はぴテク相談室:幸せってネガティブなことが少ない事。と思っていると、幸福度が低下する
はぴテクさん、最近すごく疲れていて…。なんか、嫌なことや辛いことをできるだけ減らせば幸せになれると思って、苦手な人と会う約束を断ったり、失敗しそうなことは最初からやらないようにしてるんですけど、なんか全然幸せになれなくて。むしろ気分が落ちてきてる気がするんです。
それは辛いですね。でも実はその感覚、ちょうど面白い研究とピタッと重なるんです。「嫌なことをなくすことが幸せだ」という信念が、かえって幸福感を下げるという研究があるんですよ。
え、そうなんですか?嫌なことが減ったら幸せになれると思うのって、普通じゃないんですか?
すごく自然な考え方ですよね。でも研究によると、「ネガティブな経験がない状態=幸せだ」という信念を強く持っている人ほど、主観的な幸福感や心理的な充実感が低くて、うつの症状も出やすい傾向が見られたんです。しかも韓国やアメリカなど異なる文化でも同じ結果が出ていました。
えっ…じゃあ、なんでそうなるんでしょう?嫌なことを避けているはずなのに。
そのメカニズムもちゃんと調べられていて、「ネガティブな経験への過敏さ」がカギだとわかりました。つまり、「嫌なことはあってはいけない」と思っていると、少しでも嫌な要素があるとアンテナが敏感に反応して、ちょっとしたネガティブなことでもズドンと大きく感じてしまうんです。
なるほど…。確かに最近、小さなことでもすごく嫌な気持ちになっちゃうんですよね。
まさにそれかもしれません。さらにその過敏さが高まると、「ネガティブな部分が含まれているかも」と感じた経験を丸ごと避けるようになってしまう。旅行のシナリオを使った実験でも、ちょっとでもネガティブな要素があると予期されると、その体験自体への意欲がガクっと下がることが示されていました。
旅行のシナリオ、面白いですね。つまり私が約束を断ったり、挑戦しなかったりするのも、それに近い感じですか?
そう考えると合点がいきますね。ポジティブな面があってもネガティブな要素が含まれていると、その経験全体を避けてしまう。すると、楽しさとか達成感とか、幸せにつながるチャンスを先に捨てていることになるんです。しかも、この信念は5年後のウェルビーイングの低下も予測していました。縦断研究でも確認されているので、長期的な影響も気になるところです。
5年後まで…それはちょっと怖いですね。じゃあどうすればいいんでしょう?ネガティブを全部受け入れろってこと?
「全部平気!」になる必要はないですよ(笑)。研究でも、ポジティブな感情が多めな状態は幸せにつながるとされています。ただ、「ネガティブがゼロじゃないといけない」という信念を少し緩めることが大事、という示唆があります。ポジティブとネガティブの比率が1対1から3対1くらいが適切とも言われていますし、ある程度のネガティブは生きていれば自然についてくるものとして受け取れると、行動の幅が広がりやすいんです。
「ゼロじゃないといけない」という信念を緩める、か。それって具体的にはどうすればいいんでしょう?
たとえば、少し不安だけど気になることにあえて一歩踏み出してみて、「嫌なこともあったけど、それ以上に良かった」という体験を積み重ねていくのが一つのヒントかなと思います。研究では、ネガティブな経験の「潜在的な利点を認識すること」が幸福を高める機会につながると述べられています。嫌な経験から何か得たと感じられると、「ネガティブ=排除すべきもの」という信念が少しずつ変わっていく可能性があります。
ネガティブな経験にも利点がある、という視点を持つんですね。なんかちょっと気持ちが楽になってきました。避けることに頑張りすぎていたかもしれないです。
その気づきはとても大切ですよ。「ネガティブを避けることが幸せへの道」という信念自体を、そっと見直してみること。それだけで少し行動が変わって、結果的に幸せにつながる機会が増えていくかもしれません。もちろん、すぐに全部変える必要はないですけどね😊
■ 今日のまとめ
- 「ネガティブな経験がない状態=幸せ」という信念(否定的な快楽主義的信念)を強く持つ人ほど、幸福感が低く、うつ症状も出やすい傾向が複数の研究で確認されました。
- そのメカニズムは「ネガティブへの過敏さ」で、少しでも嫌な要素があると経験全体を避けてしまい、幸せにつながるチャンスを逃してしまうことが示されています。
- ネガティブをゼロにしようとするのではなく、「ある程度のネガティブは自然なもの」という視点を持ち、ネガティブな経験の中にある利点にも目を向けることが、長期的なウェルビーイングにとって重要である可能性が示唆されています。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Joo, Y. et al. (2024). The Unhappy Beliefs of Happiness: Investigating the Mechanisms Underlying the Links Between Negative Hedonic Beliefs and Diminished Well-Being. Journal of Happiness Studies. https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-024-00804-0
- 【注意事項①】本研究の多くは相関研究であり、「否定的な快楽主義的信念が幸福感を下げる」という因果関係が証明されたわけではありません。信念が低い幸福感を生むのか、低い幸福感がその信念を強めるのか、双方向の可能性があります。
- 【注意事項②】参加者は主に韓国人成人・大学生およびアメリカ人成人であり、結果がすべての文化・年齢層に一般化できるとは限りません。
- 【注意事項③】縦断研究(研究3)も相関に基づくものであり、因果の方向性については今後のさらなる研究が必要です。
研究自体の紹介はこちら😊
幸せってネガティブなことが少ない事。と思っていると、幸福度が低下する
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-09-21-1726956003/