はぴテク相談室:組織で活かす早期ダイアローグ,未来語りのダイアローグ
最近、職場のチームの雰囲気がなんとなく悪いんです。でも何が問題なのかって言葉にしづらくて…。会議でも誰も本音を言わないし、なんとなく空気が重くて。どうすればいいんでしょう?
それは、じわじわとつらいですね。「何かがおかしいけど言葉にしにくい」というその感覚、実はとても大事なサインなんです。今日はフィンランドで生まれた「早期ダイアローグ」と「未来語りのダイアローグ」という2つの対話の手法を紹介しながら、一緒に考えていきましょう。
ダイアローグ…対話ってことですよね?でも、うちのチームって対話しようとしても、どうせ表面的な話で終わっちゃうんですよね。
それ、よくあることです。多くの職場の対話って「課題は何か」「どう解決するか」から始まりますよね。でも早期ダイアローグは出発点がちょっと違うんです。「最近、ちょっとだけ心配なこと」「なんとなく違和感があること」をそのまま場に出すことから始めます。解決策じゃなくていい、小さなモヤモヤで十分なんです。
小さなモヤモヤ…それって、弱音を吐くみたいで言いづらくないですか?
そうなんです、その「言いづらさ」がまさに問題の核心です。でも、誰かが小さな心配を正直に話すと、聞いた側の心も動いて「助けたい」という気持ちが自然に生まれやすいことが、この手法の実践から確認されています。「弱音」ではなく「心配を共有する文化」として場を作ることが、心理的な安全感や相互サポートにつながると考えられているんです。
なるほど…でも、心配を言い合っても、結局何も変わらないんじゃないかって思っちゃいます。
それを補うのが「未来語りのダイアローグ」です。これ、面白い手法でして、みんなで一緒に「1年後の、うまくいっている未来」にタイムスリップするんです。そこで「どんな状態になってる?」「誰が助けてくれた?」を語り合います。問題の原因を探るのじゃなく、うまくいった未来から振り返るイメージです。
未来にタイムスリップ…?なんか不思議ですね(笑)でも、それをやることでどんな効果があるんですか?
「未来」という設定を使うと、今の問題が複雑で言葉にしづらくても、不思議と安心して話せるようになる、ということが実践の中で指摘されています。「あなたのせいだ」とか「この問題が悪い」じゃなくて、「みんなで一緒にその未来に向かおう」という方向になるので、対話のエネルギーが希望的で創造的になりやすいんです。
具体的にはどうやって進めるんですか?
まず「インタビュー段階」があります。ファシリテーター役の人が、こんな質問を投げかけます。「1年が過ぎて、かなりよい状況にいます。どんな状態ですか?あなたを幸せにしているのは何ですか?」「その肯定的な変化をもたらしてくれたのは何ですか?誰がどう助けてくれましたか?」「1年前、何が心配でしたか?何がその心配を減らしてくれましたか?」——こんな感じです。
質問が、過去の失敗を責めない感じですね。「うまくいった前提」で話すのがポイントなんでしょうか。
まさにそこです!「診断」や「分析」より「物語の共有」と「関係性の再創造」に力点を置いている、と研究者も述べています。そしてインタビューの後、今度は「では現実に戻って、誰が、誰と、何をするか」という具体的なプランを一緒に決めていきます。夢想で終わらず、具体的な行動に落とし込めるのがこの手法の特徴です。
うちのチームでも試せそうな気がしてきました。まず何から始めたらいいですか?
一番ハードルが低いのは、早期ダイアローグからです。たとえば週1回の短いミーティングで「最近、ちょっとだけ気になっていること」を一人ひとりが一言だけ話す場を作る、それだけでもいいんです。解決しなくていい、ただ言葉に出す、それを受け取ってもらう。その小さな積み重ねが、「心配を語れる文化」になっていきます。それが整ってきたら、チーム全体で未来語りのダイアローグに挑戦してみるといいと思いますよ。
■ 今日のまとめ
- 「心配」や「違和感」という小さなモヤモヤを出発点にする「早期ダイアローグ」は、職場で見過ごされがちな孤立感や摩擦に早めに気づく手がかりになります。
- 「未来語りのダイアローグ」では、うまくいっている未来に一緒にタイムスリップして語り合うことで、問題の原因追及ではなく関係性の再構築と具体的な協力プランづくりにつながりやすいことが実践から確認されています。
- どちらの手法も「問題を解決する」より「関係性の中で何が起きているかを共に見つめる」ことに重点を置いており、心理的安全性や相互サポートの促進に寄与すると考えられています。
■ 出典・注意事項
- 春日未歩子「組織で活かす早期ダイアローグ,未来語りのダイアローグ」産業精神保健, 33(2), 114, 2025. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjomh/33/2/33_114/_pdf
- 【注意事項】本稿は実践報告・論考であり、ランダム化比較試験などの統制された実験研究ではありません。「実践から確認した」とあるように、筆者の実践経験に基づく知見であり、因果関係を証明したものではありません。
- 【注意事項】紹介されている手法はフィンランドで発展したものを日本の職場・組織支援に応用した事例であり、すべての組織・文化的文脈で同様の効果が得られるとは限りません。
- 参考動画:「未来語りのダイアローグに向けて、早期ダイアローグをしてみた!」https://www.youtube.com/watch?v=nZdRuEh3c7Y /「未来語りのダイアローグ風産後おはなし会【3年後にタイムワープデモ】」https://www.youtube.com/watch?v=hSYKyddIFVM
研究自体の紹介はこちら😊
組織で活かす早期ダイアローグ,未来語りのダイアローグ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-06-23-1750703726/