2024.06.29

はぴテク相談室:コーチの自律性サポートは選手の活力を高める。さらに感謝の風土があると効果が高まる

相談者

最近、チームのメンバーがなんだか元気がなくて…。私はリーダーなんですが、みんなが自分で考えて動けるように、なるべく口出しせずにいるんです。でも、あまり活力が上がっている感じがしなくて。何かが足りないのかなと思って相談しました。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは気になりますよね。じつは最近、スポーツチームを対象にした面白い研究が出たんです。「コーチが選手の自律性をサポートすると、選手の活力が高まる」という結果が出たんですが、さらにもう一つ重要な条件があることも分かったんです。

相談者

もう一つの条件って何ですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

「感謝の風土」です。チーム全体に感謝し合う雰囲気があると、自律性サポートの効果がさらに強まるという結果が出たんです。逆に、感謝の風土が低いチームでは、自律性サポートの効果がほとんど確認されなかったんですよ。

相談者

感謝の風土…。それってどういう雰囲気のことですか?メンバーが「ありがとう」と言い合うということですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですね、それも含まれます。もう少し広く言うと、チームの中でお互いの行動や助けを認め合い、ありがたいと感じ合える空気感のことです。この研究では、そういう雰囲気が「社会文化的な構造」として機能していると説明しています。

相談者

なるほど。でも、感謝の風土があると、なぜ自律性サポートの効果が高まるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では3つの理由が考えられています。一つ目は「注意の範囲が広がる」こと。感謝の気持ちがあると、コーチや周りの人からのサポートに気づきやすくなるんです。二つ目は「考え方の幅が広がる」こと。感謝の雰囲気の中にいると、誰かの支援的な行動に対して、反射的にではなく、じっくり考えて前向きに受け取れるようになります。三つ目は「感謝の行動そのものをより認識できるようになる」こと。高い感謝の風土の中では、コーチのサポートに対しても感謝として受け取りやすくなるんです。

相談者

二つ目の「じっくり考えて前向きに受け取る」というのが特に大事そうですね。確かに、雰囲気が悪いと、ちょっとした口出しでも「また言われた」って感じになりそうです。

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそこがポイントだと研究でも示唆されています。感謝の風土があると、リーダーの働きかけを「支援してもらっている」とポジティブに解釈しやすくなる。それが活力につながる、という流れですね。メンバーが元気に自分で考えて動くためには、本人の自律性を尊重することに加えて、チーム全体の雰囲気づくりも一緒に考えてみると良さそうです。

相談者

具体的に感謝の風土を作るために、リーダーとして何かできることはありますか?研究では何か書かれていましたか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究自体は「感謝の風土が高いか低いかで効果が変わる」という関係性を調べたもので、風土をどう高めるかの具体的な方法までは検証されていないんです。ただ、研究の考え方を踏まえると、リーダー自身が日頃からメンバーの行動に感謝を言葉にして伝えること、メンバー同士がお互いの貢献を認め合う場を意識的に作ることが、感謝の風土づくりの一歩になりそうですね。

相談者

なるほど。自律性を尊重しながら、同時に感謝を言葉にして伝えることも続けてみます。口出しを減らすだけじゃダメだったんですね、反省しました。

はぴテクさん
はぴテクさん

口出しを減らしてメンバーの判断を尊重しようとしていたのは、研究で言う「自律性サポート」に通じる大切なことです。そこにチーム全体の感謝の雰囲気というもう一枚のレイヤーを加えると、メンバーの活力が高まる可能性があることが今回の研究から示されています。ただし、この研究はスポーツチームが対象なので、ビジネスの現場でまったく同じことが起きるかは別途考える必要がありますが、参考にできる視点は多いと思いますよ。

相談者

ありがとうございます。「自律性サポート+感謝の風土」というセットで考えるとよいんですね。今日は具体的なヒントをもらえてよかったです!

■ 今日のまとめ

  • コーチ(リーダー)が自律性をサポートする(自分で考えることを尊重する)と、アスリートの活力が高まる関係が確認されました。
  • チームに「感謝の風土」がある場合、この自律性サポートの効果がさらに強まり、感謝の風土が低いチームでは効果が確認されませんでした。
  • 感謝の風土が効果を高める理由として、①サポートへの気づきやすさの向上、②支援を前向きに解釈する思考の広がり、③感謝行動の認識と評価の高まり、の3つが考えられています。

■ 出典・注意事項

  • 【出典】Fonseca, P. et al. (2024). When does perceived coach autonomy support enhances change in athletes' subjective vitality? The multilevel moderating role of grateful climate. The Journal of Positive Psychology. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17439760.2024.2362434

  • 【注意①】本研究は相関・予測関係を見た観察研究であり、「自律性サポートが活力を引き起こす」という因果関係を直接証明したものではありません。

  • 【注意②】対象は32スポーツチーム・203名のアスリートに限定されており、ビジネス組織や他の集団への一般化には慎重さが必要です。

  • 【注意③】感謝の風土をどのように高めるかの具体的介入方法は本研究では検証されていません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
コーチの自律性サポートは選手の活力を高める。さらに感謝の風土があると効果が高まる
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-06-29-1719703807/

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