提示し、conviviality を基軸とした社会実装の可能性を論じる。
ウェルビーイングを再考する:測る「状態」から、育む「プロセス」へ 問題:測定できるウェルビーイングの限界 幸福はGDPだけでは測れない 経済成長と幸福度が一致せず、物質的な豊かさだけでは幸福を生み出しました。 静的な指標は過程を見落とす 幸福ランキングなどの数値化は結果を示すだけで、そこに至るプロセスという動的な側面を見えづらくします。 指標化が文化的多様性を軽視する 幸福の価値基準が文化で異なり、一律の指標では多様な幸福のあり方に対応できません。 パラダイムシフト: 静的な「状態」から動的な「プロセス」へ 解決策:「プロセス」としてのウェルビーイング 幸福は「学び」と「共創」のプロセスである 他者との対話や学び合いを通じて、価値観を更新し、選択肢を広げていく過程そのものです。 3つの運動モデル 内容:経験を通じて自分の価値観を問い直し、他者と相互作用する 理論的背景:実存的学習論 内容:新たな選択肢やより多くを実現できる力を高める 理論的背景:ハビタス論+ケイパビリティ論 内容:個人の成長だけでなく社会の仕組みや文化に働きかける 理論的背景:政策・文化論 実践例: 学習支援が生む「相互の成長」 支援を受ける生徒が支援する学の方が学びなおい、指導の可能性を広げています。 「測定」から「共創」へ:プロセスとしてのWell-being SDGs時代の幸福論を問い直す NotebookLM 経済成長は、必ずしも 私たちを幸福にしなかった。 成長 (Growth) 時間 (Time) GDP 生活満足度 (Life Satisfaction) 世界的にはSDGsやOECDを中心にWell-beingへの注目が高まっている。しかし、GDPの上昇が人々の幸福度と生活満足度を高めるとは限らないと指摘する声も大きい。経済成長中心の発展モデルは限界に直面している。経済的に豊かな日本が、国連の幸福度ランキングで低位している事実は、このパラドックスを象徴している。 Notebook LM 現状のパラダイム:幸福を「測定可能な状態」として提える GDP至上主義への反省から、国連の「世界幸福度報告」やOECDの「Better Life Index」など、幸福を可視化する指標が開発された。これらの試みは、政策の軸足を経済から「人々の生活の質」へ転換する上で大きな意義を持った。しかし、その本質は、ある時点での生活条件や主観的評価を数値化し、幸福を「固定的で静的な状態」として捉えるものである。 静態モデルがもたらす3つの本質的限界 文化的多様性の措像 幸福の概念は文化に依存する(例:欧米の「自己実現」vs.東アジアの「調和」)。単一の基準による数値化は、特定の価値観を普遍化し、文化差を無視する。 生成プロセスの不可視化 幸福は、価値観の変容や社会的関係の再構築といった「プロセス」に依存する。結果のみを測定する指標は、この最も重要な動的側面を捉えられない。 統治技術への転化 測定可能な側面が強調されることで、測定困難な価値的多様性が軽視される。「数値で管理可能な幸福」へと概念が矮小化され、政策が硬直化する危険をはらむ。 Well-beingとは 「達成する状態」ではなく、 「生成し続ける運動」である。 幸福を静的なアウトカムとしてではなく、学習を媒介とする価値再構築と選択肢拡張のダイナミズムとして再定義する。これは、測定パラダイムを補完するものではなく、その根本的なオルタナティブを提示する視座の転換である。 第1の運動:価値の再構築(メジローの変容的学習理論) Core Concept: 学習とは、経験を通じて既存の「意味体系」 (世界を理解する価値観や信念)を批判的に問 い直し、新たな視点を獲得するプロセスである。 Well-being Implication: 幸福は、安定した状態ではなく、危機や新たな 経験を契機に自己の意味世界を再構築する、 深層的な変化の運動そのもので、ある。 Limitation: 個人の内面的変化に焦点を当てるが、それを 制約する社会的・文化的条件を十分に説明して いない。 第2の運動:行為可能性の拡張(ブルデューのハビトゥス論) Core Concept: 個人の選択や行為は、過去の経験を通じて身体化された「ハビトゥス」(無意識の行為傾向)と、社会の「資本」(経済・文化資本)構造に強く規定される。 Well-being Implication: Well-beingの実現は、個人の努力だけでなく、不平等を再生産する社会構造を可視化し、ハビトゥスの惰性を打破する経験によって可能になる。 Limitation: 構造の拘束性を明かにするが、個人がいかにその制約を突破しうるかの能動的側面について論じられていない。 🔖 NoteBook AI 第3の運動:制度条件の再編(セノケイパビリティ・アプローチ) Core Concept: 豊かな人生とは、達成された結果(functionings)ではなく、それを自由に選択できる実質的な可能性(capabilities)の多さで評価されるべきである。 Well-being Implication: 真のWell-beingには、形式的な権利だけでなく、教育や福祉といった社会的制度によって、多様な生き方を実質的に選択できる条件が整備されなければならない。 Limitation: 選択肢の「広がり」は強調するが、人が「なぜそれを望むのか」という価値形成のプロセスを十分に説明していない。 NotebookMM 統合モデル:価値・行為・制度が「共創」のなかで連動する 価値再構築 (メロー) 行為可能性の拡張 (プルデュー+セン) 制度条件の再編 (政策・文化) 対話 (Dialogue) 共同エージェンシー (Co-agency) 共創 (Co-creation) これらの三層は独立しているのではなく、「対話」を通じて相互作用し、「共同エージェンシー」を生み出し、「共創」という動的なプロセスの中でWell-beingを生成し続ける。 NotebookLM 機上の空論ではない。 この運動は、A県B市「ワンステップ」事業に現れている。 Program Overview: 生活困窮世帯の生徒を対象とした学習支援事業。 行政、社会福祉協議会、大学、市民ボランティア など多様な主体が連携し、学習支援と「居場所づ くり」を組み合わせる。 Key Feature: 学力補充だけでなく、地域全体のネットワークを 基盤とした開かれた環境で、支援者と被支援者の 関係が固定化されず、相互的な学びが生まれる。 B市福祉課 事業委託 ↓ ↓ 大学大学 ←――――→ 学習支援事業 ←――――→ B市社会福祉協議会 ワンステップ ↙ ↘ ボランティア参加 学びあい ボランティア参加 ↓ ↓ 市民・一般 生徒の利用 ボランティア ↓ 対象世帯 (生徒) 「教える場」から「学び合う場」へ。支援者と被支援者の境界が溶け合う現場。 生徒の変容 「中学生も高校なんていいかんでいいよって言われていたけれど、どうしようかなって考えるようになった。」 限定されていた進路選択の枠組みが拡張され、学習意欲だけでな
本研究のウェルビーイング小話はこちら😊
はぴテク相談室:多様な主体の連携による学び合いを通した地域共創
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-12-07-1765144807/