なぜ幸せな人はエネルギッシュなのか?
幸せな人は脳内のミトコンドリアのエネルギー変換機能が充実している
幸せな人って、どこからエネルギー出てるの!?っていうくらい、活動的な方が多くないですか?
前々から感じていたのですが、その原因となるメカニズムがコロンビア大学の研究で解明されました(他にも原因はあるかもですが)😍
ー
幸せな人は脳内のミトコンドリアのエネルギー製造機能が充実しているので、エネルギッシュみたいです😍
ーー
特に、
●ポジティブ側
1位:心理的ウェルビーイング
(人生の目的、人格の成長、良好なつながり、自己受容、自律性、環境のコントロール感)
2位:社会活動(ボランティアなど)
ー
●ネガティブ側(マイナスに効く)
1位:ネガティブな気分
2位:ネガティブなライフイベント
の影響が大きい。
→これらだけで個人差の18~25%を説明。
ーー
ということで、
幸せだとエネルギッシュだったり、死亡リスクが低かったり、
孤独や抑うつだと、エネルギーが出づらかったり、認知機能が低下したり、
するのは、脳内のミトコンドリアの影響があるみたいです。
ーー
個人的に感じていた、幸せな人がエネルギーに溢れている理由が分かる、
大変興味深い研究でした😍
(でも、限度はあるので、幸せだからと言って、色々やりすぎは気を付けて😊)
ーー
また、本研究では詳細に脳を見る必要がある為、
死後の脳組織を分析しているという点は要注意です。
ーーー
心理社会的経験は人間の脳のミトコンドリア生物学と関連している
Psychosocial experiences are associated with human brain mitochondrial biology
PNAS,2024/6/18
Caroline Trumpff(コロンビア大学) et al.
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2317673121
心理社会的経験は脳の健康と老化の軌跡に影響を及ぼすが、これらの関連の根底にある分子経路は依然として不明である。正常な脳機能は、ミトコンドリアの酸化的リン酸化(OxPhos)によるエネルギー変換に依存している。ミトコンドリアは心理社会的経験の標的であると同時に、その原動力でもあるとする2つの主要なエビデンスがある。慢性的なストレスへの曝露と気分状態は、ミトコンドリア生物学のさまざまな側面を変化させる可能性がある。また、ミトコンドリアのOxPhosの能力の機能的変異は、社会行動、ストレス反応、および気分を変化させる可能性がある。しかし、心理社会的曝露と主観的経験は、ヒトの脳におけるミトコンドリア生物学と関連しているのだろうか?高齢者の心理社会的因子の縦断的な生前評価と死後脳(背外側前頭前皮質)プロテオミクスを組み合わせることで、幸福度が高いほどミトコンドリアのOxPhos機構が豊富に存在すること、一方、ネガティブな気分が高いほどOxPhosタンパク質含有量が低いことがわかった。肯定的および否定的な心理社会的要因の組み合わせは、脳ミトコンドリアを活性化する主要な生化学的エントリーポイントであるOxPhos複合体Iの存在量の変動の18~25%を説明する。さらに、特定の神経細胞および非神経細胞脳細胞におけるミトコンドリアの心理生物学的関連性を単核RNAシーケンシング(RNA-seq)を用いて調べたところ、グリア細胞では肯定的な心理社会的経験とミトコンドリアの間に強い細胞種特異的な関連性が認められたが、ニューロンでは逆の関連性が認められた。結果として、これらの「心とミトコンドリア」の関連性はバルクRNA-seqでは隠蔽され、バルク脳組織における真の心理生物学的効果の大きさが過小評価されている可能性が浮き彫りになった。このように、自己申告による心理社会的経験は、ヒト脳のミトコンドリア表現型と関連している。
【背景】
■ 第1章:心理社会的要因と健康の謎
▼ 心理社会的要因が健康を左右する
・目的意識が高い人:死亡リスク低下、認知機能維持(Boyle et al., 2009, 2010)
・社会的ネットワークが広い人:認知症リスクが低い(Fratiglioni et al., 2000)
・逆に、孤独や抑うつ:認知機能低下と関連(Wilson et al., 2007; Cacioppo & Hawkley, 2009)
※心理社会的要因=人間関係、ストレス、生きがいなど、心と社会環境に関わる要素
▼ しかし、メカニズムは不明
これらが「どのように」脳や体の健康に影響するのか、細胞レベルのメカニズムは分かっていませんでした。
ーー
■ 第2章:ミトコンドリアがストレスの標的である証拠
▼ ミトコンドリアとは
細胞内のエネルギー工場。酸化的リン酸化(OxPhos)という仕組みでATP(エネルギー通貨)を作る。
