高齢者のファイナンシャル・ウェルビーイングに効いてくるもの
収入よりも、ストレス対処・幸せ・住まい満足・学び・自己決定・楽観性などが効いてくる
ファイナンシャル・ウェルビーイングといえば収入が大事そうな気がしますが、米国消費者金融保護局さんのレポートとかを見ると、相関が0.38。ファイナンシャルウェルビーイングスコアの分散の内、収入は14%程度しか説明できていません。
じゃあ収入以外に何が効いてくるんだろう?というのを、高齢者を対象として調査した最新の研究です😊
by Mohsen Joshanloo 先生😊
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AI(機械学習)による分析を行った所、
慢性ストレス、人生満足度(幸福度)、住環境満足度、教育年数、コントロール感(自己決定)、楽観性
が特に大事。
ストレスに対処出来て、幸せで、住んでいる所に満足して、学び続けて、生活の中での自己決定を増やし、楽観的であること。
がファイナンシャルウェルビーイングにつながってくるんですね😊
これら含めて↓の24の要素で、だいたい44.4%が説明できるということで、実際の収入以上に効いてきます😍
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老後に向けて資金を貯めるのも大事かもしれませんが、
ストレスとの対処方を学んだり、幸せだったり、住まいに満足したり、学びを続けたり、自己決定を増やしたり、楽観性を習得するのも大事ですね😍
ウェルビーイングには、収入よりも性格特性(利他的など)などの方が効いてくるのですが、ファイナンシャル・ウェルビーイングにおいても、収入よりも効いてくるというのは面白いですね。
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※ただし収入より効くと書いていますが、本論文の中では収入との比較はされていません。
あくまで私が別論文での収入-FWBの関係性のデータを持ってきて、勝手に比較しております。
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■影響度大(変数重要度 > 0.02)
1:慢性ストレス(ongstress): 0.066 - 圧倒的に最重要
2:人生満足度(satisfaction): 0.032
3:住環境満足度(homecondition): 0.025
4:教育年数(schlyrs): 0.021
5:統制の制約(constraint): 0.019・・・コントロール感の欠如
6:楽観性(optimism): 0.016
■影響度中(0.01 < 変数重要度 < 0.02)
健康状態満足度(healthstatus)
加齢への懸念(ageconcern)
精神性(spirituality)
目的意識(purpose)
■影響度低(変数重要度 < 0.01)
・デバイスアクセス、余暇活動満足度、差別認識
・誠実性、都市/町満足度、友人関係の質(ポジティブ、ネガティブ)
・友人との接触頻度、リスクテイキング、米国生まれ
・外向性、デバイス使用頻度、家族・友人の有無
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※参考
米国消費者金融保護局(CFPB)
「経済的ウェルビーイング尺度(Financial Well-Being Scale)」(10項目)
※直訳
予期せぬ大きな出費があっても、なんとか対応できると思う。
自分の将来の経済的な安定を確保できている。
今の金銭状況のせいで、人生で欲しいものを手に入れられないと感じる。
お金の管理がうまくできているので、人生を楽しむことができる。
なんとか生活をやりくりしているだけだと思う。
今持っているお金や貯金が長くはもたないのではないかと不安になる。
結婚式や誕生日などで贈り物をすることが、家計の負担になる。
月の終わりにお金が余る。
お金のことで遅れをとっている(支払いなど)と感じる。
お金のことが自分の生活を支配しているように感じる。
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高齢者のファイナンシャルウェルビーイング:47の潜在的予測変数に対する機械学習分析
Financial Well-Being in Older Adults: A Machine Learning Analysis of 47 Potential Predictors
**Mohsen Joshanloo **
Journal of Applied Gerontology,2025/10/6
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/07334648251386155
DL用↓
本研究では、高齢者の経済的幸福の潜在的な予測因子を検証しました。データは健康と退職に関する調査(Health and Retirement Study)から収集され、心理社会的、人口統計学的、ライフスタイルの変数に焦点を当てています。ランダムフォレスト分析を用いて47の潜在的な予測因子の相対的重要性を評価し、どの要因が主観的な経済的幸福と最も強く関連しているかをデータに基づいて評価しました。
結果は、心理的変数(特に慢性的なストレス、生活満足度、知覚されたコントロール、楽観主義)が人口統計学的指標よりも強力な予測因子であることを示しました。人口統計学的変数の中では、教育が最も重要でした。この結果は、経済的幸福は、経済状況や人口統計学的条件のみによって決まるのではなく、人生の課題に直面した際に満足感、楽観主義、主体性を維持する個人の能力を反映していることを示唆しています。
NotebookLMさんに論文の解説動画を作成いただきました。
https://youtu.be/lDLf8KhG35o
■高齢者のファイナンシャルウェルビーイング研究:既存研究の流れ
【1】なぜこの研究が必要だったのか?
◆深刻な問題:高齢者の経済的困窮
世界中で多くの高齢者が経済的な困難を抱えています。
・米国連邦準備制度理事会(2013)の報告
→ かなりの割合の高齢者が経済的負担を経験している
・Huang et al. (2020)の研究
→ 5つの開発途上国での調査でも同様の問題を確認
・Ettman et al. (2023)の研究
→ 経済的困窮はうつ病のリスク増加と関連している
⇒つまり:高齢者の経済的ウェルビーイング(お金に関する満足感や安心感)を高めることは、健康面でも非常に重要な課題なのです。
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【2】経済的ウェルビーイングって何?
◆公式定義の登場
米国消費者金融保護局(CFPB, 2015)による定義:
経済的ウェルビーイングとは
「現在および継続的な金銭的義務を完全に満たすことができ、経済的な将来に安心を感じ、人生を楽しむための選択ができる状態」
◆4つの次元(CFPB, 2017)
◆健康への影響
・Tucker-Seeley et al. (2009)の研究
→ 低い経済的ウェルビーイングは死亡率の増加と関連
・Khan et al. (2017)の研究
→ 経済的ウェルビーイングが低いと、ネガティブな心理・健康アウトカムと関連
⇒つまり:お金の「客観的な量」だけでなく、「主観的な満足感」が健康に影響するということです。
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【3】これまでに何が分かっていたのか?
◆個別の予測因子研究
研究は断片的に行われてきました。
💎 心理的要因
・Garðarsdóttir & Dittmar (2012)
→ 唯物主義的な価値観(物質的なものを重視する考え方)は、経済的ウェルビーイングを低下させる
・Joshanloo (2022)
→ パーソナリティ特性(性格)が重要
が経済的ウェルビーイングを向上させる
・Tang (2021)
→ 自己効力感(自分の能力への信頼)が重要な予測因子
💰 金融知識と行動
・Fan & Henager (2021)の研究
重要な予測因子として:
👥 人口統計学的要因
・Geng (2021)の研究
→ 女性は男性より経済的ウェルビーイングが低い傾向
→ 結婚している人は性別に関わらず経済的ウェルビーイングが高い
・Assari et al. (2024)の研究
→ 教育水準が高いほど経済的ウェルビーイングが高い
⇒問題点:これらの研究は個別に行われており、「どの要因が最も重要か」が分からない。包括的なメタ分析(複数の研究をまとめて分析する手法)も存在しない。