2024.04.14

はぴテク相談室:日本人における感謝、自尊心、楽観主義が、主観的および心理的幸福にどう影響するか?

相談者

最近、幸せになりたくていろいろ調べているんですが、『感謝する』『自己肯定感を高める』『ポジティブに考える』って全部大事って言われますよね。でも正直、全部やろうとすると疲れちゃって。どれか一つに絞るとしたら、どれが一番効くんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

それは気になりますよね!実は日本人を対象にした2024年の研究で、まさにその3つ——感謝・自尊心・楽観主義——が幸せにどう関係するかを調べているんです。結論から言うと、『全部効く、でも効き方がそれぞれ違う』というのが面白いところなんです。

相談者

効き方が違う、というのはどういうことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

まず幸せには2種類あると思ってください。一つは『主観的ウェルビーイング』、つまり『毎日楽しい、人生に満足してる』というような日常的な幸福感。もう一つは『心理的ウェルビーイング』、つまり『自分らしく生きている、人と深くつながっている、人生に意味がある』といった、より深いレベルの充実感です。この研究では、自尊心は前者の日常的な幸福感と特に強く結びついていて、感謝は後者の深い充実感——特に『成長できている』『人と良い関係がある』『生きがいを感じる』——と強く結びついていることが分かりました。

相談者

なるほど。じゃあ『今すぐ気持ちを上げたい』なら自尊心、『人生を深く豊かにしたい』なら感謝、ということでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

その整理はとても直感的で分かりやすいですね。研究の結果と方向性が合っています。ただ一点補足すると、これはあくまで相関関係、つまり『そういう傾向がある』という話で、『自尊心を高めれば必ず日常の幸福感が上がる』と因果関係が証明されたわけではない点は頭に置いておいてください。

相談者

分かりました。では楽観主義は?あまり出てこないような気が……

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭いですね(笑)。楽観主義は、心理的ウェルビーイングの中の『自己受容』——つまり『自分のいいところも悪いところも含めて、自分を認める』という感覚——と関連が見られました。ただ他の2つと比べると、関連の範囲は少し限定的でした。『なんとかなる』という気持ちは、自分自身を丸ごと受け入れることに繋がっているのかもしれませんね。

相談者

面白い!ところで、もう一つ気になるんですが、この研究で『自律性』や『人生の目的』は幸福感とあまり関連がなかったと書いてありました。それって、目的を持って生きることは大切じゃないってこと?

はぴテクさん
はぴテクさん

それ、すごく大事な疑問です。この研究の対象は日本の大学生71名で、しかも日本という文化的背景があります。研究者自身も、日本では『和を大切にする』という価値観があるため、『自分の意見をはっきり主張する』とか『自分だけの人生の目的を持つ』ということが、必ずしも日常の幸福感と直結しないのかもしれないと考察しています。また対象が大学生という年代的な特性も影響している可能性があります。なので『目的は意味がない』というより、『この集団・この文化では今回の指標との相関が見られなかった』という解釈が正確です。

相談者

なるほど、文化や年代によっても変わってくるんですね。あと、経験サンプリングという4週間の調査もあったと書いてありましたが、それで何が分かったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

これがまた面白いんですよ。4週間、日常生活の中でこまめに感情や満足度を記録してもらった調査です。感謝の気持ちが高い人は、ポジティブな感情を感じたとき、その日の満足感もより強く上がりやすかった。一方、自尊心が高い人は、ポジティブな感情を感じても、日々の満足感への影響が比較的小さかったんです。

相談者

え、それって自尊心が高いと感情に左右されにくい、ということ?

はぴテクさん
はぴテクさん

そのように解釈できそうですね。自尊心が高い人は、ちょっとしたポジティブな出来事がなくても安定した満足感を保ちやすいのかもしれません。感謝が高い人は、良い出来事や感情をより豊かに受け取って幸福感に変換しやすい、という違いがありそうです。ただこれも相関のデータなので、断言はできません。

相談者

なんかそれぞれに良さがありますね。じゃあ結局、私は何から始めればいいんでしょう(笑)

はぴテクさん
はぴテクさん

(笑)この研究が示すのは、3つはそれぞれ幸せの違う側面に効いているということ。だから『どれか一つ』より、自分が今何を求めているかで選ぶのがヒントになりそうです。『毎日をもっと楽しくしたい』なら自尊心、『人との関係や成長を感じたい』なら感謝、『自分を丸ごと認めたい』なら楽観主義、という風に。全部やろうとして疲れるより、今の自分に合った一つから試してみるのがいいかもしれませんね。

■ 今日のまとめ

  • 感謝・自尊心・楽観主義はいずれも幸福感と関連があるが、効き方が異なる。自尊心は日常的な満足感・幸福感と特に強く結びつき、感謝は人格的成長・他者との関係・生きがいといった深い充実感と強く関連していた。
  • 日常の感情記録(経験サンプリング)では、感謝が高い人はポジティブな感情をその日の満足感により強く結びつけやすく、自尊心が高い人は感情の波に左右されにくい安定した満足感を示す傾向があった。
  • 『自律性』や『人生の目的』は今回の集団(日本人大学生)では主観的幸福感との相関が見られなかったが、これは文化的背景や対象の年代が影響している可能性があり、目的を持つことが無意味という結論ではない。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Distinct associations between gratitude, self-esteem, and optimism with subjective and psychological well-being among Japanese individuals, BMC Psychology, 2024年3月 https://bmcpsychology.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40359-024-01606-y

  • 注意事項①:本研究は横断的な相関研究(および4週間の経験サンプリング)であり、感謝・自尊心・楽観主義が幸福感を『引き起こす』因果関係を証明するものではありません。

  • 注意事項②:対象は日本人大学生71名と限定的なサンプルです。年代・文化・サンプルサイズの制約があり、結果をすべての人に一般化することには注意が必要です。

  • 注意事項③:楽観主義については他の2つと比べて関連の範囲が限定的で、今回の分析で検出されなかった関連が他の集団や指標では見られる可能性があります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
日本人における感謝、自尊心、楽観主義が、主観的および心理的幸福にどう影響するか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-04-14-1713052806/

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