2026.03.31

はぴテク相談室:漢(おとこ)らしさが大事な国は、不幸せ

相談者

最近、職場でなんとなく息苦しいんです。上司から『男なんだから弱音を吐くな』とか『根性で乗り越えろ』ってよく言われて…。自分でもそういうもんだと思ってきたんですけど、なんか疲れてきちゃって。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは本当につらいですね。「男らしくあらねば」というプレッシャー、じわじわと疲弊しますよね。実はそういう「男らしさ」に関する信念と幸福度の関係を、国レベルで大規模に調べた研究があるんです。ちょっと一緒に見てみませんか?

相談者

国レベルで?個人の話じゃなくて?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。ボストン大学のマハリック先生たちが、世界59カ国のデータを使って調べたんですね。ここで注目したのは『男らしさの脆弱性信念(PMB)』というもの。簡単に言うと、『男らしさって、ちょっと気を抜くとすぐ失われてしまう、だから常に証明し続けなきゃいけない』という文化的な考え方のことです。

相談者

あ、それすごく身に覚えあります。失敗したら『男じゃない』みたいな空気、職場にありますもん。

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそれです。で、この研究では、その信念が強い国ほど、国全体の幸福度が低い傾向にあることがわかったんです。具体的には、GDPが低め、健康寿命が短め、社会的なつながりが弱め、そして政府や組織への不信感が強め、という関連が見られました。

相談者

え、GDPまで下がるんですか?それはなんで?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究者たちはいくつかの理由を挙げています。たとえば、『男らしくない』とみなされる職種を男性が避けることで、労働力の配分が非効率になってGDPに影響が出る可能性。また、女性の職場参加が制限されやすくなることも関係しているかもしれないと。ただし、これはあくまで国単位の相関関係の話で、直接の原因と結果と断言はできないんですが。

相談者

健康寿命が短くなるのもその信念のせい?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では、男らしさ信念が強い国では、男性の喫煙や大量飲酒が多かったり、健康診断など予防的な医療を避ける傾向との関連も見られたと指摘されています。『弱音を吐くな』と同じで、『体の不調を気にするのは男らしくない』という意識が影響している可能性があるんですね。

相談者

確かに…職場でも健康診断でひっかかっても放置してる先輩いますわ。あと、他人に頼るのもダメみたいな空気もありますよね。

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭いですね!研究でもまさにそこが指摘されています。『男らしくあるためには人に頼ってはいけない』という意識が、社会的なつながりを弱め、孤立につながりやすいという関連が見られたんです。助けを求めることが「弱さ」に見えてしまう文化だと、人間関係が薄くなりがちで、それが幸福度にも影響しているようです。

相談者

じゃあ日本ってどうなんですか?やっぱり当てはまる感じですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究や、ホフステードという研究者の別の調査でも、日本は「男性性が高い国」として世界トップクラスに位置づけられています。競争や業績・成功を重視する傾向が強い国、という意味ですね。北欧やニュージーランド、カナダあたりはこの男らしさ信念が低めで、幸福度も高い傾向にあります。

相談者

なんか、自分が息苦しいのって、個人の問題じゃなくて文化的な背景もあったんですね…。それを知るだけでちょっと楽になる気がします。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです、それがまず大事なことだと思います。あなたがしんどいのは、あなたが弱いからじゃなくて、そういう空気の中に置かれているからかもしれない。一つ面白いのは、個人レベルでは『男らしさを発揮している人が幸せ』という研究もあるんですよね。でも国レベルで見ると、その信念が強い国全体の幸福度は低い傾向にある。これって、個人と社会の両方の視点から考える必要があることを示していて、面白い結果だと思います。

相談者

個人と国でそんなに違うんですね。じゃあ自分ではどうすればいいんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究者たちはこの知見を政策や公衆衛生の場に活かすことを提案しています。個人レベルでできることとしては、まず「この息苦しさは文化的な信念から来ているかもしれない」と気づくこと自体がスタート地点です。人に頼ること、弱音を吐くこと、それは男らしさとは別の話ですし、むしろつながりを生む行動でもある。『証明し続けなきゃいけない男らしさ』という틀から、少しずつ距離を置いてみることが、じわじわと効いてくるかもしれませんよ。

■ 今日のまとめ

  • 「男らしさは失いやすく、常に証明しなければならない」という信念(PMB)が強い国ほど、GDP・健康寿命・社会的つながり・幸福度が低い傾向にあることが、59カ国の国レベルデータで示されました。
  • 男らしさ信念は、他者への依存を避けることによる孤立、健康行動の回避、労働力の非効率な配分などを通じて、社会全体の幸福に関連している可能性が指摘されています。
  • 日本は男性性が高い国として分類される傾向にあります。個人の息苦しさの背景に、こうした文化的な信念があると気づくこと自体が、第一歩になりえます。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Mahalik, J. R. et al. (2026). Precarious manhood, precarious nations: The contribution of cultural beliefs comprising masculinity to national happiness. Social Science & Medicine. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0277953625010834

  • 【注意事項①】本研究は国レベルの相関分析であり、男らしさ信念が幸福度を『引き起こす』と因果関係を示すものではありません。研究者自身も、PMBと幸福度の間には双方向の関係がある可能性を限界として認めています。

  • 【注意事項②】59カ国のマクロデータを用いた分析であり、国内の地域差・個人差・文化的多様性は反映されていません。個人への直接的な適用には慎重さが必要です。

  • 【注意事項③】個人レベルでは『男らしさを発揮している人が幸せ』とする別の研究知見もあり、国レベルの傾向と個人レベルの結果は必ずしも一致しません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
漢(おとこ)らしさが大事な国は、不幸せ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-03-31-1774994402/

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