2026.06.19
感情を取り扱う力が高くなければ、感じすぎることは不幸せにつながる
というEI(感情知性)と、ウェルビーイング(メンタルヘルス)の関係性についての最新研究😊
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EI(感情知性)が高い人は、幸せだ。
というのは多くの研究で分かっているんですが、
EI(感情知性)というのは、以下の3つに分解されます。
ではこの3つが全部幸せに効くのでしょうか?
①注意(Attention to Emotions):自分の感情にどれだけ気づき、考えるか
②明瞭性(Clarity):自分の感情を識別し、区別できる力
③修復(Repair):ネガティブな感情状態を調整し、立ち直る力
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これを調査したところ、4つのグループがありました。
1:高感情知性群(3つとも高い人)
はメンタルヘルスが良好(4.24pt)。
2:低感情知性群(3つとも低い人)
はメンタルヘルスが低い。(3.73pt)
ここまでは予想通りなんですが、
3:低注意群(①注意は低いが、②③は普通)
が、1の高感情知性群とメンタルヘルスが同じくらい良い。(4.24pt)
そして、
4:高注意群(①注意は高いが、②③は普通)
は、2の低感情知性群とメンタルヘルスが同じくらい悪い。(3.79pt)
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という事で、意外な結果に。
感情をよく感じるのに、感情の言語化(②明瞭性)や、立ち直り(③修復)が普通な人は、むしろ不幸せ。
あまり感じないけど、感情の言語化や、立ち直りが普通な人は、幸せ。
つまり、
言語化や立ち直りがめっちゃ高い訳でなければ、むしろあまり感情を感じ過ぎない方が良い。
とのことでした。
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うーん、、なるほど、、、
自分の感情に気付くことを良きものと考えていましたが、
感情の言語化や立ち直り力が高い訳じゃなかったら、
むしろあまり感じない方が良いのか。。
確かに、ちょっと自分の感情とか考えた事ないですが毎日幸せです😍って人、自分の感情をめっちゃ意識してるけど、あんまり幸せじゃないですって人、わりといるな。。
まぁもちろんこれだけで、絶対とは言えないですが。
ちょっとショッキングな結果。
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感じすぎることは苦痛になる:感情的知能プロファイルとメンタルヘルスへの影響
When feeling too much hurts: emotional intelligence profiles and their implications for mental health
Personality and Individual Differences,2026/6
Raquel Gómez-Leal, Pablo Fernández-Berrocal, Alberto Megías-Robles
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191886926003004?dgcid=rss_sd_all
感情的知性(EI)は、一貫してメンタルヘルスの結果と関連付けられてきました。感情への適切な注意、感情の明確さ、感情の修復は、感情的に知的な個人の特徴です。感情の明確さと感情の修復はメンタルヘルスと正の相関があり、保護因子として機能しますが、感情への注意の役割は明確ではありません。証拠は、感情への注意とメンタルヘルスの関係は他の感情能力に依存する可能性があることを示唆しており、孤立した次元ではなくEIプロファイルを検討する必要性を強調しています。この研究は、クラスター分析による個人中心のアプローチを使用して、EIの次元とメンタルヘルスの関係を探りました。合計2578人のスペイン人成人(平均年齢 = 37.20歳、範囲 = 18~79歳、女性50.3%)がTMMSとMH-5スケールを完了しました。クラスター分析により、明確なEIプロファイルが特定されました。全体的なEIが高い個人は、全体的なEIが低い個人よりもメンタルヘルスが良好であると報告しました。しかし、高い感情への注意を特徴とするプロファイルは、高いレベルの感情の明確さと修復を伴う場合にのみ、メンタルヘルスに有益であるようです。これらの研究結果は、予防および介入活動において、バランスの取れた感情的能力が重要であることを強調している。
