はぴテク相談室:Yorokonde-Morau(喜んでもらう)と幸せ
最近、なんか毎日がむなしくて。仕事もこなしてるし、趣味もあるんですけど、「あ、幸せだな」って感じる瞬間が少ないんですよね。何か足りてる気がするんですけど、何なのかわからなくて…
そのもやもや、すごくよくわかります。「悪くはないけど、何かが足りない」っていう感覚ですよね。実は最近、日本人の幸福感についてとても興味深い研究が出たんです。少し聞いてもらえますか?
はい、ぜひ聞かせてください。
ドイツ日本研究所のセバスチャン先生たちが、九州の農村で「幸せってどういうこと?」とインタビューをしたんですね。すると、いろんな人が共通して「よろこんでもらう」という言葉を使っていたんです。野菜を近所に分けたり、景色のいい場所に人を案内したり、困っている人を助けたり。そういう行動の中に幸せを感じていた、ということなんです。
「よろこんでもらう」か…。なんか、聞いてみると懐かしい感じがしますね。でも、それって「人のために尽くす」みたいな、ちょっとしんどいやつじゃないですか?
鋭い質問です!実はそこがこの概念の面白いところで、「よろこんでもらう」は一方的に尽くす「よろこんでくれる」とは違うんです。相手が喜んでくれて、自分もうれしくなる、という双方向の体験なんですね。研究では「相互性」と呼んでいます。自分が消耗するんじゃなくて、自分も一緒に幸せになる、そういう体験のことなんです。
あ、それなら思い当たることがあります。この前、職場の後輩にちょっとしたアドバイスをしたら、めちゃくちゃ喜んでくれて、なんか自分もすごく気持ちよかったんですよね。あれがそれですか?
まさにそれです!しかも研究では、「意図して相手を喜ばせようとした場合」だけじゃなく、「たまたま喜んでもらえた場合」も含まれるとされています。だから、構えなくていいんですよね。ちょっとした行動の中に、その体験は自然と生まれることがある、ということなんです。
じゃあ、義務感とかプレッシャーでやることとは違うんですね。
そうなんです!研究では全国へのオンライン調査もして、「よろこんでもらう感覚」を測る尺度も作っています。その結果、「よろこんでもらう」体験は、社会的プレッシャーや義務感との関係が弱いことがわかったんです。研究者たちはこれを「強制のない互恵性」と表現しています。やらされている感じじゃなくて、自然と生まれる幸せのやりとり、というイメージですね。
「強制のない互恵性」かあ。義務でやる親切とは全然違う感じですね。でも、それってどうすれば日常で増やせるんでしょう?
この研究はあくまでも「こういう体験と幸福感が結びついている」という相関を示したもので、「これをやれば必ず幸せになる」という因果関係まではわかっていないんです。ただ、研究の中で挙げられていた具体例を見ると、野菜を分ける、景色に案内する、困っている人を助ける、観光客をもてなす、といった身近でシンプルな行動ばかりなんですよね。大げさなことじゃなくていいんだな、って感じませんか?
確かに。なんか「社会貢献しなきゃ!」みたいなプレッシャーじゃなくて、もっとゆるくていいんですね。日常の中のちょっとしたやりとりで十分、みたいな。
そうそう、まさにそういうことだと思います。それともう一つ面白いことがわかっていて、「よろこんでもらう」感覚は、社会全体への信頼感ともつながっていたんです。人を信頼できる、社会って悪くないな、という感覚と関係していた、ということですね。
なるほど…。なんか、毎日がむなしいと感じてたのって、もしかしたら「自分のことだけ」になりすぎてたのかもしれないですね。誰かとうれしさを共有する機会が減ってたのかも。
そう感じてもらえたなら、この研究を紹介した甲斐がありました。「よろこんでもらう」というのは、実は日本人が昔から大切にしてきた感覚かもしれないのに、現代の忙しい生活の中でちょっと見えにくくなってるのかもしれませんよね。日常のふとした瞬間に、誰かの笑顔を思い出してみてください😊
■ 今日のまとめ
- 「よろこんでもらう(Yorokonde-Morau)」とは、誰かを喜ばせ、自分も幸せになるという双方向の体験で、一方的な「尽くす」とは異なります。
- この体験は義務感やプレッシャーとの関係が弱く、「強制のない互恵性」として特徴づけられています。
- 「よろこんでもらう」感覚は社会全体への信頼感とも結びついており、野菜を分けるなど身近でシンプルな行動の中にも見られます。
■ 出典・注意事項
- 出典:Sebastian Schloesser et al., 'Yorokonde Morau: the shared well-being experience of making others happy (and feeling happy because of it)', Social Science Japan Journal, 2025/7, https://academic.oup.com/ssjj/article/28/2/jyaf022/8182113
- 【注意事項】本研究は相関関係を示したものであり、「よろこんでもらう体験が幸福を引き起こす」という因果関係を証明したものではありません。
- 【注意事項】定性調査は九州農村という限られた地域のインタビューが出発点であり、結果がすべての日本人や文化圏に一般化できるかどうかには限界があります。
- 【注意事項】定量調査はオンライン調査であるため、インターネット利用者に回答者が偏る可能性があります。
研究自体の紹介はこちら😊
Yorokonde-Morau(喜んでもらう)と幸せ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-07-07-1751928369/