2024.05.27

はぴテク相談室:幸せを恐れて避ける、幸福恐怖症

相談者

最近、なんか良いことがあっても素直に喜べないんです。「どうせこの後悪いことが起きるんじゃないか」って思ってしまって…。幸せを感じること自体が怖いというか。これって変なんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

全然変じゃないですよ。実は「幸福恐怖症(Cherophobia)」という名前がついた心理的な傾向で、研究でも確認されているんです。幸福や喜びを感じることを恐れたり、避けようとしてしまう状態のことです。「良いことの後には悪いことが来る」という感覚、まさにそれが典型的なパターンのひとつなんです。

相談者

え、そういう名前があるんですか。じゃあ私だけじゃないんですね。でも、なんでそんなふうに思ってしまうんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究者のジョシャンルーとウェイジャーズ(2014)によると、幸福を恐れる理由はざっくり4つに整理されています。①幸せになると不快なことが引き起こされる、②幸せになると道徳的に堕落する、③幸せを表現することが自分や他人に有害、④幸福を追求すること自体が悪い、というものです。あなたが感じている「良いことの後に悪いことが来る」は①に近いですね。

相談者

確かに…。あと「自分が幸せになっていいのかな」って思うこともあります。なんか自分には幸せになる資格がないような気がして。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは「幸福に関する非合理的な信念」のひとつで、「自分は幸せになる資格がない」「幸せになるには良い人間でなければならない」という考え方です。研究では、こういった信念が背景にあることが多いと指摘されています。また、他にも「幸せは長続きしない」「幸福を追求することは自己中心的だ」「苦労せずに得た幸せは本物じゃない」といったパターンもよく見られますが、心当たりはありますか?

相談者

あ、「苦労しないと幸せじゃない」は結構思うかもしれないです。楽しいことをしていると「こんなことしていていいのかな」って罪悪感が出てきます。

はぴテクさん
はぴテクさん

それも研究で挙げられている典型的な信念のひとつです。「苦労なしに得た幸せは本物ではない」という考え方ですね。ちなみに、こういった幸福恐怖症はアジア文化圏の方に比較的多い傾向があることも研究で示されています。集団の調和を重視する文化や、謙虚さを美徳とする文化、感情を表に出しにくい空気感、そういった社会的な背景も影響していると考えられています。

相談者

言われてみると、「幸せそうにしてると自慢みたいで嫌だな」とか「他の人が大変な中で自分だけ楽しんでいいのかな」とか思うことがあります。それも関係してますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそれです。「他者を犠牲にして幸せになるべきではない」「幸福の追求は利己的だ」という信念として研究に登場するパターンですね。そして、こうした幸福恐怖症はストレスや不安などのメンタルヘルスの問題と関連し、幸福度を下げることとも結びついていることが研究(Murat et al., 2018など)で示されています。

相談者

じゃあ、こういう考え方って変えていけるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、研究では対処のアプローチがいくつか紹介されています。大きく3つで、①恐怖の対象に少しずつ近づいていく「エクスポージャー」的なアプローチ、②非合理な信念を特定して見直す「認知行動療法(CBT)」的なアプローチ、③感謝や強みに目を向ける「ポジティブ心理学」的なアプローチです。共通しているのは、まず「どんな信念が自分の幸せを怖がらせているのか」を自覚することから始めるという点です。

相談者

信念を自覚する、か…。確かに「なんで自分は幸せを素直に喜べないんだろう」って考えたことはあまりなかったかもしれないです。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。自覚できたら次のステップとして、研究が特に勧めているのが「小さな幸せを意図的に味わう」ことです。いきなり大きな幸せじゃなくていい。おいしいものを食べたとき、天気が良い日、好きな音楽を聴いたとき、そういうちょっとした幸せを「あ、これ幸せだな」と少し立ち止まって感じてみる。それを積み重ねることで、幸せを脅威ではなくポジティブなものとして体感していけると考えられています。

相談者

小さな幸せをちゃんと味わう、ですか。なんかシンプルだけど、確かに普段は流してしまってる気がします。やってみます!

■ 今日のまとめ

  • 幸福を感じることを恐れたり避けたりする「幸福恐怖症(Cherophobia)」は研究で確認されている心理的傾向で、あなただけではありません。
  • 「良いことの後に悪いことが来る」「自分には幸せになる資格がない」「苦労しないと幸せじゃない」などの非合理な信念が背景にあることが多く、まずその信念を自覚することが大切とされています。
  • 対処のポイントは「小さな幸せを意図的に味わう」こと。日常のちょっとした幸せに立ち止まって気づく習慣が、幸せを脅威でなくポジティブなものとして体感する助けになると研究では示されています。

■ 出典・注意事項

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
幸せを恐れて避ける、幸福恐怖症
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-05-27-1716849018/

はぴテクさんのウェルビーイング相談室 なんとかなるありのままに 主観的幸福・幸福測定文化と幸福・日本的幸福感情・レジリエンス

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