36幸福の源泉としての社会資本と利他的行動
ウェルビーイングハンドブック_第六章:リソース
毎日読めばウェルビーイングの基礎が分かる、ウェルビーイング・ハンドブック紹介シリーズ、第六章😊
今回は、つながりと利他的行動と、ウェルビーイング😊
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見て頂くと分かりますが、想像以上につながりの幸せへの影響は大きいです😍
カナダのデータでは、管理職への信頼が10点尺度で1点高い職場で働くことの効果は、世帯収入が3分の1増加することと同等の満足度向上をもたらしていました(Helliwell & Huang, 2011)。
また、上司を「ボス」ではなく「パートナー」として認識している労働者は、平日と週末の幸福度の差がほぼなくなることも示されています(Helliwell & Wang, 2014; 2015)。
さらに興味深いのは、中年期(45〜54歳)に多くの人が経験する生活満足度の落ち込みが、上司をパートナーと見なす高い社会資本の職場では消えてしまうという結果です。
婚姻については、特に配偶者を「親友」と見なしている人では、結婚による生活満足度の効果が2倍になるという結果が得られています(Grover & Helliwell, 2014)。
2歳未満の幼児でさえ、お菓子をもらうときよりも与えるときの方が多く微笑むことが確認されており、利他的行動の喜びは普遍的な人間の特性である可能性が示唆されています(Aknin, Hamlin & Dunn, 2012)。
↑これ好きな研究です😍人は、もらうよりも与える方が幸せなんですが、2歳未満ですらそう😍
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■ 社会資本と利他的行動は幸福の源泉か Helliwell, Aknin, Shiplett, Huang & Wang (2018)
▼ この論文が問う問い
人間はなぜ、お金や健康だけでなく、人とのつながりや他者への親切から幸福を得るのか。そして、そのつながりはどれほど強力なのか。
本論文は、「社会資本」と「向社会的行動」という2つの軸から、幸福(主観的ウェルビーイング)の源泉を体系的に整理したレビュー論文です。
※ 社会資本(ソーシャル・キャピタル)とは:人々の間のネットワーク、信頼、共有された規範などを指す概念。お金や物的資産とは異なる「関係性の資産」です(OECD, 2001)。
※ 向社会的行動(プロソーシャル・ビヘイビア)とは:ボランティア、寄付、他者へのケアなど、他の人の利益になることを自発的に行う行動です。
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▼ 第1部:個人レベルの社会資本
・職場における信頼
職場での社会資本、特に上司への信頼が生活満足度に与える影響は非常に大きいことが示されています。
カナダのデータでは、管理職への信頼が10点尺度で1点高い職場で働くことの効果は、世帯収入が3分の1増加することと同等の満足度向上をもたらしていました(Helliwell & Huang, 2011)。
また、上司を「ボス」ではなく「パートナー」として認識している労働者は、平日と週末の幸福度の差がほぼなくなることも示されています(Helliwell & Wang, 2014; 2015)。
さらに興味深いのは、中年期(45〜54歳)に多くの人が経験する生活満足度の落ち込みが、上司をパートナーと見なす高い社会資本の職場では消えてしまうという結果です。
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・家庭における社会資本
「困ったときに頼れる家族や友人がいるか」という1つの問いが、100カ国以上のデータで生活満足度の差を説明する最も重要な変数であることが示されています(Helliwell, Huang & Harris, 2009)。
6万8千件のデータでは、頼れる人がいることの効果は、世帯収入が5倍になることと同等の価値があると推定されています。
また、対面でのつながりは幸福を高める一方、オンライン上の友人の数は生活満足度と関連しないことも示されています(Helliwell & Huang, 2013)。
婚姻については、特に配偶者を「親友」と見なしている人では、結婚による生活満足度の効果が2倍になるという結果が得られています(Grover & Helliwell, 2014)。
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▼ 第2部:コミュニティ・国家レベルの社会資本
・国レベルでの影響力
158カ国を対象とした分析では、社会的サポートと寛大さの指標が、GDPや平均寿命などを統制した後でも、国ごとの生活満足度の差の37%を説明することが示されています(Helliwell, Huang & Wang, 2015)。
また、信頼として測定される社会資本は、国民の総資産の約20%を占めると推計されており、OECDの国では最大28%にのぼります(Hamilton, Helliwell & Woolcock, 2016)。
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・社会資本は「危機への耐性」にもなる
社会資本の高い地域は、自然災害や経済危機への回復が早いことが複数の研究で示されています。
2008年の金融危機において、アイルランドとアイスランドの生活満足度の落ち込みが、スペイン・イタリア・ギリシャと比べてはるかに小さかったことは、両国の高い社会資本で説明できると論じられています(Helliwell, Huang & Wang, 2014; 2015)。
2011年の東日本大震災後のデータでは、被災地域において信頼が幸福に与える効果が震災前の約4倍に拡大したことも報告されています(Yamamura et al., 2015)。
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▼ 第3部:信頼とウェルビーイング
・信頼は複数の次元を持つ
「他の人は一般的に信頼できるか」という一般的社会信頼だけでなく、警察・法体系・議会・政治家への信頼も、生活満足度と独立して関連することが欧州社会調査(ESS)のデータで示されています(Helliwell, Huang & Wang, 2017)。