感情を「感じすぎる」と心が傷つく理由 感情知能(EI)のパラドックスを解き明かす「4つの感情プロフィール」 Based on research by Gómez-Leal, Fernández-Berrocal, & Mejías-Robles (2026) 従来の常識:感情知能(EI)は心の「盾」である これまでの心理学において、自己や他者の感情を理解し管理する能力(EI)は、メンタルヘルスを保護し、心理的ウェルビーイングを促進する不可欠な要素とされてきました。 TMMS-24が定義する3つの自己評価能力 感情への注意(Attention):自分の感情に気づき、それについて考える度合い。 感情の明確さ(Clarity):複雑な感情を識別し、正確に区別する能力。 感情の修復(Repair):ネガティブな感情状態を調整し、立ち直る能力。 パラドックス:感情への「注意」がもたらす予盾 明確さ - Clarity 修復 - Repair 注意 - Attention ポジティブな影響 ネガティブな影響/抑うつ・不安 「感情に敏感でできること」は、時に人を癒し、時に人を追い詰める。過去の研究では、この「注意」の役割が一貫しており、予盾する結果が報告されています。なぜでしょうか? 視点の転換:変数から「プロファイル」へ 変数中心/Variable-Centered 個人中心/Person-Centered 従来の分析、各要素が単立してメンタルヘルスに どう影響するかを測定。しかし、人間の心は単一 のダイアルでは動きません 今回の研究アプローチ、2,578名の成人データを対象 にクラスター分析を実施し、3つの要素が組み合わさ って形成される「自然共生的な感情パターン」を持 定しました。 (ロゴ)NotebookLM メンタルヘルスを左右する「感情のイコライザー」 Perceive @ Volume/Gain control: 感情のシグ ナルを拾う 感度 Attention Differentiate @ High-pass/ Low-pass filters: 意味をより 分ける弁別度 Clarity Recover @ Master output/ Stabilizer: システムを 正常に復す 復元力 Repair 優れた音響エンジニアがすべてのフェーダーのバランスを取るように、メンタルヘルス(MH-5指標)も これら3つのフェーダーの「相対的位置関係」によって決定されます。 NoteBookMM 4つの感情プロフィール:診断マトリクス イコライザー波形 プロファイル名 高EI 低EI 高注意 低注意 設定値 - Attention/Clarity/Repair 高/高/高 低/低/低 高/中/中 低/中/中 MH-5 メンタルヘルススコア 4.24(最高) 3.73(最低) 3.79(低い) 4.24(最高) 心理的状態 繁栄・調和 脆弱・断絶 過負荷・反発 安定・防衛 両極端のプロフィル:調和と断絶 High EI / 高EI Attention Clarity Repair メンタルヘルススコア: 4.24 「調和した状態」。感情への高い感度を持ちながら、それを正確に理解し、適切に修復するスキルを備えている。最も良好なメンタルヘルス を示します。 Low EI / 低EI Attention Clarity Repair メンタルヘルススコア: 3.73 「断絶した状態」。感情に対する感度が低く、理解も対処もできない状態。心理的なリリースが溜溜しており、メンタルヘルス指標は最も低くなります。 NoteBookLM パラドックスの解明:注意力の「高低」がもたらす逆転現象 M5-5 Score 6 5 4 3 2 1 高注意 LOW 4.24 MID 低注意 Attention Clarity Repair HIGH MID MID Attention Clarity Repair MID LOW 明確さと修復力が「中程度」のグループを比較すると、衝撃的な事実が浮かび上がります。 感情に「注意を向ける(高注意)」ばとメンタルヘルスは悪化し、逆に「注意を向けない(低注意)」が、 高EIグループと同等の高い心の健康を保っているのです。 プロファイル3の罠:「高注意」が引き起こす反努(はんそう)ループ ネガティブな 感情の発生 感情のオーバーロード と抑うつ 過剰なモニタリング 解釈と対処の失敗 感情を処理する「ツール(明確さ・修復力)」がないまま、感情のシグナルだけを 最大音量で聴き続けると、脳は混乱し、過剰な負荷(反努)に苦むことになります。 プロファイル4の防衛線: 「低注意」という保護シールド 感情の「明確さ」や「徳性力」が完璧でなくても、そもそも感情に過剰な注意を向けない(純感である)ことで、ネガティブを自己内省のループに陥るのを防ぎます。 これは「感情的にならないこと」が、時として心理的苦痛に対する強力なバッファー(緩衝材)として機能することを示しています。 結論:感情への注意は 「増幅器(アンプ)」である 感情的な出来事 → 高注意 (High Attention) → +高い明確さ・修復力 → 適応的処理と成長 ↓ ≡ - ≡ +低い明確さ・修復力 → 反発・過負荷・抑うつ 「感情を感じ」る(注意を向ける)こと」自体に善悪はありません。