特に脳は大量のエネルギーが必要なため、ミトコンドリアが重要。
▼ 動物実験での発見
● 慢性ストレスがミトコンドリアを変える
・慢性ストレスを受けたラット:
→脳の複合体I(※エネルギー産生の最初の段階)の活性が低下(Liu & Zhou, 2012)
→ミトコンドリア遺伝子の発現が変化(Hunter et al., 2016; Weger et al., 2020)
→エネルギー代謝、酸化ストレス関連タンパク質が変化(Chakravarty et al., 2013; Filiou et al., 2011)
※複合体I=ミトコンドリアの電子伝達系の最初の大型酵素複合体。脳で特に重要
・ストレスで急性にミトコンドリアの透過性が変化(Batandier et al., 2014)
・うつ様行動とミトコンドリア機能不全の関連(Kambe & Miyata, 2015)
▼ ヒトでの証拠(末梢血)
・慢性ストレスや精神疾患のある人:
→ミトコンドリアDNAコピー数の変化(Tyrka et al., 2016; Cai et al., 2015)
→酵素活性の変化(Zvěřová et al., 2019)
→細胞呼吸の変化(Karabatsiakis et al., 2014; Boeck et al., 2018)
※これらは主に血液細胞での研究
【研究詳細】
■ 第1章:研究デザインの全体像
▼ 基本アプローチ
生前の心理社会的データ → 死後の脳組織分析 → 両者の関連を解析
▼ 使用したコホート研究
■ ROSMAP(主要データ)
・ROS(宗教団体研究)とMAP(記憶・加齢プロジェクト)の統合
・参加者:カトリック修道士・神父・修道女、イリノイ州の退職者コミュニティ住民
・特徴:認知症なしで登録、毎年評価、死後に脳提供に同意
■ BLSA(検証用データ)
・ボルチモア長期加齢研究
・より小規模(n=47)だが複数脳領域のデータ
ーー
■ 第2章:参加者の特徴
▼ ROSMAP TMTプロテオミクスコホート(n=400)
・性別:女性70%
・人種:白人98%
・平均死亡年齢:89.2歳
・認知状態:
→認知正常(NCI):42%
→軽度認知障害(MCI):25%
→アルツハイマー病(AD):31%
→その他の認知症:2%
※この多様性により、認知状態に関わらず一般化可能な知見が得られる
ーー
■ 第3章:心理社会的データの収集と統合
▼ 測定された心理社会的要因
■ ポジティブ要因(6項目)
①社会的ネットワークのサイズ
→どれだけ多くの人と定期的に交流しているか
②晩年の社会活動
→社会的交流を伴う活動にどれくらい参加しているか
③人生の目的
→人生に意味や方向性を感じているか
④人生満足度(ウェルビーイング)
→6つのテーマで評価:目的、成長、他者との関係、自己受容、自律性、環境への習熟
→Ryff & Keyes (1995)の尺度を使用
⑤時間的展望
→「将来に多くの機会がある」「新しい目標を設定できる」など6項目
将来をどれだけ長く感じているか
⑥生活満足度
■ ネガティブ要因(6項目)
①小児期逆境体験
→一度だけ測定
②ネガティブライフイベント
→過去1年間の否定的出来事
③社会的孤立感
→孤独感の自己評価
④抑うつ症状
→CES-D尺度(うつ病疫学研究センター尺度)
⑤ネガティブな気分
→PANAS尺度(ポジティブ・ネガティブ感情尺度)
⑥知覚ストレス
→日常的にどれだけストレスを感じているか
▼ データ統合の方法
■ 縦断データの平均化
・測定頻度:年1回(一部は1回のみ)
・平均追跡期間:4.3年(範囲:1〜10年)
・重要な点:認知症診断後は測定中止
→ MCI・AD患者のデータは死亡からやや離れている可能性
■ スコアの標準化
各質問票スコアをz-score化(平均0、標準偏差1に変換)
さらにt-score化(平均100、標準偏差10に変換)
複数時点のデータを平均
ポジティブ項目の平均 → ポジティブスコア
ネガティブ項目の平均 → ネガティブスコア
統合スコア:ネガティブ項目を反転してポジティブ項目と統合
※この方法で、より安定した個人特性の推定値が得られる
前野夫妻の幸福学Tipsに取りあげて頂きました😍️
https://r.voicy.jp/kaK56PewmBN
近しい研究は、前からあったんですね😊
ー
ミトコンドリアを活性化する成分を探索し、 長寿のメカニズムを解き明かしたい!
東京工科大学
https://www.teu.ac.jp/topics/2016.html?id=224
日々幸福感に満たされ、仕事が楽しければ、「ミトコンドリアと共に生きる」という状態なのです。なぜならそれは脳が最高の状態にあることを示しているからです。脳は最もエネルギーを消費する組織であり、体のなかでもっともミトコンドリアの機能の影響を強く受けるのは脳です。