はぴテク相談室:お金や職業、学歴は、結局幸せとどう関係するの?
最近、友人がすごく高収入の仕事に転職して、なんだか自分の生活が惨めに思えてきました。お金や学歴、仕事の地位って、やっぱり幸せに直結するんでしょうか…?
それは気になりますよね。実はスウェーデンで行われた大規模な研究が、まさにその疑問に答えてくれています。収入・学歴・職業の地位が幸せとどう関係するか、丁寧に調べた研究なんです。結論からいうと、『お金があれば幸せ』という単純な話ではなく、もう少し奥深い仕組みが見えてきましたよ。
へえ、単純じゃないんですね。どういうことでしょう?
この研究では、収入・学歴・職業の地位が、まず『5つの心理的なニーズ』をどう満たすかを調べています。その5つとは、①自律性(自分で選べる感覚)、②有能感(自分はできるという感覚)、③つながり(人との絆)、④安心・安全、⑤尊敬、です。そして、この5つが満たされることで幸せにつながる、という流れを統計的に確かめたんです。
5つのニーズ…。結局、どれが一番大事だったんですか?
幸せを強く押し上げていた中核は、『自律性』と『安心・安全』の2つでした。つまり、『自分の生き方を自分で選べる』感覚と、『生活が安定していて脅威がない』という感覚です。収入が高かったり職業の地位が高かったりすると幸せになりやすいのも、この2つのニーズが満たされることが大きな理由だと分かったんです。
じゃあ、お金はやっぱり重要なんですか?
この研究では、収入は5つのニーズすべてと幸せの両方と幅広く結びついていて、社会経済的な要因の中では一番強い関連がありました。ただ、収入が幸せにつながる大きな理由のひとつは、安心・安全と自律性を高めてくれるから、という点なんです。逆に言えば、自律性と安心がしっかり満たされていれば、収入が特別高くなくても幸せと関連しやすい、という見方もできます。
なるほど。では学歴は?学歴が高いと幸せになれるんでしょうか?
これは少し意外な結果で、学歴(教育年数)は生活満足度とは直接の関連がなく、『有能感(自分はできるという感覚)』だけを高める関連が見られました。学歴が直接幸せに結びつくというよりは、学歴→良い職業→収入→自律性&安心、という間接的な道筋で幸せに関わってくる、という整理がしっくりくるようです。
友人より収入が低くても、自律性と安心があれば幸せでいられる可能性があるということですね。でも、自律性ってどうやって高めればいいんでしょう?
研究では自律性を『自分の本当の興味や価値観に基づいて選択できている』『望む人生を自由に送れている』という感覚として測っています。仕事の場面でいえば、裁量や選択肢がある仕事ほど自律性が満たされやすい、という関連がこの研究でも示されています。今の自分の生活の中で、どんな小さなことでも『自分が選んでいる』と感じられる場面を増やせるかどうか、振り返ってみるのも一つかもしれません。
安心・安全の方はどうですか?お金がないと安心できない気がして…
確かに収入は安心感とも強く結びついていました。ただ、安心感は『生活環境が安全で、脅威や不確実性から守られている』という感覚で、必ずしも高収入だけが条件ではないですよね。生活の見通しが立てられているか、身のまわりに安心できる環境があるか、という視点で考えることもできます。収入の多さそのものより、『先が見えない不安がどれくらいあるか』が幸せに関わってくる、という読み方もできそうです。
そう聞くと、友人と比べて落ち込むより、自分の自律性と安心感を見直す方が大事かもしれませんね。少し気が楽になりました。
その視点、とても大切だと思います。この研究はスウェーデンのデータで、相関関係を丁寧に調べたものですから、『こうすれば必ず幸せになる』という因果の話ではありません。ただ、収入・地位・学歴という外側の条件よりも、自律性と安心という内側の感覚が幸せと強く結びついているという知見は、比べてしまいそうなときの視点の切り替えに役立てられるかもしれませんよ。
■ 今日のまとめ
- 収入は幸せと最も広く結びついていたが、その大きな理由は『自律性(自分で選べる感覚)』と『安心・安全』というニーズを高めることにあると示された
- 学歴は生活満足度と直接の関連はなく、『自分はできる』という有能感とのみ関連が見られた
- 幸せの中核にあるのは自律性と安心の2つのニーズであり、この2つが収入や職業地位と幸せをつなぐ橋渡しになっていることが統計的に示された
■ 出典・注意事項
- Filip Fors Connolly & Arvid Lindh, 'Socioeconomic Status, Need Fulfillment, and Subjective Well-Being', Journal of Happiness Studies, 2025/8/4. https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-025-00939-8
- 【注意事項】本研究は相関関係を調べたものであり、『収入を上げれば幸せになる』などの因果関係を示すものではありません
- 【注意事項】データはスウェーデンの代表サンプルに基づいており、日本など他の国・文化への直接的な一般化には限界があります
- 【注意事項】自律性・安心以外の3つのニーズ(有能感・つながり・尊敬)は、多変量解析では幸せの有意な予測因子として残らなかった点にも留意が必要です
研究自体の紹介はこちら😊
お金や職業、学歴は、結局幸せとどう関係するの?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-08-10-1754791035/