それは単なるアンプ(増幅器)です。問題は、増幅された感情を処理するスピード(明確性・修復力)の性質が追いついているかどうかです。 Notebookml 実践への応用:メンタルヘルス支援のパラダイムシフト 1. 「ただ感じる」ことの危険性を知る 職場のメンタルヘルス研修などで、単に「自分の感情に気づきましょう」と促すだけでは逆効果になるリスクがあります。ツールな自己内省は有害です。 2. 「言語化」と「回復力」の訓練を優先する 介入プログラムは、感情に注意を向ける前に、感情に正確な名前をつけるスキル(明る確さ)と、気分を切り替える戦略(修復)を構築することに焦点を当てるべきです。 3. 個別のプロフィールに基づいたアプローチ 個人の「感情のイゴライザー」の現在地を把握し、不足しているフェダーをピンポイントで引き上げるカスタマイズされた支援が必要です。 Summary: The Balanced Mind 感情を深く感じることは、人間の最も豊かな特権の一つです。しかしそれか心を壊す刃となならないためには、波立つ感情を「見極める目」と、元の状態に「戻す技術」が不可欠です。 感情を感じすぎることは、それを理解し制御する ツールがない場合にのみ、心を傷つける。 Reference: Gómez-Leal, R., Fernández-Berrocal, P., & Megías-Robles, A. (2026). Personality and Individual Differences, 262, 113936.
【背景】
■ この研究の出発点:「メンタルヘルス」の捉え方が広がった
▼ かつての考え方
心理学では長い間、メンタルヘルスを「病気がない状態」として捉えてきました。
▼ 現在の考え方
近年は、症状がないだけでなく、よく機能していること(ポジティブな機能)、感情のバランス、人生の目的、活力、幸福感(ウェルビーイング)までを含むものへと広がりました。
・出典:Keyes(2002)、Bohlmeijer & Westerhof(2021)、Ryan & Deci(2001)、Ryff & Singer(2008)
この流れの中で、「個人が適応し、成長し、心理的な安定を保つための資源(リソース)」を高めることが重視されるようになりました。
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■ そこで注目された「感情知性(EI)」
▼ 感情知性(Emotional Intelligence=EI)とは
自分や他者の感情を理解し、うまく扱う能力のまとまりのこと。
・出典:Salovey & Mayer(1990)、Mayer et al.(2016)
▼ なぜ重要なのか
EIが高い人は、感情を調整し、ストレスに対処し、適応的な対処法をとる能力に優れているため、心身の健康が良好な傾向があります。レジリエンス(回復力)や良好な人間関係、社会的資源へのアクセスも支え、結果として持続的なウェルビーイングにつながると考えられています。
・出典:Fernández-Berrocal & Extremera(2016)、Zeidner et al.(2012)、Sánchez-Álvarez et al.(2015)ほか
つまりEIは「メンタルヘルスを守る要因(保護因子)」として位置づけられてきました。
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■ EIには3つの研究アプローチがある
EIをどう定義し、どう測るかによって、研究は3つに分かれます。
・出典:Joseph & Newman(2010)
▼ ① 自己報告・混合モデル
EIを幅広く捉え、性格的な特性まで含める。本人の自己申告で測る。
▼ ② 自己報告・能力モデル
EIを「感情に関する能力」に絞って捉える。ただし測定は本人の自己申告による。
▼ ③ 課題遂行・能力モデル
EIを能力として捉え、正解・不正解のあるテスト課題で客観的に測る。
▼ この研究が採用したのは「②」
混合モデルは性格特性と重なりすぎるため、感情の能力により絞れる「自己報告・能力モデル」を採用。これにより、性格の影響をできるだけ取り除いて、感情の能力とメンタルヘルスの関係を見られます。
・出典:Grewal & Salovey(2005)、Petrides & Furnham(2001)
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■ 測定に使う「TMMS」という尺度
▼ TMMS(Trait Meta-Mood Scale)とは
自己認識されたEIを測る代表的な尺度。「自分が自分の感情にどれだけ注意を向けているか」を測れる点が特徴です。
