はぴテク相談室:リモートとリアルのハイブリットワーカーのウェルビーイング
最近、会社がハイブリッドワークを導入したんですが、上司から『週何日出社するかは各自で決めて』って言われて、なんか逆に迷ってしまって…。自由なのに、なぜかモヤモヤするんです。
それは興味深いお悩みですね。実はまさにその『自由さ』に関係する研究が発表されているんですよ。NTTと東京工業大学が、日本とアメリカのハイブリッドワーカー各1,000人ずつ、合計2,000人を対象に調査した研究です。あなたのモヤモヤ、日本人として実はごく自然な感覚かもしれません。
えっ、そうなんですか?自由な方が嬉しいはずなのに、なぜモヤモヤするのか自分でも不思議で。
この研究では、職場の『社会規範』というものを調べています。社会規範というのは、『みんなこうするよね』という職場の暗黙のルールのことです。研究では、出社やリモートについて『こうしなさい』という明確な指示(命令的規範と呼んでいます)を強く感じている人ほど仕事での幸福感が高い、という傾向が、アメリカ人には見られたんです。
アメリカ人の方が明確な指示を好むんですか?なんか意外ですね。アメリカ人って自由を好むイメージがあったので。
研究者たちも注目している点で、直感と逆ですよね。研究では、アメリカは雇用の流動性が高く解雇も起こりやすい環境なので、明確な指示があることで『自分はちゃんとやるべきことをやっている』という安心感につながりやすい、という背景が考察されています。一方、日本人は強い命令的規範と幸福感の間にそういった正の相関は見られませんでした。
じゃあ、日本人はルールがない方が幸せってことですか?
研究の結果からはそれに近い傾向が見えていますね。調査の中でインタビューも行われていて(24人)、日本人は『出社を命令される』ことをどちらかというとネガティブに受け取る傾向があったそうです。一方アメリカ人はポジティブに捉えていた。文化や職場環境の違いが、同じルールでも受け取り方を変えているようです。
なるほど…。でも私の場合、自由なのにモヤモヤしているのはなぜでしょう?日本人なら自由な方が良いはずなのに。
鋭い視点ですね。この研究はあくまで1,000人規模の平均的な傾向を示したもので、『日本人全員が自由な方が幸せ』と言っているわけではありません。個人差は当然あります。それに、自由があっても『周りはどうしているんだろう』『自分の選択は正しいのかな』という、いわゆる暗黙の空気が読めない状態になると、それ自体がストレスになることもありますよね。
確かに!周りが何日出社しているのか分からないから、自分だけ少なかったらどう思われるかとか、逆に多すぎても…って考えちゃいます。
まさにそれです。この研究でも『職場の社会規範』、つまり『みんながどうしているか』という暗黙の了解が、ハイブリッドワーカーのウェルビーイングと関係していると示されています。明確なルールがなくても、チームの中で『うちはだいたいこんな感じ』という共通認識が育っていると、その不安は和らぐかもしれませんね。
なるほど。じゃあ、上司や同僚と『うちのチームはどうする?』って話し合うのが良さそうですね。
それはとても良いアプローチだと思います。強制的なルールでなくても、チーム内で自然と共有された『うちはこんな感じ』という空気感があると、安心して働けることにつながる可能性があります。この研究はあくまで相関の調査なので『こうすれば必ず幸せになる』とは言えませんが、あなたのモヤモヤの正体を考えるヒントにはなりそうですよね。
はい!自分がモヤモヤしていた理由がなんとなく分かった気がします。『自由だから不安』じゃなくて、『周りの基準が見えないから不安』だったんですね。チームで少し話してみます。ありがとうございました!
素晴らしい気づきですね!『自由』と『安心』は別物で、その両方がそろうと働きやすくなる、ということを研究も示唆しています。ぜひチームで気軽に話し合ってみてください。あなたと同じようにモヤモヤしているメンバーがいるかもしれませんよ。
■ 今日のまとめ
- アメリカのハイブリッドワーカーは『出社日数などを明確に指示されること』と仕事での幸福感に正の相関が見られた一方、日本のハイブリッドワーカーにはその傾向は見られず、文化によって同じルールの受け取り方が異なることが示された
- 日本人へのインタビューでは命令的な規範をネガティブに捉える傾向があり、アメリカ人はポジティブに捉える傾向があった。これは雇用の流動性など文化・労働環境の違いが背景にあると研究では考察されている
- 『自由なのに不安』という感覚は、明確なルールがなくても職場内の暗黙の共通認識(社会規範)が見えないことからくる場合があり、チーム内で働き方について話し合うことが一つのヒントになりうる
■ 出典・注意事項
- 【出典】The Impact of Social Norms on Hybrid Workers' Well-Being: A Cross-Cultural Comparison of Japan and the United States / CHI '24: Proceedings of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems, May 2024 / NTT・東京工業大学 / https://dl.acm.org/doi/10.1145/3613904.3641928
- 【注意事項①】本研究は調査データをもとにした相関研究です。『命令的規範があるから幸福になる』という因果関係が証明されたわけではありません
- 【注意事項②】対象はハイブリッドワーカー(日本・米国各1,000人)に限定されており、フルリモートや完全出社の働き方、他の国・文化には直接あてはまらない可能性があります
- 【注意事項③】平均的な傾向を示したものであり、個人差があります。すべての日本人が自由な働き方を好む、またはすべてのアメリカ人が指示を好む、というわけではありません
研究自体の紹介はこちら😊
リモートとリアルのハイブリットワーカーのウェルビーイング
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-05-13-1715632897/