はぴテク相談室:希望を感じることは、単に気分が良いというよりも、私たちに意味の感覚をもたらすかも
最近、毎日なんとなく過ごしているんですが、「自分の人生って意味あるのかな」ってふと思うことが多くて…。楽しいこともあるんですけど、それでもなんか虚しいというか。どうすればいいんでしょう?
それは、なんとなくモヤモヤしますよね。楽しいことがあっても、「意味」を感じられないと虚しさが残る、という感覚、すごくよくわかります。実は、そのあたりをズバリ研究した論文が2025年に発表されて、とても興味深い結果が出ているんです。少し聞いてみますか?
ぜひ聞きたいです!楽しいことを増やせばいいのかなと思っていたんですが、それだけじゃダメなのかなって。
実はそこがポイントなんです。Edwards先生たちのチームが2,312人を対象に6つの研究を行ったのですが、「ポジティブな気分」と「希望」は別物で、特に人生の意味を感じることに強く関わっていたのは「希望」の方だったという結果が出ているんです。楽しい・うれしいといったポジティブな感情の効果を差し引いても、希望だけが人生の意味とつながっていたんですよ。
えっ、希望ってそんなに大事なんですか?希望って、なんか漠然としたイメージなんですけど、具体的にどういうことですか?
いい質問ですね。ここで言う「希望」は、単純に「なんとかなるかな」という楽観とも少し違います。研究では「希望という感情」そのものに注目していて、たとえるなら、ポジティブな気分が『今この場所を明るく照らす照明』だとすると、希望は『暗闇の先にある目的地を指し示し、そこへ続く道をつなぐサーチライト』のようなイメージです。先が見えないときでも、自分がどこへ向かっているかを感じさせてくれるものですね。
サーチライト、すごくわかりやすいです。じゃあ私が感じている虚しさって、もしかしてポジティブな感情は十分あるけど、希望が足りていないってことなんでしょうか?
その可能性はあるかもしれませんね。研究では、毎日の日記データを使った研究でも、そして5回にわたる縦断調査(時間をあけて繰り返し測定した研究)でも、希望だけが将来の「人生の意味」を予測したという結果が出ています。つまり、今希望を感じることが、将来の意味感にもつながるという関連が見られているんです。
将来の意味感にもつながるってすごいですね。でも、希望って「持とう」と思って持てるものなんですか?
研究ではそこまで踏み込んではいないのですが、研究の中で希望的な気分を誘導する実験も行われていて、希望的な感情が人生の意味の感覚に間接的に影響を与えることが確認されています。ただし、実験では操作が人生の意味に「直接」影響したわけではなく、希望という感情を通じた間接的な影響という形でした。ですので、希望感情と意味の関係は確認されていますが、「こうすれば希望が増える」という方法論まではこの研究では示されていません。
なるほど、確実にこうすれば希望が持てる、とまでは言えないんですね。ちなみに、日本人のデータはどうなんですか?日本人にも当てはまる話ですか?
実はこの論文の研究自体は、主にアメリカ人と中国人を対象にしたものです。ただ、別のデータとして、GFS(世界ウェルビーイング調査)という大規模調査では、1年後の幸せを予測する要因として、日本だけで見ると「希望」が圧倒的な1位だったという報告もあります。文化によって希望の重みの感じ方は違うかもしれませんが、日本人にとっても希望は特に大事な要素かもしれないですね。
日本で希望が1位というのは、ちょっとドキッとしました。それだけ希望を感じにくい人が多いのかな、とも感じて。では、日常の中で希望を意識するって、どんなことから始められそうですか?
この研究が示しているのは、「今どこへ向かっているか、自分にとって大事な何かがある」という感覚が希望と人生の意味をつなぐ、ということです。ですから、日常の中で「自分はどうなりたいか」「何が大切か」をちょっと振り返ってみることは、希望感情を意識するきっかけになるかもしれません。大きな目標でなくても、小さな「こうなったらいいな」を感じる瞬間を大切にするところから始めてみてはどうでしょう?
なんか、楽しいことを追いかけるだけじゃなくて、自分がどこへ向かっているかを感じることが大事なんですね。今日の話、すごく腑に落ちました。希望って改めて大事なんだなって。ありがとうございます!
こちらこそ、一緒に考えられてよかったです。「意味」と「希望」って、なんとなく昔から大事と言われてきたことですが、こうして研究でも裏付けが積み重なってきているのは心強いですよね。虚しさを感じることは悪いことじゃなくて、むしろ「自分にとっての意味や希望を探しているサイン」かもしれませんよ。
■ 今日のまとめ
- 希望という感情は、楽しい・うれしいといったポジティブな感情とは独立して、人生の意味を感じることと関連していることが6つの研究(計2,312人)で示されました。
- 希望の効果は横断的なデータだけでなく、時間をおいた縦断調査でも確認されており、今感じる希望が将来の人生の意味感とも関連していました。
- GFSの世界調査では、日本においては希望が幸せを予測する要因の中で圧倒的1位であり、日本人にとって特に重要な要素である可能性が示唆されています。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Edwards, M. E., Booker, J. A., Cook, K., Miao, M., Gan, Y., & King, L. A. (2025). Hope as a meaningful emotion: Hope, positive affect, and meaning in life. Emotion. https://doi.org/10.1037/emo0001513
- 【注意事項①:対象集団の限界】この研究の主な対象はアメリカの白人サンプルおよび中国人サンプルであり、日本人を直接対象にした研究ではありません。日本人への一般化には慎重な解釈が必要です。
- 【注意事項②:因果関係について】横断研究(研究1・2)は相関関係を示すものであり、因果関係を直接証明するものではありません。縦断研究(研究4)でも関連は見られましたが、因果の方向性については引き続き研究が必要です。
- 【注意事項③:実験結果の限界】実験(研究5・6)では、気分の操作が人生の意味に直接影響を与えたわけではなく、希望感情を介した間接的な影響が確認されたにとどまります。「希望を高めれば意味が増す」と断言できる段階ではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
希望を感じることは、単に気分が良いというよりも、私たちに意味の感覚をもたらすかも
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-12-31-1767218410/