はぴテク相談室:なぜ幸せな人はエネルギッシュなのか?
最近、周りに本当にエネルギッシュな人がいて、なんであんなに活動的でいられるんだろうって不思議に思ってるんです。私はすぐ疲れちゃって…。幸せそうな人ってどこからあのエネルギーが出てくるんでしょうか?
それ、すごく気になりますよね!実はコロンビア大学の研究で、そのヒントになる発見があったんです。幸せを感じている人は、脳の中の「ミトコンドリア」というエネルギーをつくる仕組みが充実している、という関連が見えてきたんです。
ミトコンドリア…?理科で聞いたことある気がしますが、それが幸せと関係あるんですか?
そうなんです!ミトコンドリアは細胞の中にある「エネルギー工場」のようなもので、体や脳を動かすためのエネルギー(ATPと呼ばれます)をつくっています。脳は特にたくさんのエネルギーを必要とする臓器なので、ミトコンドリアがしっかり働いているかどうかが、活動的でいられるかどうかと関わっている可能性があるんですね。この研究では、心理的な幸福度が高い人ほど、脳のミトコンドリアのエネルギー変換に関わるタンパク質が豊富に存在していることがわかりました。
へえ!じゃあ、どんなことが幸せ感やエネルギーに関係しているんですか?
研究によると、ポジティブな側では「心理的ウェルビーイング」が一番影響が大きいとされていました。これは、人生に目的を持っていること、自分が成長していると感じること、人との良いつながりがあること、自分を受け入れていること、自分で物事を決められる感覚、そして自分の環境をある程度コントロールできている感覚、こういったものの組み合わせです。2番目はボランティアなどの社会活動でした。
なるほど。じゃあ逆に、エネルギーが出にくくなる方向に働くものもあるんですか?
はい、ネガティブな方向では、「ネガティブな気分」が一番大きく、次に「辛い出来事が重なること」が関連していました。ネガティブな気分が強い人ほど、ミトコンドリアのエネルギー変換に関わるタンパク質の量が少ない傾向があったんです。ポジティブとネガティブ両方の要因を合わせると、個人差の18〜25%を説明できたとのことでした。
25%って多いんですか?少ないんですか?
正直に言うと、残り75〜82%は他の要因によるものです。でも、心理社会的な経験だけでこれだけの割合が説明できるというのは、研究者たちにとってはかなり注目すべき結果なんですよ。脳の細胞レベルのことと、人の気持ちや人間関係が結びついているって、すごいことだと思いませんか?
確かに!でも、「幸せだからエネルギッシュ」なのか、「エネルギッシュだから幸せ」なのか、どっちなんでしょう?
鋭い質問です!この研究では、心理社会的な経験とミトコンドリアの状態に「関連がある」ことがわかったのですが、どちらが原因でどちらが結果か、という因果関係までは断言できません。研究者たちも、ミトコンドリアは心理社会的経験の「影響を受ける側」でもあり、「影響を与える側」でもある可能性を指摘しています。双方向の関係かもしれないんですね。
そうなんですね。あと、この研究ってどうやって調べたんですか?生きている人の脳を調べるのは難しそうで…。
そこも大事なポイントです。この研究は、生前に長期間にわたって心理社会的なデータを集めておき、亡くなった後に脳の組織を分析するという方法をとっています。平均89歳前後の高齢者が対象で、参加者の98%が白人、70%が女性というデータです。ですので、若い世代や他の人種・文化圏にそのままあてはまるかどうかは慎重に考える必要があります。
なるほど、限界もあるんですね。でも、日常生活で何か活かせることはありますか?
研究の結果から言えることとして、人生の目的意識を持つこと、人とのつながりを大切にすること、社会参加(ボランティアなど)をすることが、心理的ウェルビーイングと関連していました。またネガティブな気分がミトコンドリアの状態と逆向きに関連していたので、日々の気分の状態も関係している可能性があります。ただ、研究の著者も「幸せだからといってやりすぎは禁物」と注意しています。エネルギーが湧く感覚があっても、無理をしすぎないことも大切ですよ。
■ 今日のまとめ
- 心理的ウェルビーイング(目的意識・人とのつながり・自己受容など)や社会活動が高い人ほど、脳のミトコンドリアのエネルギー変換機能が充実している傾向があることが示された
- ネガティブな気分や辛い出来事が重なると、脳のミトコンドリアのエネルギー変換に関わるタンパク質が少ない傾向があり、ポジティブ・ネガティブ両要因で個人差の18〜25%を説明できた
- ただし、これは「関連」であって因果関係の確定ではなく、対象が高齢の白人女性中心・死後の脳組織分析という研究の限界も踏まえて理解することが大切
■ 出典・注意事項
- 出典:Trumpff C. et al., 'Psychosocial experiences are associated with human brain mitochondrial biology,' PNAS, 2024年6月18日, https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2317673121
- 注意①:本研究は「相関関係」を示したものであり、心理社会的経験がミトコンドリア機能を直接変化させる、あるいはその逆という因果関係は確定していません
- 注意②:研究対象者は平均死亡年齢89歳前後の高齢者が中心で、白人98%・女性70%という特定の集団であるため、若い世代・他の人種・文化圏への一般化には慎重さが必要です
- 注意③:脳のミトコンドリア分析には死後の脳組織を使用しており、生きている人の脳をリアルタイムで測定したわけではありません
研究自体の紹介はこちら😊
なぜ幸せな人はエネルギッシュなのか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-10-25-1761402708/