・出典:Salovey et al.(1995)
TMMSは次の3つの側面を測ります。
・注意(Attention to Emotions):自分の感情にどれだけ気づき、考えるか
・明瞭性(Clarity):自分の感情を識別し、区別できる力
・修復(Repair):ネガティブな感情状態を調整し、立ち直る力
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■ ここからが本題:「注意」だけ話がややこしい
▼ 明瞭性と修復は、話がシンプル
この2つは、一貫してメンタルヘルスと正の関係(高いほど良い)が示されています。
・出典:Extremera & Fernández-Berrocal(2006)、Salguero et al.(2012)、Vergara et al.(2015)
▼ 「注意」は研究によって結果がバラバラ
感情への注意とメンタルヘルスの関係は、研究ごとに結論が割れています。
・ネガティブな関係(高いと悪い)を報告:Extremera & Fernández-Berrocal(2006)、Lizeretti et al.(2012)、Moeller et al.(2020)
・ポジティブな関係(高いと良い)を報告:Ghorbani et al.(2002)、Martinez-Pons(1997)
・関係なし(有意差なし)を報告:Johnson & Blanchard(2016)、Montes-Berges & Augusto(2007)
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■ 矛盾を解くカギ:「注意」は条件次第で良くも悪くもなる
▼ 浮かび上がってきた仮説
感情への注意は、それ単体で良い・悪いが決まるのではなく、他の能力(明瞭性・修復)次第で、リスク因子にも保護因子にもなる、という考え方です。
・明瞭性や修復が低い人では、注意が高いほど悪い結果になりやすい
・これらの能力が十分育っていれば、注意が高くても有益になりうる
・出典:Lischetzke & Eid(2003)、Boden & Thompson(2017)、Bueno-Cuadra et al.(2023)、Martínez-Monteagudo et al.(2021)ほか
▼ なぜそうなるのか(メカニズムの説明)
感情に強く注意を向けても、それを「解釈し調整する力」がないと、感情に振り回されてしまう。これが反芻(はんすう=同じネガティブな考えを繰り返し堂々巡りすること)を招き、心理的苦痛を高めると考えられます。
・出典:Fiori & Ortony(2016)、Fernández-Berrocal et al.(2006)、Salguero et al.(2012)
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■ だから「次元バラバラ」ではなく「プロファイル(組み合わせ)」で見る
▼ これまでの研究の限界
多くの先行研究は「変数中心アプローチ」、つまり注意・明瞭性・修復をそれぞれ別々に見ていました。この方法だと、個人の中での感情要素の複雑な絡み合いを捉えきれません。
・出典:Muthén & Muthén(2000)
▼ この研究が採る「人中心アプローチ」
一人ひとりの中で3つの能力がどう組み合わさっているか、という「プロファイル」で人々をグループ分けする方法です。これにより、似た感情パターンを持つ集団に分けて、組み合わせと心の健康の関係を、より統合的に理解できます。
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■ まとめ:この研究が立てた仮説
以上の流れから、研究は次の仮説を立てています。
・① 明瞭性と修復が高いほど、メンタルヘルスは良い(注意は方向性を定めず、プロファイル分析で解明する)
・② 3つすべてが高いプロファイルは、すべてが低いプロファイルより心の健康が良い
・③ 「注意が高いのに明瞭性・修復が不十分」なプロファイルは、「注意が低く明瞭性・修復は同程度」のプロファイルより心の健康が悪い
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論文タイトルの「feeling too much hurts(感じすぎることは心を傷つける)」は、まさにこの③の仮説を表現したものになっています。
【研究内容】
■ 何を調べた研究か(おさらい)
感情への「注意・明瞭性・修復」の3つの組み合わせ(プロファイル)が、メンタルヘルスとどう関係するかを、人中心アプローチで調べた研究です。特に、結果がバラバラだった「感情への注意」の役割を解明することが狙いです。
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■ 方法①:誰を、どう調べたか
