2025.07.23

はぴテク相談室:政府は経済成長よりも幸福を優先すべきだ

相談者

最近、仕事や生活が忙しくて、なんとなく幸せじゃないな〜って感じることが多くて。でも「もっとお金を稼げばきっと幸せになれる」って思って頑張ってるんですけど、本当にそれで幸せになれるんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

そのお気持ち、すごくよく分かります。「お金さえあれば…」って思いがちですよね。実は最近、Nature Human Behaviorという権威ある学術誌に、そのまさに「お金=幸福」という考え方に疑問を投げかける研究が掲載されたんです。ちょっと一緒に見ていきませんか?

相談者

えっ、お金があっても幸せになれないってことですか?それはどういう研究なんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ルクセンブルクの国立研究所のサラチーノさんたちが、過去約40年間、世界67カ国のデータを調べたんです。そこで分かったのが、「一人あたりのGDP(国の経済的な豊かさの指標)の成長率」と「人々が自分の人生にどれだけ満足しているか(主観的幸福度)」に、ほとんど関係が見られなかった、ということです。

相談者

えーっ!それは先進国の話ですか?貧しい国なら、お金が増えたら幸せになりそうですよね?

はぴテクさん
はぴテクさん

実は私もそこが気になったんですが、研究によると先進国だけでなく、発展途上国でも同じ傾向が見られたそうなんです。研究者たちもそれを「意外な発見」として挙げています。もちろん、これは「個人としてお金が全く意味ない」という話ではなくて、国全体で経済が成長しても、国民全体の幸福度がそれに伴って上がるわけではない、という話です。

相談者

なんで経済が成長しても幸せが増えないんでしょう?不思議ですよね。

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では、いくつかの理由が考えられています。一つ目は「社会比較」です。自分の収入が増えても、周りの人の収入も同様に増えていると、相対的な自分の位置は変わらず、満足感はなかなか上がらないんです。二つ目は「慣れ」の問題。収入が増えて最初は嬉しいけど、人はその新しい状況に慣れてしまって、幸福感が元に戻る傾向があります。三つ目として、経済成長には環境汚染や社会的な不信感の増大といった「コスト」が伴うことも、幸福度の向上を相殺する要因として挙げられています。

相談者

なるほど〜。じゃあ、幸福度を上げるためにはどうすればいいんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究で興味深いのは、「幸福度を直接高めることを目的にした取り組みは、実際に幸福度を高める」という点なんです。例えば研究が取り上げているのが、都市の緑化プログラムや地域コミュニティの活動です。都市緑化の例では、犯罪が顕著に減少し、心身の健康状態も改善されたというエビデンスが紹介されています。しかも経済成長のための施策と比べて、コストが圧倒的に低い可能性があるとも述べられています。

相談者

コミュニティ活動とか緑のある環境って、たしかに気持ちいいですよね。でもそれって、私たちの個人の生活にもあてはまるんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究は主に政府の政策の話として展開されていますが、「幸福度に直接働きかける」という発想は個人レベルでも考えるヒントになりますよね。たとえば「収入アップだけを目指す」より、「自分が直接幸せを感じる活動や環境に時間を使う」ことが、幸福感と結びつきやすいかもしれないという示唆は読み取れます。ただ、この研究はあくまで国レベルのデータに基づいた話なので、個人への直接的な結論として断言するのは注意が必要です。

相談者

そうか、確かに最近コミュニティの活動とか、近所の公園で過ごす時間が少なくなってきてたかも。お金のために時間を削ってたのかもしれませんね。

はぴテクさん
はぴテクさん

その気づき、大切ですね。研究では「幸福に直接焦点を当てたアプローチは、人々の日常生活に近い、望ましく共感しやすい結果をもたらす」と述べています。また、幸福を促進することで、それが社会的・環境的に持続可能な社会につながるという「好循環」が生まれる可能性も指摘されています。経済的な安心感は大切ですが、それ一本に絞らずに、自分が直接「幸せだな」と感じる時間や活動にも目を向けてみることが、この研究の知見と合致するかもしれません。

相談者

なんか、お金を稼ぐことだけじゃなくて、もっと幅広く幸せについて考えてみようって気持ちになりました。ありがとうございます!

はぴテクさん
はぴテクさん

それは素晴らしいですね!この研究が示しているのは、経済的な豊かさと幸福感は必ずしも同じ方向に動かないということ。「自分にとっての幸福とは何か」を軸に置いて生活を見直してみるきっかけになれば嬉しいです。今日お話しした内容をまとめておきますね。

■ 今日のまとめ

  • 過去40年・67カ国の国レベルのデータを分析した研究によると、一人あたりGDPの成長率と主観的幸福度の変化には、先進国・発展途上国を問わずほぼ関係が見られませんでした。
  • 経済成長が幸福度の向上につながりにくい背景として、社会比較(周囲との比較で相対的位置が変わらない)、環境変化への慣れ、そして経済成長に伴う環境コストや社会的不信感の増大などが挙げられています。
  • 都市緑化やコミュニティベースの活動など、幸福度に直接働きかける施策は、実際に幸福度を高める効果が確認されており、経済成長施策と比べて低コストの可能性も示されています。

■ 出典・注意事項

  • 【出典】Sarracino, F. & O'Connor, K. J. (2025). Governments should prioritize well-being over economic growth. Nature Human Behavior. https://www.nature.com/articles/s41562-025-02277-4

  • 【注意事項①・相関と因果について】本研究は国レベルの統計データの関連性(相関)を分析したものです。「経済成長が幸福度を下げる」という因果関係を示したものではありません。

  • 【注意事項②・対象集団の限界】分析は主に国全体の集計データに基づいており、個人レベルの幸福度の変化に直接当てはめられるものではありません。

  • 【注意事項③・政策提言の性格】幸福度向上施策のコスト優位性や効果については、個別の政策介入事例に基づく記述であり、すべての状況に一般化できるものではありません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
政府は経済成長よりも幸福を優先すべきだ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-07-23-1753310684/

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