はぴテク相談室:フリーランスって幸せだ。でも会社員ぽく働くと・・・
最近、フリーランスになることを考えているんですが、友人から「フリーランスって結局会社員みたいな働き方になる人も多いよ」って言われて、ちょっと不安になってきました。フリーランスって本当に幸せになれるんでしょうか?
それは大事な視点ですね!実は経済産業研究所が2024年に発表した調査で、まさにそのテーマが研究されているんですよ。約2,251人のフリーランス・独立自営業者のデータを分析した結果、全体的にフリーランスや自営業の方は幸福度が高い傾向があることが確認されています。でも、その中に「会社員ぽく働いているかどうか」で大きな差が出てくるんです。
「会社員ぽく働く」っていうのは、どういう意味ですか?
研究では「労働者性」という概念を使っています。難しく聞こえますが、簡単に言うと「フリーランスなのに、実質的には会社員と同じような状況で働いているかどうか」ということです。たとえば、仕事を断れない、細かく指示される、場所や時間を縛られる、特定の一社にほぼ専属で働く、といった状況が当てはまります。この研究では、フリーランスの約4割がこういった「労働者性あり」の状態にあると確認されています。
4割もいるんですね。それって、どんな影響があるんですか?
かなりはっきりした差が出ていました。労働者性が高いほど、幸福度・仕事満足度・生活満足度が低くなる傾向があるんです。さらに、時間あたりの賃金も低く、週の労働時間は長くなり、「自分は生産的に働けている」という感覚も低下し、健康やメンタルヘルス、仕事へのやる気(ワークエンゲイジメント)にもマイナスの影響が見られました。
それって、もともと仕事が苦手な人がそういう働き方になっちゃうだけ、とかじゃないんですか?
鋭い疑問ですね!研究ではそこもきちんと考慮されていて、過去の職務経験やフリーランスになった理由(自分の意志でなったのか、仕方なくなったのか等)をデータ上でコントロールしても、労働者性が高いほどパフォーマンスが低いという結果は変わらなかったんです。ただ、これは相関関係の分析なので「労働者性が高いから必ず悪くなる」とは言い切れない点は注意が必要です。
なるほど。逆に、取引先との関係も影響するんですか?
そうなんです。研究では取引関係についても分析していて、面白い結果が出ています。特定の取引先と安定・継続的な関係がある場合はパフォーマンスにプラスの影響がある一方、取引先から立場を利用して無理な条件を押しつけられる(優越的地位の乱用)場合はパフォーマンスにマイナスの影響があることが示されました。安定した取引関係と、一方的に支配される関係は、似ているようで全然違うものなんですね。
つまり、フリーランスとして幸せに働くには「自律性を守れるかどうか」がポイントになりそうですね。
まさにそこが核心だと思います。この研究の結果を見ると、フリーランスという働き方そのものよりも、「実際にどれだけ自分で判断・選択できる状態か」が、幸福度や仕事の充実感と関係していそうです。仕事を断れる、時間や場所をある程度自分で決められる、特定の一社に縛られすぎない、といった状況を保てるかどうかが大切なポイントになってきますね。
では、フリーランスになる前にどんなことを意識しておくといいでしょう?
この研究から読み取れる範囲でお伝えすると、まず契約を結ぶ前に「仕事を断れるか」「指示系統がどうなっているか」「時間・場所の拘束はどの程度か」を確認することが大事です。また、収入を一社に依存しすぎると、結果的に断れない状況になりやすくなります。複数の取引先を持てる状態を意識することも、自律した働き方を守るうえで参考になりそうです。ただし、これはあくまで研究からわかる傾向であり、個々の状況によって異なる点はご留意ください。
会社員の立場から見ても、何か参考になることはありますか?
いい視点ですね!この研究は裏返すと、会社員でも「自分で判断できる裁量」や「自律性」が高い働き方ができると、幸福度や仕事への充実感が高まる可能性を示唆しているとも読めます。ただし、研究の対象はあくまでフリーランス・独立自営業者なので、会社員に直接当てはめるには限界があります。あくまでひとつの参考として捉えてもらえると良いと思います。
フリーランスを考えているだけじゃなく、今の働き方全体を見直すヒントにもなりますね。ありがとうございました!
そうですね!「自分がどれだけ自律して働けているか」を振り返るきっかけにしてみてください。フリーランスか会社員かという形だけでなく、実際の働き方の中身が大切だということを、この研究は教えてくれていると思います。
■ 今日のまとめ
- フリーランス・自営業は全体的に幸福度が高い傾向があるが、「会社員ぽく働く状態(労働者性が高い)」になるほど、幸福度・仕事満足度・賃金・健康・メンタルヘルスなど多くの面でマイナスの傾向が見られた。
- フリーランスの約4割が実質的に会社員に近い「労働者性あり」の状態にあることが確認されており、過去の経験やフリーランスになった経緯を考慮してもこの傾向は変わらなかった。
- 取引先との関係では、安定・継続的な取引はプラスの影響、優越的地位の乱用はマイナスの影響があり、「自律して働けるかどうか」が幸福度や仕事の充実感と関係している可能性がある。
■ 出典・注意事項
- 出典:経済産業研究所「独立自営業者の労働者性とそのパフォーマンスの関係」2024年10月 https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/24100003.html
- 注意事項①:本研究は独立自営業者2,251人を対象とした調査であり、会社員には直接適用できません。
- 注意事項②:分析は相関関係の確認であり、労働者性の高さがパフォーマンス低下を引き起こすという因果関係が証明されたものではありません。
- 注意事項③:過去の職務経験やフリーランスになった理由などをコントロールした分析が行われていますが、調査対象や手法の限界があります。結果の解釈には慎重さが必要です。
研究自体の紹介はこちら😊
フリーランスって幸せだ。でも会社員ぽく働くと・・・
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-10-11-1728686946/