2023.12.14

はぴテク相談室:都市緑地とウェルビーイング

相談者

最近、なんとなく気持ちが沈みがちで、コロナ禍以来ずっとおうちにいることが多くなってしまって。近くに公園とかあるんですけど、行く気がなかなか起きなくて…。緑のある場所って、実際に気持ちに効果あるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

気持ちが沈みがちなんですね。それは気になりますね。実はその疑問にヒントをくれる研究があるんですよ。東京に住む4,000人以上の大人を対象にした調査で、コロナ禍という特別に大変な時期に、公園などの都市の緑地を利用した人と利用しなかった人を比べてみたんです。

相談者

へえ、コロナ禍のときの研究なんですね。それでどんな違いがあったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

緑地を利用した人は、利用しなかった人に比べて、主観的な幸福感、つまり「自分は幸せだ・気持ちがいい」という感覚が良好だったという関連が見られたんです。さらに体を動かす活動量も高い傾向がありました。パンデミックという危機的な状況でも、緑地が人々の生活を支える役割を果たしていた可能性が示された、ということですね。

相談者

そうなんですね!でも、公園ってひとくちに言っても、近所の小さな公園から大きな公園までいろいろありますよね。どんな緑地でも同じ効果があるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭い質問です!実はそこが面白いポイントで、緑地の種類によって幸福感との関連の大きさが違ったんです。特に影響が強かったのは「大きな公園」と「市民農園(農作業ができる場所)」だったそうです。ただ、それ以外の公園や緑地、小さな農園なども、ウェルビーイングを高める傾向は見られたので、大きな公園じゃないとダメということではないんですよ。

相談者

市民農園って意外でした!野菜とか育てる場所ですよね。なんで農園が特に強いんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究の中でその「なぜ」については明確には説明されていないので、断定はできないんですが、農園は自然の中で体を動かしながら、何かを育てるという目的を持った活動ができる場所ですよね。大きな公園も、広い自然空間でのびのびと過ごせるという特徴があります。ただ、この研究は「利用した人のほうが幸福感が高かった」という関連を示しているもので、緑地が幸福感を直接高めた、という因果関係を証明したわけではない点は大事なところです。

相談者

なるほど、関連があるってことなんですね。ちなみに、誰でも同じように緑地の恩恵を受けられるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

実はそこも研究で触れられていて、利用する人の属性によっても関連の大きさが違ったとのことでした。つまり、緑地の効果は一律ではなく、人によっても差があるということです。だからこそこの研究では「いろいろな人が緑地にアクセスできるようにすることが大切」と指摘していて、多様な種類の緑地が組み合わさった、歩いていける街づくりが重要だと結論づけています。

相談者

「歩いていける範囲にいろんな緑地がある」というのが大事なんですね。私の近所には小さい公園しかないんですが、それでもわざわざ行く意味はありそうですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ありそうです!研究では大きな公園や市民農園が特に関連が強かったとはいえ、小さな公園や緑地も幸福感や身体活動と良好な関連があることは示されていましたから。まずは近所の小さな公園からでも、外に出て緑に触れてみることは、何もしないよりも意味があるかもしれませんよ。

相談者

そう聞くと、ちょっとだけ外に出てみようかなという気になってきました。週末に近所の公園を散歩してみようかと思います!

はぴテクさん
はぴテクさん

それは素敵ですね!もし機会があれば、ちょっと足を延ばして広めの公園に行ったり、市民農園が地域にあれば覗いてみたりするのも面白いかもしれません。緑のある場所に行くことが、日々の暮らしの中の小さな選択肢のひとつになると良いですね。

■ 今日のまとめ

  • コロナ禍の東京の成人4,000人以上を対象にした調査で、都市の緑地(公園・農園など)を利用した人は、利用しなかった人に比べて主観的な幸福感や身体活動量が良好だという関連が見られました。
  • 特に「大きな公園」と「市民農園」は幸福感との関連が強く、小さな公園などその他の緑地も一定の関連が確認されています。
  • 緑地の効果は利用者の属性や緑地の種類によって異なるため、多様な人が歩いてアクセスできる範囲に多様な緑地が整っていることが重要とされています。

■ 出典・注意事項

  • 出典:吉田ほか「COVID-19 蔓延下における都市緑地の利用と健康・ウェルビーイング」日本都市計画学会 都市計画報告集, 22巻3号, pp.468-, 2023/12/14. https://www.jstage.jst.go.jp/article/reportscpij/22/3/22_468/_pdf

  • 注意事項①【相関であって因果ではない】:この研究は横断調査(ある時点でのスナップショット)をもとにした関連の分析です。「緑地を利用したから幸福感が高まった」という因果関係を証明したものではありません。もともと幸福感が高い人が緑地を利用しやすいという逆の可能性も排除できません。

  • 注意事項②【対象集団の限界】:調査対象は東京在住の成人4,126人に限られており、他の地域や国、異なる年齢層・文化的背景にそのまま当てはめられるとは限りません。

  • 注意事項③【時期の特殊性】:コロナ禍(パンデミック下)という特殊な社会状況での調査であり、平常時と同様の結果が得られるかどうかは別途検討が必要です。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
都市緑地とウェルビーイング
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-12-14-1702591206/

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