2026.03.12

はぴテク相談室:36幸福の源泉としての社会資本と利他的行動

相談者

最近、仕事がしんどくて…。給料も悪くないし、業務内容に不満があるわけじゃないんですけど、なんか毎日が憂鬱で。何が問題なのかよくわからないんです。

はぴテクさん
はぴテクさん

それはつらいですね。給料や仕事内容は悪くないのに毎日が重い、というのは、意外と多くの方が感じていることです。少し聞かせてください。職場の上司や同僚との関係は、どんな感じですか?

相談者

うーん、上司は悪い人じゃないんですけど、なんか「指示を出してくる人」って感じで。相談しにくいというか、一緒に仕事してる感じがあんまりしないんですよね。

はぴテクさん
はぴテクさん

なるほど、それはとても重要なヒントかもしれません。実は、カナダの大規模なデータを使った研究で、職場での上司への信頼が10点満点で1点上がるだけで、世帯収入が3分の1増えるのと同じくらい生活満足度が上がる、という関連が示されているんです。お金よりも、「信頼できる関係があるかどうか」が幸福感に強く結びついている可能性があるんですね。

相談者

えっ、収入が増えるより関係性の方が大事ってことですか?それはちょっと驚きです。

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、その研究ではそういう関連が見られました。さらに面白いのが、上司のことを「ボス(命令する人)」じゃなく「パートナー(一緒に取り組む仲間)」と感じている人は、月曜日の憂鬱さがほぼなくなる、つまり平日と週末の幸福度の差がほとんど消える、という結果も出ているんです。

相談者

週末だけ楽しい、っていうあの感覚、まさに今の私です…。パートナーと感じられたらそれがなくなるかもしれないってことですね。ちなみに、私は40代後半なんですが、最近特にしんどさが増した気もして。年齢も関係あるんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

実はそれも研究で出てきているんです。45〜54歳の中年期は、多くの人が生活満足度の落ち込みを経験しやすい時期とされています。ただ、上司をパートナーと感じているような、信頼関係が豊かな職場にいる人では、その中年期の落ち込みが消えてしまうという結果もあるんですよ。

相談者

それはすごい…。じゃあ、職場の人間関係を良くすることが大事ってことですね。でも、上司との関係って自分ではなかなか変えられないじゃないですか。他にできることってありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

いい質問ですね。研究では「与えること」、つまり誰かのために何かをする行動も幸福感と強く関連することが示されています。ボランティアや寄付だけじゃなく、職場でも「誰かの役に立てた」と実感できる行動が幸福感と結びついているんです。しかも、2歳にも満たない赤ちゃんでさえ、お菓子をもらうよりあげるときの方が笑顔が多かったという研究もあって、これは人間に生まれつき備わった特性かもしれないと言われています。

相談者

赤ちゃんまで!それは面白いですね。じゃあ、職場で誰かを手伝ったりすることも効果があるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、ただ研究によると、与える行動が幸福感につながりやすい条件があることもわかっています。4つあって、①相手と一緒にいるような社会的なつながりを伴うこと、②「自分のためじゃなく相手のために」という気持ちがあること、③強制じゃなく自発的であること、④自分の行動が相手に届いている、影響が実感できること。この4つが揃うと、特に幸福感と強く結びつく傾向があるそうです。

相談者

なるほど。義務でやる奉仕活動じゃなくて、「自分がやりたくてやっている」「ちゃんと相手に届いている」という感覚が大事なんですね。職場でも、そういう関わり方を意識してみようかな。

はぴテクさん
はぴテクさん

その気づき、素晴らしいと思います。あと、もう一つ。「困ったときに頼れる人がいるか」という一つの問いが、100カ国以上のデータで生活満足度を説明する最も重要な変数だったという研究もあります。職場だけじゃなく、プライベートで話せる友人や家族との時間も、じわじわと効いてくる可能性があります。オンラインの友達の数は生活満足度と関連しなかった一方、対面のつながりは関連があったという結果も出ていました。

相談者

対面でのつながりって、改めて大事なんですね。なんかSNSばかりで実際に会う機会が減ってたかもしれないです。お金を増やすことより、人との関係を大切にすることを意識してみます。今日は整理できた気がします、ありがとうございます!

■ 今日のまとめ

  • 職場での上司への信頼や「パートナー」と感じられる関係性は、収入の増加に匹敵するほど生活満足度と強く関連しており、中年期の幸福度の落ち込みとも結びついている可能性が研究で示されています。
  • 「困ったときに頼れる人がいるか」という対面でのつながりは、100カ国以上のデータで生活満足度と最も強く関連する変数の一つでした。一方、オンライン上の友人の数は生活満足度と関連しませんでした。
  • 与えること(向社会的行動)は幸福感と関連しますが、特に①社会的つながりを伴う、②自発的である、③他者志向の動機がある、④影響が実感できる、という4条件が揃うときに、その関連が強くなることが示されています。

■ 出典・注意事項

  • 主要論文:Helliwell, J.F., Aknin, L.B., Shiplett, H., Huang, H., & Wang, S. (2018). Social Capital and Prosocial Behaviour as Sources of Well-Being. In E. Diener, S. Oishi, & L. Tay (Eds.), Handbook of Well-Being. DEF Publishers.

  • 個別研究:Helliwell & Huang (2011); Helliwell & Wang (2014; 2015); Grover & Helliwell (2014); Aknin, Hamlin & Dunn (2012); Borgonovi (2008); Haski-Leventhal (2009); Aknin et al. (2013; 2015) など

  • 【注意事項】本研究の多くは相関研究であり、「つながりが幸福を生む」という因果関係が確立されているわけではありません。実験研究の知見(向社会的行動など)は因果に近い示唆を与えますが、対象集団(カナダ・米国・欧州など)の特性が異なる場合、結果が同様に当てはまらない可能性があります。また、効果量の推定(例:収入3分の1増と同等など)はモデルの前提条件に依存します。

投稿者によるコメント・補足(1件)
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研究自体の紹介はこちら😊
36幸福の源泉としての社会資本と利他的行動
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2026-03-12-1773352807/

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