▼ 対象者
スペインの成人 2578人(分析対象)
・年齢:18〜79歳(平均37.25歳)
・性別:男性49.7%、女性50.3%とほぼ均等
▼ 集め方
大学生の協力による「スノーボール・サンプリング」(知人が知人を紹介していく形で参加者を増やす方法)で募集。オンライン(LimeSurvey)で回答。
▼ データの質の管理
最初は2652人が参加。注意チェック項目(ちゃんと読んでいるか確認する設問)に引っかかった人や、全部同じ回答をつけている人(ストレートライニング)を除外し、74人を削除して2578人に絞りました。
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■ 方法②:使った2つの尺度
▼ TMMS-24(感情知性を測る)
注意・明瞭性・修復の3側面を、24項目・5段階で測定。全体スコアは出さず、3つを別々に見ます。
・信頼性(α係数=測定の安定性を示す指標。1に近いほど良く、0.7以上で十分とされる):注意0.89、明瞭性0.91、修復0.87と良好
▼ MH-5(メンタルヘルスを測る)
SF-36という健康調査から取った5項目の尺度。過去1か月の不安・抑うつ症状の程度を測ります。点数が高いほどメンタルヘルスが良いことを表します。
・例:「過去4週間で、何をしても気分が晴れないほど落ち込んだことはどれくらいありましたか?」
・信頼性:α=0.84と良好
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■ 方法③:どう分析したか
▼ ステップ1:基本的な関係を見る
・相関分析(ピアソン相関):2つの変数がどれだけ連動するかを見る。−1〜+1で表し、プラスは「片方が高いともう片方も高い」、マイナスは逆を意味します。
▼ ステップ2:プロファイルでグループ分けする
・クラスター分析:似た者同士を自動でグループ(クラスター)に分ける手法。ここでは3つのTMMSスコアの組み合わせで人々を分類しました(Ward法という方式を使用)。
▼ ステップ3:分け方が妥当か検証する
・判別分析やk-means法という別の手法でも分け直し、結果がほぼ一致するか確認(再現性のチェック)。
▼ ステップ4:グループ間で心の健康を比べる
・共分散分析(ANCOVA):グループ間でMH-5スコアに差があるかを検証。このとき、性別と年齢の影響を統計的に取り除いた(共変量として調整した)上で比較しています。
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■ 結果①:男女差と、基本的な相関
▼ 男女差
・女性は男性より「注意」が有意に高い(効果量は中〜大)
・「明瞭性」も女性がやや高い(差は小さい)
・「修復」は男女差なし
・メンタルヘルスは男性のほうが有意に高かった(効果量は中程度)
▼ 相関分析(それぞれ単体で見た場合)
・注意 → メンタルヘルスと負の相関(r=−0.19):注意が高いほど、心の健康はやや低い
・明瞭性 → 正の相関(r=0.22):高いほど良い
・修復 → 正の相関(r=0.29):高いほど良い
※ここまでは「注意は単体で見ると、むしろマイナス」という結果です。
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■ 結果②:4つのプロファイルが見つかった
クラスター分析の結果、4つのグループに分かれました。
・高EI群(825人):注意・明瞭性・修復すべてが平均以上
・低EI群(259人):3つすべてが平均以下
・高注意群(468人):注意が平均以上だが、明瞭性・修復は平均並み
・低注意群(1026人):注意が平均以下で、明瞭性・修復は平均並み
ポイントは、後ろ2つ。「明瞭性・修復は同じくらい(平均並み)なのに、注意の高さだけが違う」2グループが取り出せたことです。これが仮説検証のカギになります。
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■ 結果③:メンタルヘルスの比較(最重要)
性別・年齢を調整した上で、4群のMH-5スコアを比べました。
・高EI群:4.24(最も良い)
・低注意群:4.24(高EI群と差なし)
・高注意群:3.79
・低EI群:3.73
▼ 読み取れること
・高EI群は、低EI群・高注意群より有意に良い
・ところが、高EI群と低注意群には差がなかった
・高注意群は、低注意群より有意に悪い(3.79 vs 4.24)
ここが決定的です。明瞭性・修復が同程度(平均並み)でも、「注意が高い」群のほうが「注意が低い」群より心の健康が悪かったのです。
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■ 考察①:仮説はどうなったか
▼ 仮説①(明瞭性・修復は高いほど良い)→ 支持
