はぴテク相談室:畏敬の念は組織や国との一体感を高める
最近、チームの雰囲気がバラバラで、みんなが同じ方向を向いていない感じがして悩んでいます。会社のメンバーで一体感を高めるにはどうしたらいいでしょうか?
それは悩ましいですね。実は最近、面白い研究が出ていて、チームの一体感を高めるヒントになりそうなんです。「畏敬の念(AWE)」という感情が、集団との一体感に関係しているという研究なんですよ。
AWE…畏敬の念、ですか?なんとなく言葉は知っていますが、チームの一体感とどう関係があるんでしょう?
AWEというのは、大自然を見たときや、圧倒的な芸術作品に触れたときに感じる「わあ、すごい…自分ってちっぽけだな」というような感覚のことです。メルボルン大学のソン先生たちの研究(2025年)では、このAWEをよく感じている人ほど、自分が所属する集団との一体感が高いという関係が示されたんです。
へえ!でも「自分がちっぽけ」に感じると、むしろ自信をなくして無力感になりそうな気もするんですが…
それ、すごく自然な疑問ですね。研究チームも同じことを確認しようとしていて、結果としては「個人の主体性は失われていなかった」ことが分かったんです。むしろ、「自分が集団をより良くするぞ!」という気持ちも一緒に高まっていたんですよ。自分が小さく感じられることで、集団への開かれた気持ちになる、というイメージに近いですね。
なるほど、自分が小さくなりながらも、貢献したい気持ちは高まる、というのは不思議ですね。具体的にどれくらい一体感が高まるんですか?
実験の中では、AWEを感じると集団への帰属意識のスコアが約1.2倍になっていました。7段階のスケールで測っているので倍率の数字そのものより「有意に上がった」というところがポイントです。また、ふだんからAWEを感じやすい人ほど一体感が高いという相関(r=0.22〜0.45)も確認されています。これは相関研究なので、AWEが直接の原因とは断言できませんが、実験でも同様の傾向が見られた点は興味深いですね。
その「一体感」というのは、どんな組織やグループを対象にしたんですか?
国・大学・地域コミュニティ・自然グループなど、幅広い対象で確認されています。しかも、オーストラリアとアメリカの両方のサンプルで同様の結果が出たので、文化をまたいである程度再現性があることも示されていますよ。
会社のチームにも応用できそうですね!でも、チームみんなで大自然に行くのはハードルが高い場合もあって…一人で感じるだけでも意味があるんでしょうか?
実はそこも研究で触れられていて、一人でAWEを感じるだけでも、所属感や貢献意欲が高まるという結果が出ているんです。さらに、大自然に行かなくても、芸術作品や建築物、なんと大自然のVR映像でも同様の効果が見られたとのことです。忙しいときはVR動画を見るだけでも試せるかもしれません。
VRでも効果があるのはすごいですね!チームみんなでAWEを体験するとしたら、何か良いアイデアはありますか?
研究の知見を参考にするなら、たとえばチームでハイキングや自然の多い場所に出かけたり、印象的な建築物や美術館に行ったりするのが一つの選択肢ですね。手軽にするなら、圧倒的な自然映像をみんなで一緒に観るというのも試しやすいかもしれません。あくまで研究から示唆されることですが、共にAWEを体験することで、一体感につながりやすい状況が生まれる可能性があります。
なるほど!チームイベントの企画に活かせそうです。ありがとうございます、具体的なイメージが湧いてきました。
ぜひ試してみてください!AWEは一体感だけでなく、ストレスの軽減や思いやり、創造力などとも関連が指摘されている感情なので、チームにとってプラスになる体験になるかもしれませんよ。今日お話した内容をまとめますね。
■ 今日のまとめ
- 畏敬の念(AWE)をよく感じている人ほど、組織や国などの集団との一体感が高いという関連が、1,124名を対象にした5つの研究で示されています。
- AWEを感じると「自分のちっぽけさ」を感じつつも、個人の主体性や集団への貢献意欲は低下せず、むしろ高まることが実験で確認されています。
- 一人でのAWE体験でも一体感への関連が見られ、大自然だけでなく芸術・建築・VR映像などでも同様の傾向が示されています。
■ 出典・注意事項
- 【出典】Ji Young Song, Jack W. Klein, Young-Jae Cha, Sean Goldy, Haisu Sun, James Tisch, Brock Bastian (2025). From Vastness to Unity: Awe Strengthens Identity Fusion. Emotion. https://psycnet.apa.org/fulltext/2026-67163-001.html
- 【注意事項①】相関研究(Study 1a・1b)はAWEと一体感の関連を示すものであり、AWEが一体感を高める「原因」と断定するものではありません。実験研究(Study 2〜4)でも因果の傍証は示されていますが、解釈には注意が必要です。
- 【注意事項②】参加者はオーストラリアと米国のサンプルに限られており、他の文化圏や職場組織への一般化には限界があります。
- 【注意事項③】集団への一体感の測定はアイデンティティ・フュージョン尺度(7件法)によるものであり、実際の職場でのチームワークや業績への影響を直接示すものではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
畏敬の念は組織や国との一体感を高める
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-10-01-1759331379/