2025.07.28

はぴテク相談室:歩容に伴うウェルビーイングと生理反応の変化

相談者

最近なんとなく気分が上がらなくて、運動しようとは思ってるんですが、なかなか続かないんですよね。友達に「とりあえず歩けば気分良くなるよ」って言われたんですけど、本当に歩くだけで気持ちって変わるんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

気分が上がらない日が続いているんですね。歩くことと気持ちの変化については、ちょうど面白い研究があるのでご紹介しますね。千葉大学などの研究チームが2025年に発表した、歩き方とウェルビーイング(心の豊かさ)の関係を調べた研究です。

相談者

へえ、どんな研究ですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

参加者に15分間歩いてもらって、その前後で「幸福度」や「ポジティブな気持ち・ネガティブな気持ち」がどう変わるかを測った研究です。歩き方も2種類比べていて、ひとつは普通の歩き方、もうひとつは「ナンバ歩き」という日本古来の歩き方です。

相談者

ナンバ歩きって何ですか?初めて聞きました。

はぴテクさん
はぴテクさん

ナンバ歩きは、右足を出すときに右手も前に出す、という体の同じ側を一緒に動かす昔ながらの歩き方です。現代の歩き方とは逆の動きですね。武道や伝統芸能に残っている動き方です。この研究では「2つの歩き方でウェルビーイングに違いが出るか」も調べていました。

相談者

で、結果はどうだったんですか?歩いたら気分は良くなりましたか?

はぴテクさん
はぴテクさん

幸福度やポジティブ・ネガティブな感情は、歩いた後に「少し改善した」という結果だったのですが、統計的に「確かな差がある」とは言えないレベルだったんです。また、別の先行研究によると、歩くことで気分は上がっても、5〜10分も経てば元に戻りやすいとも言われています。

相談者

じゃあ、歩いても大して変わらないってことですか?ちょっとがっかりです…。

はぴテクさん
はぴテクさん

ちょっと待ってください、実はこの研究にはもう一つ興味深い発見があるんです。歩いているときに「体の揺れをうまく抑えてバランスをとる能力」が高い人ほど、主観的なウェルビーイングが高いことが示唆されたんですよ。

相談者

バランスをとる能力、ですか。それって鍛えられるものなんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究自体はバランス能力の鍛え方を調べたものではないので、「鍛えると幸福度が上がる」とは言い切れないんですが、体のバランスと心の状態が何らかの関係にあることを示唆している点は面白いですよね。ちなみに、普通の歩き方とナンバ歩きの間には、ウェルビーイングに大きな差は見られなかったとのことです。

相談者

なるほど。じゃあ歩き方を変えるよりも、ちゃんとバランスよく歩くことが大事ってことなんですかね。

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究の結果からはそういう可能性が示唆されています。ただしこれは相関関係の話で、「バランス能力を上げたから幸福度が上がった」という因果関係が確認されたわけではない点は注意が必要です。研究としてはまだ探索的な段階で、対象者数も限られています。

相談者

難しいですね。結局、気分が上がらないときに歩くのは意味があるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

「歩いた直後に劇的に気分が変わる」という効果は、この研究では確認されませんでした。でも、歩くこと自体がウェルビーイングと無関係というわけでもなさそうです。気分転換としての散歩を「15分でぱっと変わらなかった」と諦めるより、体のバランスを意識しながら、自分の体の感覚に少し注意を向けて歩いてみる、という楽しみ方もあるかもしれませんね。

相談者

確かに、効果を期待しすぎてがっかりするより、歩くこと自体を楽しむ気持ちで続けてみようかな。ありがとうございます、なんか気が楽になりました!

■ 今日のまとめ

  • 15分歩いても幸福度の統計的に有意な変化は確認されず、歩行による気分の上昇は長続きしにくいことも先行研究で示されている
  • 歩行中に体の揺れを抑えてバランスをとる能力が高い人ほど主観的ウェルビーイングが高いという関連が示唆されたが、因果関係は不明
  • 普通の歩き方とナンバ歩きの間にウェルビーイングの大きな差はなく、歩き方の種類より歩くときの「バランス」への注目が一つのヒントになりそう

■ 出典・注意事項

  • 武正拓之・下村義弘・石川善樹・高原良「歩容に伴うウェルビーイングと生理反応の変化」人間工学, 61巻 Supplement号, 2025年7月 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jje/61/Supplement/61_2D03-03/_pdf

  • 【注意事項】本研究で示された「バランス能力とウェルビーイングの関係」は相関の示唆であり、因果関係(バランスを鍛えると幸福度が上がる等)が証明されたものではありません

  • 【注意事項】参加者数・対象集団の規模が限られた探索的研究であり、結果の一般化には慎重さが必要です

  • 【注意事項】幸福度の改善は統計的に有意ではなく、効果の確実性についてはさらなる研究が必要な段階です

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
歩容に伴うウェルビーイングと生理反応の変化
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-07-28-1753747079/

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