予想通り、明瞭性と修復はメンタルヘルスと正の関係でした。
▼ 仮説②(全部高い群は、全部低い群より良い)→ 支持
高EI群は低EI群より良好。「十分な感情能力を持つことが心の健康の中心」という考えを補強しました。
▼ 仮説③(注意が高いのに明瞭性・修復が不十分だと悪い)→ 支持
高注意群は低注意群より心の健康が悪い。一方、注意が高くても明瞭性・修復まで高ければ(=高EI群)、結果は良好でした。
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■ 考察②:なぜ「注意が高い」だけだと危ういのか
▼ メカニズムの説明
感情に強く注意を向けても、それを解釈・調整する力(明瞭性・修復)が伴わないと、感情の混乱・認知的な過負荷・苦痛が生じやすくなります。
具体的には、ネガティブな感情に受け身のまま注意を向け続ける「反芻(はんすう=同じ考えの堂々巡り)」につながり、抑うつ症状を高めると考えられます。
・出典:Nolen-Hoeksema(2000)、Rude et al.(2007)、Gohm & Clore(2002)
▼ 逆説的なポイント
明瞭性・修復が高くないなら、むしろ「注意が低い」ほうが、感情の過負荷を防ぐ保護因子として働きうる。低注意群が良好だったのは、内面に注意を向けすぎず、堂々巡りに巻き込まれにくかったため、と解釈されています。
・出典:Lischetzke & Eid(2003)
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■ 考察③:この研究の限界
著者自身が挙げている注意点です。
・相関研究なので因果関係は言えない(「注意の高さが心の健康を悪くする」と断定はできない)。今後は実験や追跡調査(縦断研究)が必要。
・すべて自己報告のため、主観や「よく見せたい」バイアスが入りうる。行動課題や他者評価との併用が望ましい。
・サンプルは大きく多様だが、臨床群(実際に治療が必要な人々)など、より幅広い集団での再現が今後の課題。
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■ 結論と実務への示唆
▼ 結論
この研究の最大の貢献は、「感情への注意は、明瞭性と修復が高いときにだけメンタルヘルスに有益」だと示した点です。注意は単体で良し悪しが決まるのではなく、組み合わせ(プロファイル)で見るべきだ、ということです。
▼ 臨床での示唆
・「感情への気づきが高い=常に良いこと」と思い込まない
・気づきに見合った「理解する力・立て直す力」が備わっているかを評価することが大切
・個人の感情プロファイルに合わせて支援を調整する価値がある(ただし、確証にはさらなる研究が必要)
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タイトルの「feeling too much hurts(感じすぎることは心を傷つける)」が、まさにこの結論を言い表しています。感じること自体ではなく、「感じたものを扱う力が伴わないまま感じすぎること」が心を傷つける、というわけです。
EI(感情知性)の下位因子
●感情への注意(項目1〜8)
自分の感情に多くの注意を払う
自分が何を感じているか、いつも気にかけている
ふだん自分の感情について考える時間を持つ
自分の感情や気分に注意を払う価値があると思う
自分の感情が考えに影響することを許している
自分の気分について絶えず考えている
しばしば自分の感情について考える
自分がどう感じているかに多くの注意を払う
●感情の明瞭性(項目9〜16)
自分の感情がはっきりしている
しばしば自分の感情を言葉で定義できる
ほとんどいつも自分がどう感じているか分かる
人に対する自分の気持ちをたいてい分かっている
さまざまな状況で自分の感情によく気づく
自分がどう感じているかいつも言い表せる
自分の感情が何であるか分かることがある
自分の感情を理解できるようになる
●感情の修復(項目17〜24)
悲しいときもあるが、たいていは楽観的に物事を見ている
気分が悪いときでも、楽しいことを考えようとする
悲しいとき、人生の喜びすべてを思い浮かべる
気分が悪くても前向きに考えようとする
考えすぎて複雑にしてしまったら、落ち着こうとする
よい気分でいようと努力する
幸せなとき、たくさんのエネルギーが湧く
怒っているとき、気分を切り替えようとする
MH5
過去1か月の間にどのくらいの頻度で…
かなり神経質であったか
どうにもならないくらい気分が落ち込んでいたか
おだやかで落ち着いた気分であったか
落ち込んで憂うつな気分であったか
楽しい気分であったか
対話形式での紹介はこちら😊
はぴテク相談室:感じすぎて、しんどいあなたへ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-06-19-1781839440/