はぴテク相談室:1日5分で職場での感謝を浸透させる方法
最近、職場の雰囲気がなんとなくギスギスしていて、仕事へのやる気もイマイチ上がらないんです。何かできることってありますか?
それは辛いですね。実は東京大学の小増先生たちの研究で、「感謝」を職場に取り入れるだけで、仕事へのやる気(ワークエンゲージメント)に良い影響が出る可能性があるという介入プログラムが紹介されているんです。しかも1日たった5分でできる内容なんですよ!
5分で感謝?なんか簡単すぎて信じられないんですけど、どんなことをするんですか?
プログラムは1ヶ月間で、大きく3つのステップに分かれています。まず1週目は「感謝を学ぶ」週で、6分以内の動画と資料が5日間届いて、感謝ってどういうことかを理解するところから始まります。2週目〜4週目の月曜と水曜は「感謝を数える」ワークで、テーマに沿って5分間、感謝できることを書き出します。そして同じ週の金曜は「感謝を伝える」ワークで、メールなどで職場の誰かに感謝を届けるんです。
なるほど、段階を踏んでいるんですね。「感謝を数える」ってどういうことをするんでしょう?
たとえば「今日、同僚に助けてもらったこと」「仕事の中でありがたいと思ったこと」など、テーマに沿って5分間で思い浮かぶことを書き出すイメージです。毎日少しずつ感謝に目を向ける習慣をつけることで、だんだんと職場の良い面に気づきやすくなってくる、というねらいがあるんですよ。筋トレと同じで、継続することで少しずつ変わっていくイメージです。
感謝を「伝える」のは少し勇気がいりそうですけど、どんなふうにすればいいんですか?
直接話しかけるのではなく、メールやチャットなどで伝えるのがこのプログラムのやり方なんです。文章だと少し気持ちを整理してから送れるので、照れくさくても取り組みやすいですよね。「先日の資料、助かりました」みたいな一言でも、相手にとっては嬉しいものですし、自分自身も感謝を言語化することで気持ちが整理されやすくなるとされています。
一人でやるより、職場全体で取り組む方がいいんですかね?
そうなんです、このプログラムの特徴のひとつが「職場内での相互的な感謝の交換」を大切にしている点です。自分が感謝を伝えるだけでなく、職場の人からも感謝が届く環境をつくることが目的のひとつ。毎朝・毎夕ミーティングをしている会社であれば、そのタイミングで取り入れやすいかもしれませんね。
でもこれって、本当に効果があるってエビデンスはあるんですか?
この論文自体は「クラスターランダム化比較試験のプロトコル(計画書)」なんです。つまり、きちんとした試験デザインを組んで効果を検証しようとしている段階の研究で、プログラム直後・3ヶ月後・6ヶ月後に効果を測定する設計になっています。「感謝が職場を良くする」という因果関係が完全に証明されたわけではなく、あくまでもこれから検証する研究です。ただ、感謝介入は時間も費用もかかりにくく、脱落しにくいという実施面での利点も研究者たちは指摘しています。
なるほど、まだ検証中なんですね。じゃあ個人でも試してみる価値はありそうですか?
はい!研究の設計自体は、1日5分・1ヶ月間という非常にシンプルなもので、専門家のサポートも不要とされています。個人として「感謝を書き出す→伝える」を習慣にするのは気軽に始められますよ。職場全体で取り組むとより効果が期待できる設計ですが、まず自分一人から始めて、少しずつ周りに広げていくのもいいかもしれませんね。
やってみます!何かコツはありますか?
3つのポイントを意識してみてください。①「学ぶ→数える→伝える」の順番を守ること。いきなり伝えようとすると続きにくいので、まず感謝に気づく練習から始めましょう。②毎日決まったタイミングに行うこと。朝の始業前5分など、既存のルーティンにくっつけるとやりやすいです。③1ヶ月間続けること。プログラムの研究でも「継続して参加してもらうこと」が重要なポイントとして挙げられていますよ。
■ 今日のまとめ
- 1日5分・1ヶ月間の「感謝プログラム」は、①感謝を学ぶ→②感謝を数える→③感謝を伝える、という3ステップで構成されており、時間・費用・専門知識が少なくて済む実施しやすい設計です。
- このプログラムは職場内での相互的な感謝の交換を大切にしており、個人だけでなくチームや組織全体で取り組むことで、ワークエンゲージメントへの良い影響が期待されています。
- この研究はランダム化比較試験の計画書(プロトコル)段階のものであり、感謝が職場環境を改善するという因果関係が確定的に証明されたわけではありません。継続参加が効果の鍵とされており、まず個人の習慣として取り入れてみることが第一歩です。
■ 出典・注意事項
- Komase Y, Watanabe K, Kawakami N. Effects of a gratitude intervention program on work engagement among Japanese workers: a protocol for a cluster randomized controlled trial. BMC Psychology, 2021. https://link.springer.com/article/10.1186/s40359-021-00541-6
- 【注意事項】本論文はランダム化比較試験の「プロトコル(試験計画書)」であり、介入効果の最終的な結果を報告したものではありません。感謝プログラムとワークエンゲージメント向上の因果関係は、今後の試験結果によって検証される必要があります。
- 【注意事項】参加者はスノーボールサンプリング(第一著者の知人を通じた募集)で集められており、日本の職場全体を代表するサンプルではない可能性があります。結果の一般化には限界があります。
研究自体の紹介はこちら😊
1日5分で職場での感謝を浸透させる方法
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-01-21-1768953941/