2023.11.20

はぴテク相談室:自然に触れあうと幸福感高まるだけでなく、仕事ができるようになる。

相談者

最近、仕事のやる気が出なくて、集中力も落ちてきた気がするんです。何か改善できることってありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それはつらいですね。実は最近、面白い研究が発表されていまして、「自然に触れることが仕事のパフォーマンスや行動にプラスの影響を与える」という内容なんです。少し聞いてみませんか?

相談者

自然、ですか?森とか公園とか…?それが仕事に関係あるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。アメリカ・香港・台湾・ニュージーランドという、個人主義と集団主義が混在するさまざまな文化圏で行われた複数の研究(実験・フィールド調査など混合した方法)で、「職場で自然に触れる機会があると、業務の遂行能力や、周りへの思いやりある行動(向社会的行動)が高まる」という関連が確認されたんです。

相談者

へえ!でも、なんで自然に触れるとそうなるんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では「自己決定理論(SDT)」という考え方を使って説明しています。この理論によれば、人間には「自分で決めたい(自律性)」「誰かとつながりたい(関係性)」「自分はできると感じたい(有能感)」という3つの基本的な心理的欲求があります。自然に触れることで、これら3つの欲求が満たされやすくなり、それが仕事のパフォーマンスや他者への親切な行動につながっていた、という流れが見られたんです。

相談者

自律性・関係性・有能感…なんとなくわかります。自然の中にいると、なんか解放された感じとか、ホッとする感じがありますよね。それが関係しているんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそのイメージに近いと思います。ただ、研究ではこの3つの欲求への影響の程度が欲求ごとに少し違っていた、というのも興味深いポイントです。「自律性・関係性・有能感はそれぞれ独立したもので、ひとつが満たされれば他も自動的に満たされるわけではない」というのがSDTの考え方で、この研究もそれを支持する結果になっていました。

相談者

なるほど。でも、オフィスで働いている人がいきなり森へ行くのって難しくないですか?どの程度の「自然」でも効果があるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では「職場の周辺に自然が存在すること」という表現が使われていて、大自然に限らず、職場環境の中に自然要素が触れられる状況が対象となっています。ただ、研究の詳細として具体的にどの程度の自然(窓から緑が見える程度なのか、屋外に出るのかなど)が必要かは、この研究だけでは断言できません。あくまで「自然への接触」と「仕事上の行動・成果」の間に関連が見られた、ということです。

相談者

わかりました。ちなみに、この効果って誰にでも同じように当てはまるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

実は、当てはまりにくい人の特徴も研究で明らかになっています。「人間は他の生き物より優れている」という信念が強い人(これを研究では『種差別(スピーシーズム)』と呼んでいます)は、自然に触れても欲求が満たされる効果を感じにくかったという結果が出ています。自然を「自分たちより下のもの」と感じていると、そこから恩恵を受けにくい可能性があるということですね。

相談者

それは面白い!自然をどう見ているか、という意識の向け方も関係しているんですね。じゃあ、自然に対してオープンな気持ちで接することが大事なんでしょうか。

はぴテクさん
はぴテクさん

研究の結果からはそういった関連が示されています。ただし、これはあくまで「種差別の度合いが強い人は効果が弱かった」という関連であって、「意識を変えれば効果が上がる」と因果関係として言い切れるわけではない点には注意が必要です。研究自体が観察した関連を示しているという範囲でお伝えしています。

相談者

なるほど、丁寧に教えてくれてありがとうございます。まず、できることとして意識的に自然に触れる時間を増やしてみようと思います!

はぴテクさん
はぴテクさん

それはいいと思います!お昼休みに外へ出て少し歩くとか、窓の近くで仕事をするとか、植物を置いてみるとか、日常の中でできることから試してみるのも一つかもしれませんね。ワーケーションなど、自然の多い環境で仕事をするスタイルが注目されている背景にも、こういった研究知見が関係しているかもしれません。

■ 今日のまとめ

  • 自然に触れることは、自律性・関係性・有能感という3つの基本的欲求を満たし、業務遂行能力や周りへの思いやりある行動と関連していた(米・香港・台湾・NZの複数の研究で確認)。
  • この効果は「人間は他の生き物より優れている」という信念(種差別)が強いほど弱まる傾向があることも示された。
  • 研究は相関・関連を示したものであり、「自然に触れれば必ずパフォーマンスが上がる」という因果関係を断言するものではない点に注意。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Klotz, A. C., et al. (2023). Who Needs Nature? The Influence of Employee Speciesism on Nature-Based Need Satisfaction and Subsequent Work Behavior. Journal of Applied Psychology. 2023/11/14. https://psycnet.apa.org/fulltext/2023-89454-001.html

  • 注意事項①:本研究は実験・フィールド実験・フィールド調査を組み合わせた混合法アプローチを採用しており、因果関係の検討を試みていますが、特にフィールド調査部分は相関関係の確認にとどまります。自然への接触が直接的にパフォーマンスを向上させると断言することはできません。

  • 注意事項②:対象はアメリカ・香港・台湾・ニュージーランドの就労者であり、異なる文化・職種・環境では結果が異なる可能性があります。

  • 注意事項③:「どの程度の自然」「どのような形での接触」が必要かの詳細は、この研究のみからは特定できません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
自然に触れあうと幸福感高まるだけでなく、仕事ができるようになる。
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2023-11-20-1700518022/

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