2025.10.09

はぴテク相談室:高齢者のファイナンシャル・ウェルビーイングに効いてくるもの

相談者

はぴテクさん、こんにちは。私、もうすぐ65歳になるんですけど、老後のお金のことがずっと不安で。年金だけじゃ足りないかなとか、貯蓄が足りてないんじゃないかって毎日モヤモヤしてるんです。やっぱりお金をもっと増やさないと、老後って安心できないんですかね…。

はぴテクさん
はぴテクさん

ご相談ありがとうございます!その不安、すごくよく分かります。老後のお金のことって、多くの方が気になるところですよね。実はここに面白い研究があって、「ファイナンシャル・ウェルビーイング」、つまりお金に関する安心感や満足感って、収入だけでは意外とあまり説明できないことが分かってきているんです。まずそのあたりから一緒に見ていきましょうか😊

相談者

えっ、収入だけじゃないんですか?でも正直、お金が多ければ多いほど安心じゃないですか?収入って一番大事な気がするんですけど…。

はぴテクさん
はぴテクさん

そう感じるのはすごく自然ですよ!ただ、米国の調査データを見ると、収入とお金の安心感の相関は0.38くらいで、収入はお金の安心感のばらつきのうち、だいたい14%しか説明できていないとされています。もちろん大事な要素ではあるんですが、残り86%は収入以外のところにあるんです。2025年に発表されたJoshanloo先生の研究では、高齢者を対象に47もの要素を機械学習で分析して、何が本当にお金の安心感に結びつくのかを調べているんですよ。

相談者

47も!それは多いですね。で、結局どんなことが大事だったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい、特に影響が大きかったのが6つです。1番は「慢性的なストレス」、次に「人生満足度(幸せ感)」「住環境への満足度」「教育年数(学び)」「コントロール感(自分で決めている感覚)」「楽観性」でした。中でも慢性ストレスは、他の要素と比べても圧倒的に重要度が高かったんです。これらを合わせると、お金の安心感のばらつきの約44%が説明できたとされています。

相談者

ストレスが一番なんですね。確かに私、お金のことを考えるとストレスがたまって、そのストレスでまた不安になって…って悪循環してる気がします。でも、ストレスとお金の安心感って、どっちが先なんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭いご質問ですね!これはとても大切なポイントです。この研究は「関連がある」ということを示したもので、ストレスがお金の安心感を下げるのか、その逆なのかという因果関係までは言えません。ただ、慢性的なストレスが高い状態だと、ファイナンシャル・ウェルビーイングのスコアが低い傾向が見られた、ということです。だからこそ、ストレスへの対処を考えることは、お金の安心感を考えるうえで無視できない視点と言えますよね😊

相談者

なるほど。じゃあ「楽観性」って、どういうことですか?お金が不安なのに楽観的になれっていうのは、ちょっと難しい気がして…。

はぴテクさん
はぴテクさん

おっしゃる通り、「ただポジティブに考えなさい」というのは無理がありますよね。研究で言う楽観性は、現実を無視することじゃなくて、「なんとかなるかも」「工夫できることがある」という感覚に近いイメージです。面白いのは、楽観性や人生満足度といった心理的な状態が、経済状況そのものより強くお金の安心感と関連していたという点なんです。これはこの研究の中で、人口統計学的な指標より心理的な変数の方が強力な予測因子だったと書かれています。

相談者

住んでいる場所への満足度も入ってたのが意外でした。引っ越せばいいってこと…?

はぴテクさん
はぴテクさん

引っ越しが答えというわけではないですよ(笑)。住環境満足度というのは、今住んでいる場所をどう感じているか、という主観的な感覚です。同じ家でも「ここが好き」「落ち着く」と感じるかどうかが関係しているんですね。ちなみにこの研究では「コントロール感の欠如」、つまり自分の生活をあまり自分で決められていないと感じることも、お金の安心感と関連していました。住まいへの不満も、自分でどうにもできないという感覚とつながっているのかもしれません。

相談者

「学び続ける」というのも入ってましたよね。65歳になっても勉強するって、何か意味があるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では教育年数、つまり積み上げてきた学びの長さが関連していました。これは今からどれだけ学ぶかというよりも、これまでの学習経験が関係しているようです。ただ、学びを続けることで知識が広がり、自分で情報を判断したり選択したりできる感覚、つまりコントロール感にもつながる可能性は考えられますよね。ちなみにこの研究ではデバイス(スマホやPCなど)の使用や余暇活動の満足度は、影響度が低いグループに入っていました。

相談者

なんか、お金そのものを増やすことより、自分の気持ちや暮らし方を整えることの方が大事なんですね。それは少し気持ちが楽になりました。でも具体的に何から始めればいいのか、まだピンとこなくて…。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうですよね。この研究が教えてくれているのは、「ファイナンシャル・ウェルビーイングは、経済状況だけじゃなく、ストレスへの向き合い方、幸せ感、住まいへの満足、学び、自己決定の感覚、楽観的な視点と関連している」ということです。たとえば、「今日の小さな決定を自分でする」「住まいの好きなところに目を向けてみる」「ストレスを感じたとき、どうすれば少し和らぐか考えてみる」など、日常の中でできることから試してみるのはいかがでしょう。あくまで研究からのヒントですが、収入を増やす以外にもアプローチの入り口はたくさんあるかもしれません😊

相談者

ありがとうございます。貯金額ばかり気にしていたけど、自分の気持ちや毎日の暮らし方も大事なんだって、改めて気づきました。もう少し自分の日々の満足感を大切にしてみようと思います!

■ 今日のまとめ

  • 高齢者のお金の安心感(ファイナンシャル・ウェルビーイング)は、収入だけでは約14%しか説明できず、収入以外の要素の方が大きく関連している可能性がある。
  • 機械学習分析では、慢性ストレス・人生満足度・住環境満足度・教育年数・コントロール感・楽観性が特に強く関連しており、心理的な変数が人口統計学的な指標より重要な予測因子だった。
  • お金の安心感を高めるためには、収入だけに注目するのではなく、ストレスへの向き合い方、日常の幸せ感、自分で決める感覚、前向きな視点など、心理・生活面からのアプローチも考える価値がある。

■ 出典・注意事項

  • Joshanloo, M. (2025). Financial Well-Being in Older Adults: A Machine Learning Analysis of 47 Potential Predictors. Journal of Applied Gerontology. https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/07334648251386155

  • 【注意事項①:相関であって因果ではない】本研究はランダムフォレスト(機械学習)を用いた横断的な関連分析であり、各要因がファイナンシャル・ウェルビーイングを『引き起こす』とは言えません。あくまで『関連がある』という知見です。

  • 【注意事項②:対象集団の限界】データは米国の「Health and Retirement Study(健康と退職に関する調査)」に基づいており、米国の高齢者を対象としています。日本など他の国・文化圏への一般化には限界があります。

  • 【注意事項③:収入との比較について】本文中で『収入より効く』という表現が出てきますが、これは論文内での直接比較ではなく、別の論文(CFPBレポートなど)のデータを参照した著者(研究紹介者)による比較であり、本論文自体の結論ではありません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
高齢者のファイナンシャル・ウェルビーイングに効いてくるもの
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-10-09-1760051845/

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