一般的社会信頼だけで推定した場合の効果は、これら5つの信頼を合算した効果のわずか半分にとどまります。つまり、信頼の効果は私たちが通常測定している以上に大きい可能性があります。
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・信頼は逆境の痛みを和らげる
社会信頼が高い人は、失業・病気・差別といった逆境に直面したときでも、生活満足度の低下が相対的に小さいことが示されています。
具体的には、差別を受けた場合の影響が、信頼の高い人では最大38%小さくなっています(Helliwell, Huang & Wang, 2017)。
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▼ 第4部:利他的行動(向社会的行動)と幸福
・与えることは幸福をもたらす
ボランティア活動、寄付、他者へのケアなど、様々な「与える行動」が幸福と関連することが、相関研究・実験研究の両面から示されています。
米国29州の約3万人のデータでは、ボランティアをより頻繁にする人ほど健康で幸福であることが、年齢・性別・収入などを統制後も確認されています(Borgonovi, 2008)。
12カ国3万人以上のデータでも、過去1ヶ月以内にボランティアをした人は生活満足度が高く、うつ傾向が低いことが示されています(Haski-Leventhal, 2009)。
実験的証拠として、他者のためにお金を使うよう無作為に割り当てられた人は、自分のために使った人より幸福度が高くなることが、先進国・途上国・小規模農村社会と様々な文脈で再現されています(Aknin, Barrington-Leigh et al., 2013; Aknin et al., 2015)。
2歳未満の幼児でさえ、お菓子をもらうときよりも与えるときの方が多く微笑むことが確認されており、利他的行動の喜びは普遍的な人間の特性である可能性が示唆されています(Aknin, Hamlin & Dunn, 2012)。
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・向社会的行動が幸福をもたらす4つの条件
研究によって、与えることが特に幸福につながりやすい状況が4つ特定されています。
1つ目は、社会的つながりを伴うこと。相手と時間を共に過ごすような形での向社会的行動は、より大きな幸福感をもたらします(Aknin, Dunn, Sandstrom & Norton, 2013)。
2つ目は、他者志向の動機であること。自分のためではなく他者のために行動しているという意識があるときに幸福への効果が強くなります(Konrath et al., 2012)。公の場での寄付より私的な寄付の方が幸福感が高いという研究も、この観点と一致します(Wang & Tong, 2015)。
3つ目は、自発性があること。強制されたボランティアや義務的な奉仕活動には、幸福への効果が検出されないことが実験的に示されています(Weinstein & Ryan, 2010; Whillans et al., 2016)。
4つ目は、影響を実感できること。自分の寄付がどのように使われるかを知っている場合、寄付額が多いほど幸福感が高まりますが、影響が不明な場合その関係は消えます(Aknin, Dunn, Whillans, Grant & Norton, 2013)。
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▼ 全体のまとめと論文の結論
この論文が示す大きな物語は次の通りです。
人間は社会的な生き物であり、他者とのつながりや信頼は、収入や健康とは独立して、そしてそれらを超えて、主観的幸福に大きく貢献しています。
向社会的行動は幸福の原因であり(実験的に確認済み)、かつその幸福がさらなる向社会的行動を促すという好循環も存在します(Aknin, Dunn & Norton, 2011)。
著者らはこれを進化論的に解釈し、信頼と協力に基づく社会が、危機の時代においても高い生存力を持つという考えを示しています。政策的には、サービスを設計・提供する際に社会的文脈(信頼・参加・つながり)を重視することが、より豊かな幸福につながると結論づけています。
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※ 日本への示唆
日本は経済指標では高水準にある一方、社会信頼や向社会的行動の国際比較では相対的に低い傾向が報告されています。この論文が示すように、社会資本の強化こそが次の幸福向上の鍵となる可能性があります。
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Social Capital and Prosocial Behaviour as Sources of Well-Being
By John F. Helliwell, University of British Columbia; Lara B. Aknin, Simon Fraser University; Hugh Shiplett, University of British Columbia; Haifang Huang, University of Alberta; & Shun Wang, KDI School of Public Policy and Management
本章では、社会資本、利他的行動、主観的幸福感の間に存在する肯定的な関連性を裏付ける証拠を概観する。職場であれ家庭であれ、地域社会であれ国家間であれ、より良く深い社会的つながり、特に高い信頼水準は、より高い主観的幸福感と結びついている。これは、より高い所得やより良い健康状態を通じて生じる効果を超えてさえも成立する。利他的行動もまた、相関関係と実験的文脈の両方において、幸福感の確固たる予測因子であることが示されている。この二つの研究領域は相互に関連している。なぜなら利他的行為は、社会的資本を向上させる形で実践され、強制や私利私欲に左右されない意図的な寛大さを反映する際に、幸福度を高める可能性が最も高くなるからである。我々は、利他的行為と幸福度の間のこうした深い結びつきが、社会的資本の質を維持し、危機的状況において協力的な人間の反応をもたらすという進化的利益を有すると推論する。
キーワード:社会的資本、利他的行動、幸福、ウェルビーイング