はぴテク相談室:セルフエスティーム(自尊心)の概念について
最近、自分に自信が持てなくて悩んでいます。よく「自尊心を高めよう」って言葉を聞くんですが、そもそも自尊心って何なんでしょう?なんとなくふわっとしていてよく分からなくて…
その「ふわっとしてる」という感覚、実はすごく鋭い気づきなんですよ!実は研究者たちもずっとその問題と向き合ってきました。2017年に鳴門教育大学の山崎先生たちが発表した論文でも、「自尊心(セルフ・エスティーム)の概念や測り方は、まだちゃんと共通見解がない」という問題が指摘されているんです。
えっ、研究者の間でもまだはっきりしていないんですか?それはちょっと驚きです。
そうなんです。ただ、その中でもナサニエル・ブランデンという研究者の定義がとても分かりやすいと言われています。彼は「自尊心=自己効力感+自己価値感」という形で整理しました。この2つはちょっと違うものなので、分けて考えると自分の状態を把握しやすくなりますよ。
自己効力感と自己価値感…なんとなく聞いたことありますが、どう違うんですか?
いい質問ですね!「自己効力感」は、自分の考える力や判断する力への信頼感です。「自分はちゃんと考えて決められる」「現実をきちんと把握できる」という自分の頭や心への信頼のこと。一方「自己価値感」は、「自分には生きる権利がある」「幸せになっていい」「自分の気持ちや欲求を主張していい」という、存在そのものへの肯定感です。
なるほど…。私の場合、「どうせ私の判断は間違ってる」って思いがちなので、自己効力感が低いのかもしれません。
自分でそう気づけるのはとても大事なことです。ただ一点補足すると、自己効力感や自己価値感は「自分でアンケートに答えて測る」方法が主流なんですが、この論文ではその方法にも限界があると指摘しています。自分で「私はこう思っている」と答えた内容が、実際の自分の深いところにある感覚とズレている可能性があるんです。
え、自分のことなのに自分で分からないってことがあるんですか?
あるんです!これを研究者たちは「インプリシット(暗黙の)セルフ・エスティーム」と呼んでいます。意識して答える前の、無意識レベルの自己イメージのこと。論文では、こうした無意識の部分もちゃんと測れる「IAT(潜在連合テスト)」という手法も注目されています。自分が「自信ない」と思っていても、無意識では違う場合もあるかもしれないんです。
それは面白いですね。じゃあ、自分に自信がないと感じているとき、どう考えればいいんでしょう?
ブランデンの整理に沿って考えると、まず「どちらが揺らいでいるのか」を見てみるといいかもしれません。「自分の判断力や考える力が信じられない」のか、「そもそも自分には価値がないと感じている」のか。この2つは別々の問題として考えられるので、自分の状態を整理しやすくなりますよ。
確かに、「判断が信じられない」と「自分に価値がない」って違う悩みですよね。私は両方ある気がしてきました(笑)
その「両方ある」という気づき自体、実はすごく重要なんです。漠然と「自信がない」とひとまとめにしていたものが、少し解像度高く見えてきたんじゃないでしょうか。ただ、この論文が指摘しているように、自尊心の定義も測り方もまだ発展途上の分野。「正解の自尊心の高め方」が一つに決まっているわけではないので、自分自身の観察を丁寧に続けることが、今できる大事なことかもしれません。
「解像度高く見る」という言葉がすごくしっくりきました。自尊心ってひとことで語れないものなんですね。今日は整理できた気がします、ありがとうございます!
こちらこそ、一緒に考えられてよかったです。「自信がない」と感じるとき、それが「考える力への信頼」の話なのか「自分の存在価値」の話なのかを区別してみる。それだけでも自分を見つめる視点がちょっと変わってくると思いますよ。焦らず、自分のことを丁寧に観察してみてくださいね😊
■ 今日のまとめ
- 自尊心(セルフ・エスティーム)は「自己効力感(考える力・判断力への信頼)」と「自己価値感(存在そのものへの肯定)」の2つから成るという整理がある
- 「自信がない」という感覚は、どちらが揺らいでいるのかを区別して考えると、自分の状態をより具体的に把握しやすくなる
- 自尊心の概念や測定方法は研究上まだ発展途上であり、自己報告アンケートだけでは捉えきれない無意識レベルの自己イメージ(インプリシット・セルフ・エスティーム)があることも指摘されている
■ 出典・注意事項
- 山崎勝之・横嶋敬行・内田香奈子「『セルフ・エスティーム』の概念と測定法の再構築――セルフ・エスティーム研究刷新への黎明――」鳴門教育大学研究紀要 第32巻, 2017年 https://naruto.repo.nii.ac.jp/record/27971/files/KK32001.pdf
- 【注意事項】本論文は概念・測定法の整理と問題提起を行った紀要論文であり、介入効果や因果関係を示したものではありません
- 自尊心の定義や測定法については研究者間で共通見解が確立されておらず、本論文で紹介されているブランデンの定義も数ある見解の一つです
- 自己報告式の尺度には回答バイアスなど限界があることが論文内でも指摘されています
研究自体の紹介はこちら😊
セルフエスティーム(自尊心)の概念について
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-11-15-1763173934/