はぴテク相談室:34カ国、1万人以上を対象とした研究で分かった、感謝の秘訣
最近、なんとなく気持ちが暗くて、毎日がパッとしないんです。友達から『感謝日記をつけると気分が上がるよ』って言われたんですが、正直なところ、効果あるの?って半信半疑で…。
その気持ち、よく分かります。「感謝しましょう」ってよく聞くけど、本当に効くの?って思いますよね。実はつい最近、34カ国・1万人以上を対象にした超大規模な研究が発表されまして、感謝ワークの効果がかなりしっかり検証されたんです。結論から言うと、感謝のワークをすると、その場のポジティブな気持ちは上がりやすいことが分かっています。特にポジティブな感情は、調査した34カ国すべてで向上していたんですよ。
えっ、34カ国全部で効果があったんですか!それはすごいですね。でも、気持ちが上がるだけで、人生全体の満足感とか、もっと根本的なところには効かないんじゃ?
鋭い質問です!実はそこが今回の研究で面白いところでして、「人生満足度」つまり人生全体をどれくらい良いと感じるか、というところへの効果は、国によってかなりばらつきがあったんです。感謝ワークをやっても人生満足度が上がらなかった国も一部ありました。なので、感謝ワークは「今この瞬間の気分」を上げるのは得意だけど、「人生丸ごとの満足感」については、万能ではないよ、というのが正直なところです。
そうなんですね。じゃあ、友達が言っていた「感謝日記」、つまり感謝することを書き出すやり方は、どれくらい効果があるんでしょう?
実はこの研究では、6種類の感謝ワークを比べているんですが、感謝することを5つ書き出すだけのシンプルな「感謝リスト」は、6位、つまり一番効果が小さかったんです。一方で、最も効果が大きかったのは、感謝したい相手に実際にスマホでメッセージを送るワークでした。2位は、相手への感謝の手紙を書く(渡さなくてもOK)というもの。つまり、ただリストアップするより、誰かに向けて気持ちを伝えたり、深く掘り下げたりする方が効果が出やすいようです。
なるほど!書き出すだけじゃなくて、誰かに伝えるのが大事なんですね。でも私、日本に住んでいるんですが、日本って感謝ワークが効きにくいって聞いたことがあるような…。
よくご存知で!今回の研究でも、日本は感謝ワークの効果が相対的に小さい国の一つでした。34カ国中、下から6番目あたりの位置です。研究では、その理由として文化的な特徴がいくつか関係していると分析されています。日本は「社会の規範やルールが強い(タイトネスが高い)」国で、そういう国では人生満足度が上がりにくい傾向があったんです。また、日本は宗教性が低い国でもあって、そういう国では感謝と一緒に「お返ししなきゃ」という気持ち=恩義感を感じやすくなるとも分析されています。
確かに日本って「もらったら返さなきゃ」という文化、強いですよね。感謝しようとしたら逆に「借りを作った」って感じになることもあって…。でも、日本人は感謝ワークをやっても意味がないってことですか?
そういうわけではないですよ!「効果が比較的小さい」というだけで、効かないわけじゃありません。それに、ポジティブな感情については日本を含む多くの国で効果が出ています。大事なのはやり方で、ただ感謝リストを書くよりも、誰かへのメッセージや手紙として気持ちを言葉にする方が、より効果が出やすいという結果でした。日本でも、伝えることを意識した感謝ワークを試してみる価値はありそうです。
じゃあ、まず誰かに感謝のメッセージを送ってみようかな。でも、毎日やらないとダメですか?どのくらいの頻度でやればいいんでしょう?
今回の研究は短期間の介入実験なので、「何日続けると良い」という長期的な頻度については、残念ながらこの研究からは分からないんです。ただ、研究からわかるのは、「深く考えて伝える」という質の部分が大事だということ。毎日形だけやるより、週に一度でも本当に感謝したい相手に、具体的な気持ちを込めたメッセージを送る方が、効果が出やすいかもしれませんね。
具体的な気持ちを込める、というのがポイントなんですね。他にも試せるワークはありますか?
はい!今回の研究で3位だったのは「内観リフレクション」というワークです。過去1週間で感謝できることを3つ書き出して、『何を受け取ったか』『何を返したか』『さらに何ができるか』を自分に問いかけて振り返るやり方です。これは伝える相手がいなくても一人でできます。また、ユニークな方法として「メンタル・サブトラクション」というのもあって、感謝していることの一つについて『もしこれがなかったら自分の人生はどうなっていたか』を想像してみるものです。あることへの感謝を、失ったときのことを想像することで深めるイメージですね。
面白い!「もし〇〇がなかったら…」って考えると、今あるもののありがたさが増しそうですね。今日の話をまとめると、感謝ワークはやり方と、どう気持ちを込めるかが大事ということでしょうか。
まさにそうです!感謝ワークは、ただ「ありがたいことを5つ書く」だけよりも、誰かに気持ちを伝えたり、なぜ感謝しているかを深く掘り下げたりする方が、より効果が出やすいことがこの大規模研究で示されました。日本にいても効果がゼロではありません。今日の気分を少し上向きにしたいなら、まず一人、感謝を伝えたい人に短いメッセージを送ってみるのが、この研究が示す中で一番効果が期待できるアクションですよ。
■ 今日のまとめ
- 感謝ワークはポジティブな感情(気分)を上げる効果が34カ国すべてで確認されたが、人生全体の満足度への効果は国によってばらつきがある
- 感謝リストを書くだけより、感謝したい相手に実際にメッセージや手紙を送るワークの方が効果が大きかった
- 日本は文化的な特徴から感謝ワークの効果が相対的に小さい傾向があるが、効果がないわけではなく、「伝える・深く掘り下げる」やり方を意識することが大切
■ 出典・注意事項
- 出典:Nicholas A. Coles, Annabel V. Dang, Shigehiro Oishi et al., 'A multinational megastudy of the effects of gratitude practices on subjective well-being', PNAS, 2026/5/11. https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2537789123
- 注意①:本研究は短期間の実験介入であり、長期的な効果(何週間・何か月続けるとどうなるか)については検証されていない
- 注意②:感謝ワークの効果の大きさは国・文化・ワークの種類によって異なり、特定の個人に同じ効果が出ることを保証するものではない
- 注意③:国ごとの比較は探索的な分析(ベイズ推定)であり、文化的要因が効果の違いを引き起こしているという因果関係が確定したわけではない
- 注意④:参加者はオンラインで募集されており、各国の全人口を代表するサンプルではない可能性がある
研究自体の紹介はこちら😊
34カ国、1万人以上を対象とした研究で分かった、感謝の秘訣
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-05-21-1779392495/