はぴテク相談室:敵意や怒りは、利益発見・思いやりで、幸せにつながる
最近、職場の同僚にイライラすることが多くて…。相手の言動が気になって、ずっとモヤモヤしているんです。怒りってどうしたらいいんでしょうか?
それはつらいですね。ずっとモヤモヤが続くのは、心にも体にも負担がかかりますよね。実は、怒りや敵意への対処法について、面白い研究結果が出ているんです。マーストリヒト大学のチェン先生たちの研究なんですが、聞いてみますか?
はい、ぜひ聞かせてください!怒りをなくす方法があるなら知りたいです。
この研究では、102人の参加者に「過去に怒りを感じた出来事」を思い出してもらって、その後2つの方法で気持ちを整理してもらいました。一つは「利益発見」、もう一つは「思いやり」という方法です。どちらも、怒りや敵意をぐっと減らす効果があることがわかったんです。
「利益発見」と「思いやり」…なんですかそれ?難しそうですね。
全然難しくないですよ!「利益発見」は、怒りを感じた出来事を「成長や学びのチャンスだったかも」と見直すことです。たとえば「あの出来事のおかげで、自分の気持ちの伝え方を考えるようになった」という感じ。「思いやり」は、怒らせた相手を「あの人も何か苦しいことがあって、ああいう態度を取ったのかも」と想像してみることです。
なるほど…でも、イライラしているときに、そんなふうに考えるのって難しくないですか?
そうですよね、最初は難しく感じるかもしれません。この研究では、参加者に「その状況を思い返しながら、得られた学びや成長を書いてみてください」とか「相手がそう行動した背景を想像して、思いやりの気持ちで見てみてください」という形で文章を書いてもらったんです。つまり、頭の中だけでなく、書くことで整理するのがポイントです。
書くことで整理するんですね。で、結果はどうだったんですか?
両方の方法とも、怒りや敵意がしっかり下がったんです。「イライラしたい気持ち」「攻撃したくなる気持ち」などが、何もしなかったグループと比べて有意に減りました。さらに面白いのが、「利益発見」の方は、ポジティブな感情も増えたんです。ただ単に怒りが消えるだけでなく、気持ちが前向きになるという効果が見られました。
「思いやり」より「利益発見」の方がいいってことですか?
怒りや敵意を下げる点では、どちらも同じくらい効果的でした。ただ、ポジティブな感情が増えるという点では、「利益発見」の方が優れていたという結果でした。なので、「気持ちも前向きにしたい!」という場合は、利益発見を試してみるといいかもしれませんね。
あと、気になったんですが、怒ってすぐの時じゃないと効かないとか、相手が誰かによって違うとかありますか?
良い質問です!この研究では、怒りが起きた時期(起きてすぐ〜1年以上前)や、怒りの相手が誰か(同僚・家族・知人など)によって、効果に差はなかったという結果でした。つまり、「昔のこと」でも「今まさに怒っていること」でも、この方法が使えるということですね。
じゃあ、職場の同僚への最近のイライラにも使えそうですね。でも、怒りを感じない人の方が幸せじゃないんですか?
これが研究の中で示唆されていて、すごく興味深いんですが、「怒りや敵意をまったく感じない状態」より、「怒りや敵意を感じる→利益発見・思いやりで解消する」という流れの方が、ポジティブ感情が増えた可能性があるんです。怒りをゼロにしようとするより、感じた怒りをうまく活かして整理する、という考え方が大事なのかもしれませんね。ただし、これはあくまで今回の研究から示唆されることで、断言はできません。
なるほど!怒りをなくそうとするんじゃなくて、怒りを活かして整理する、という考え方ですね。早速、職場のイライラについて「学べたこと」を書き出してみます!
素晴らしいですね!「あの場面で自分は何を感じたか」「どんな学びがあったか」を書いてみるだけで、気持ちが整理されやすくなると思いますよ。思いやりの方も、相手の背景を少し想像するだけでいいので、両方試してみてくださいね。
■ 今日のまとめ
- 怒りや敵意を感じたとき、「この経験から何を得られたか(利益発見)」や「相手にも事情があったのでは(思いやり)」と考え直すことで、怒りや敵意が和らぐ可能性が研究で示されました。
- 特に「利益発見」はポジティブな感情も増やす効果が見られており、怒りが消えるだけでなく気持ちが前向きになるという点で優れていました。
- 怒りの相手や怒りが起きてからの時期に関わらず効果が見られており、「怒りをゼロにする」より「感じた怒りをうまく整理する」という考え方が、幸せにつながる可能性があります。
■ 出典・注意事項
- 出典:Li Chen et al.(マーストリヒト大学)「敵意の変容:利益発見と思いやりがポジティブな再評価戦略となる可能性」Journal of Positive Psychology, 2025年8月23日. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17439760.2025.2549766
- 【注意事項】本研究は実験的な被験者内デザインによるものであり、条件間の比較に基づく相関的な知見です。利益発見や思いやりが怒りを「減らす原因」と断定するものではありません。
- 【注意事項】参加者は102名であり、特定の集団に限られています。すべての人・状況に同様の効果が出るとは限りません。
- 【注意事項】ポジティブ感情の増加は利益発見条件で見られましたが、ネガティブ感情の変化は条件間で有意差がありませんでした。効果の範囲には限りがあります。
研究自体の紹介はこちら😊
敵意や怒りは、利益発見・思いやりで、幸せにつながる
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-08-24-1756072809/