2025.06.23

所得の格差を感じていることは、実際の格差よりも幸福度を低下させる。

ドイツのマンハイム大学、メルビン・ジョン先生らの最新研究😊

格差は幸福度を下げるっていうけども、それは実際の格差なのか、感じている格差なのか。

結果としては、

・実際の格差は幸福度に有意な相関が無かったが、認知された格差の相関は相当あった(r=0.84!?)。

・時系列で見ても、格差を感じている人は、その後の幸福度が下がった。(2009年→2019年)

・認知された格差は、収入の半分くらい幸せに効いてくる。

とのこと。

読んでいて思いましたが、

幸せの精神的な因子は、どれも高まれば高まる程自分も幸せになるし、周りや世界も幸せに出来るんですよね。直接的にせよ間接的にせよ。

一方で、

金銭面は、高まると確かに自分の幸福度は一定高まるが、自分や身内の幸せにしか効いてこない。(むしろ格差につながると、世界の幸福度を下げる。)

だから、

個人的には、金銭面を幸せの要因にするのが、ピンと来ないんだよなぁ。幸せの結果にはなると思いますが。

もちろん、金銭面で苦しすぎるレベルになるのを防ぐのは大事ですが。でもでも会社創業期とか、生活費ギリギリだったけど、それもまた楽しかったんだよなぁ。

と、ふと思いました。

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見た目通り:不平等の認識が主観的幸福感に与える影響

What You See is What You Get: The Effect of Perceived Inequality on Subjective Well-Being

Melvin John, Herbert Bless & Michaela Wänke ,2025

Journal of Happiness Studies

https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-025-00905-4

所得格差が主観的幸福度(SWB)に及ぼす影響を調査する際、先行研究ではジニ係数などの客観的な不平等指標が用いられてきた。一方、主観的要素を考慮し、不平等の評価(例えば、不公平の認識)がSWBに及ぼす影響についても調査が行われている。しかし、我々は、不平等の評価とは独立して、不平等の認識の大きさも考慮することが重要だと主張する。不平等の評価がSWBに及ぼす影響は先行研究の対象となってきたが、不平等の認識の大きさの影響はあまり注目されてこなかった。3つの研究を総合すると、本研究では、不平等の評価とは独立して、不平等の認識の大きさが大きいほどSWBが低くなることが示唆されている。41カ国を対象とした国レベルの分析である研究1では、この関係は客観的な不平等や不平等に関する不公平の信念よりも強く、かつそれらとは独立していることがわかり、縦断的なエビデンスを提供している。研究2は代表的な調査研究(N=836)であり、所得格差の認識の大きさとSWBの関係は、不平等に関する不公平信念とは無関係であることが明らかになりました。研究3は事前登録された実験(N=302)であり、所得格差の認識の大きさを操作した結果、SWBの側面への因果関係を部分的に裏付ける結果が得られました。全体として、これらの結果は、所得格差の認識の大きさの重要性を強調しています。この視点は、所得格差がSWBに及ぼす影響を説明する上で重要な示唆を有します。

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研究の背景となる既存研究を、話の流れに沿って詳しく説明します:

1. 格差問題の社会的重要性

政治的・社会的関心の高まり

  • Obama (2013, 2017):元米大統領が格差を「時代を決定づける挑戦」「民主主義の試練」と表現
  • Wilkinson & Pickett (2009a):『The Spirit Level(平等社会)』で格差を社会問題の根源と主張
  • Kondo et al. (2009):OECD諸国で格差をオーストラリア・カナダ水準まで削減すれば150万人の命が救えると推計

→ 格差は単なる経済問題ではなく、生死に関わる社会問題として認識

2. 格差が幸福感に影響する理論的メカニズム

心理学者たちは「なぜ格差が人を不幸にするのか」について2つの主要理論を提示:

A. 地位不安理論(Status Anxiety Account)

提唱者:Wilkinson & Pickett (2009a, 2017)

メカニズム

  • 格差が大きい→自分の社会的地位が目立つ(地位の顕在性*が高まる)
  • 「取り残される恐怖」が生まれる(Marmot, 2005)
  • 地位不安*が慢性的ストレスとなり幸福感を低下

*地位の顕在性:自分の社会的立場がどの程度意識されるかの度合い
*地位不安:自分の社会的地位が脅かされることへの心配

支持研究:Kraus et al. (2013), Wolbring et al. (2013)

B. 対人信頼理論(Interpersonal Trust Account)

提唱者:Oishi et al. (2011)

メカニズム

  • 格差が大きい→「金持ちは不正で成功した」と疑う
  • 対人信頼*が低下(Grosfeld & Senik, 2010)
  • 信頼できない社会での生活がストレスとなり幸福感を低下

*対人信頼:他人を信頼できると思う度合い

支持研究:Buttrick & Oishi (2017), Delhey & Dragolov (2014)

3. 客観的格差研究の「混乱した結果」

従来研究は主にジニ係数*などの客観的指標を使用したが、結果は一貫せず:

*ジニ係数:所得分配の不平等度を表す指標(0=完全平等、1=完全不平等)

格差→幸福度低下を支持する研究

  • Delhey & Dragolov (2014):ヨーロッパ横断研究
  • Diener et al. (1995):国際比較研究
  • Hagerty (2000):アメリカ地域研究
  • Oishi et al. (2011):縦断研究
  • Alesina et al. (2004):ヨーロッパ・アメリカ比較

格差→幸福度向上を支持する研究

  • Berg & Veenhoven (2010):119カ国研究
  • Kelley & Evans (2017):68社会、20万人研究

メタ分析の結論

Ngamaba et al. (2018):24研究のメタ分析で「客観的格差と幸福感の関係は弱く複雑」と結論

論文紹介 なんとかなるありのままに お金・経済と幸福主観的幸福・幸福測定

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