はぴテク相談室:個人的な動機づけ要因(情熱、グリット、マインドセット、自己効力感)は幸せにつなが
最近、なんとなく毎日がつまらなくて…やる気も出ないし、自分が何のために頑張っているのかよく分からなくなってきました。どうしたらもっと充実した生活が送れるんでしょうか?
それは辛いですね。「何のために頑張っているのか分からない」という感覚、すごくリアルに伝わってきます。実はまさにそのテーマを扱った、アイスランドで行われた最新の研究があるんです。479人を対象に、「やる気に関わる要素」と「幸せに関わる要素」がどうつながっているかを調べたものです。一緒に見ていきましょうか?
はい、ぜひ聞かせてください。どんなことが分かったんですか?
この研究では、幸せ(心理的幸福感)に関係する「やる気の要素」として、①情熱(好きなことへの強い気持ち)、②グリット(やり抜く力)、③成長マインドセット(努力で自分は変われるという信念)、④自己効力感(自分にはできるという感覚)の4つを調べました。そしてどれも幸せと関係していたんですが、特に自己効力感とグリットの関係が強かったんです。
自己効力感ってよく聞く言葉ですけど、具体的にどういうことですか?
「自分はこれをやり遂げられる」「きっとうまくいく」という自信の感覚のことです。この研究では、4つのやる気要素の中で自己効力感が幸せとの関係が最も強く出ていました(相関係数0.52)。つまり、自分への信頼感が高い人ほど、心理的な幸福感も高い傾向があったということですね。
なるほど…でも私、自信が持てないんですよね。「どうせ自分には無理」ってよく思ってしまって。
その感覚、多くの人が持っていますよ。研究の中で面白いのは、この4つの要素──情熱・グリット・成長マインドセット・自己効力感──がバラバラに存在するんじゃなくて、お互いに関係し合っているという点なんです。イメージとしては、「情熱が進む方向を決め、グリットがその方向へ努力を続けさせ、成長マインドセットが成長を後押しし、自己効力感がそこへ向かう勇気をくれる」という感じです。
じゃあ、まず自分が何に情熱を感じるかを見つけることが大事なんでしょうか?
それはとても大事な視点ですね。研究の中でも情熱は「自分が歩んでいく方向性」として位置づけられていて、幸せとの関係も確認されています(相関係数0.35)。ただ一点お伝えしたいのは、これはあくまで「情熱が高い人ほど幸福感も高い傾向が見られた」という相関関係であって、「情熱を持てば必ず幸せになれる」という因果関係が証明されたわけではないんです。でも、自分が関心を持てることを探してみることは、充実感のヒントになるかもしれませんね。
もう一つ気になったんですけど、「人生の意味」というのも出てきましたよね?それってどういうことですか?
はい!実はこの研究で最も幸せとの関係が強かったのが「人生の意味(MiL)」だったんです(相関係数0.66)。「自分の人生には意味がある」という感覚を持っている人ほど、心理的幸福感が高い傾向がありました。「何のために頑張っているか分からない」というあなたの言葉、まさにこの「意味」の部分と重なりますよね。
確かに…「意味」が見えないから、やる気も出ないのかもしれないです。性別によって違いはあるんですか?
少し違いがありました。この研究では、情熱と自己効力感のスコアが男性の方がわずかに高かった(情熱:男性4.02、女性3.76、自己効力感:男性3.24、女性3.14)という結果でした。グリットや成長マインドセットなどは性差が見られませんでした。研究者はこの違いの背景として、別の研究(Soutschek et al., 2017)が示す「女性は他者との関わりに関わる報酬でドーパミンが活発になりやすく、男性は自分自身の達成に関わる報酬で活発になりやすい」という神経科学的な傾向を参考として挙げていますが、これはあくまで推測の域を出ないことも断っておきますね。
色々と聞いて、少し整理できてきた気がします。日常でできることって何かありますか?
この研究から見えてくるヒントとしては、まず「自分が関心を持てること・好きなこと」を小さくてもいいので探してみること。そして「自分は変われる・成長できる」という気持ちを育てること(成長マインドセット)、小さな成功体験を積んで「自分にもできる」という感覚(自己効力感)を少しずつ積み上げていくことが、幸福感と関係している要素として研究で示されています。ただしこれも相関の話なので、「これをやれば必ず幸せになる」ということではなく、参考にしながら自分なりに試してみてください、という感じですね。
■ 今日のまとめ
- 自己効力感・グリット・情熱・成長マインドセットという4つのやる気要素は、どれも幸せ(心理的幸福感)と関係していることが確認されました(相関関係)。特に自己効力感の関係が強い傾向がありました。
- この4つの要素はお互いに関係し合っており、「情熱が方向を示し、グリットが努力を持続させ、成長マインドセットが成長を後押しし、自己効力感が勇気をくれる」という形で、幸福感につながっている可能性があります。
- 「人生の意味」を感じられているかどうかが、今回の研究で幸せとの関係が最も強い要素でした(r=0.66)。「何のために頑張るのか」という問いに向き合うことが、充実感のカギになるかもしれません。
■ 出典・注意事項
- 出典:Sigmundsson, H., Ólafsson, B., Steger, M. F., & Grassini, S. (2025). Motivation, meaning and well-being: Exploring gender differences and associations in participants from Iceland. Acta Psychologica. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0001691825004901
- 注意事項①【相関関係について】:この研究で示されているのはあくまで「相関関係」です。例えば「自己効力感が高い人ほど幸福感が高い傾向がある」という関係性であり、「自己効力感を高めれば幸福感が上がる」という因果関係が証明されたわけではありません。
- 注意事項②【対象集団の限界】:調査対象はアイスランドに住む479名(平均年齢32歳)であり、日本を含む他の文化・地域の人々にそのまま当てはまるとは限りません。
- 注意事項③【性差の解釈】:情熱・自己効力感における男女差はわずかなものであり、ドーパミンとの関連はあくまで他の研究を引用した考察であって、本研究で直接検証されたものではありません。
研究自体の紹介はこちら😊
個人的な動機づけ要因(情熱、グリット、マインドセット、自己効力感)は幸せにつなが
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-08-27-1756311528/