はぴテク相談室:ワールドハピネスレポート世界8連覇中、フィンランドの幸せの秘訣、SISU(シス)
最近、仕事でミスが続いたり、なかなかうまくいかないことが多くて…。頑張ろうとは思うんですけど、気持ちが折れそうになることもあって。どうしたら逆境に強くなれるんでしょうか?
それは辛いですね。うまくいかない日が続くと、本当に消耗しますよね。実は今日、そんなあなたにぴったりな研究を紹介したいんです。フィンランドという国、ご存知ですか?
あ、幸福度ランキングで毎年1位になってる国ですよね?何か特別な秘訣があるんですか?
そうなんです!フィンランドは世界幸福度レポートで8年連続1位なんですが、その背景にある文化的な精神として「SISU(シス)」というものがあります。ヘルシンキ大学の2025年の研究では、このシスが日常生活の中でどう働いているかを詳しく調べているんです。シスとは一言で言うと、「逆境に立ち向かう内なる強さ・忍耐力」のことで、フィンランド人の文化に深く根付いた考え方なんですよ。
なんか「大和魂」みたいな感じですかね。でも、そういう強さって、もともと持ってる人とそうじゃない人がいる気がして…。私にはそういうの、ないのかもって思っちゃいます。
実はこの研究で面白いことが分かっていて、シスには「有益なシス」と「有害なシス」の2種類があることが示されています。有益なシスは3つの要素から成っていて、まず「潜在的な力」——自分が思っていた限界を超えた内なる強さを逆境の中で発見すること。次に「行動志向」——恐怖に立ち向かい、リスクをとる意思を持つこと。そして「並外れた忍耐力」——決意によって困難を乗り越えることです。この研究では、有益なシスが高い人ほど、日常の中で決意やコントロール感、ポジティブな感情が高まることと関連していることが示されています。
なるほど…でも「有害なシス」というのもあるんですね。それはどういうものですか?ちょっと怖いですね。
良いところに気づきましたね!有害なシスは、簡単に言うと「頑張ることへの固執が裏目に出る状態」です。3つあって、「推論への害」——問題にこだわりすぎて全体像が見えなくなること。「自己への害」——自分の能力を超えた挑戦を引き受けすぎて自分を危険にさらすこと。そして「他者への害」——目標追求のあまり人間関係を犠牲にしてしまうことです。研究では、有害なシスが高い人ほど、満足感やコントロール感が低くなることとも関連していました。
あ、それ…私も当てはまるかもしれないです。「もっと頑張らなきゃ」って自分を追い込んで、でも空回りして、余計しんどくなる、みたいな。GRITって言葉を聞いたことがあるんですが、それとも似てますか?
鋭いですね!GRITも「情熱と粘り強さ」で目標を追い続けるという概念なんですが、実は似た害の側面が指摘されています。シスもGRITも、「立ち向かう力」そのものは素晴らしいものなんですが、それに固執しすぎると逆効果になることがある。この研究が示唆しているのは、頑張ることと同時に、たまにメタ的に——つまり少し引いた目線で——「今の自分のやり方は合ってるかな?」と見直すことの大切さです。
「引いた目線で見る」というのは、具体的にどういうことですか?
例えば、「なかなか解決しないな」と感じたとき、「もっと頑張ればいける!」とすぐ突っ込むのではなく、「この問題、別の角度から見たらどうだろう?」「今の自分のやり方に固執していないかな?」と一度立ち止まって確認するイメージです。この研究でも、有害なシスの特徴として「問題に行き詰まって全体像を見失う」「不必要な追求に時間を使いすぎる」というものが挙げられています。これは仕事でミスが続くときにも起こりやすいですよね。
確かに…。あと、この研究ってフィンランドの話ですよね。私たち日本人にも当てはまるのかな?という疑問もあって。
大事なポイントです!この研究の対象はフィンランドの4つの組織に所属する82名の知識労働者で、3週間にわたってスマホアプリで日々の状態を記録してもらったものです。日本人を対象にした研究ではないので、同じ結果がそのまま当てはまるとは言い切れません。ただ、シスという概念自体は「個人が逆境に立ち向かう内なる強さ」というもので、研究でも日常の小さな挑戦においても発揮されることが新たに示されています。大きな逆境だけでなく、日々の仕事の困難にも関係しているというのは、私たちにも参考になる視点だと思いますよ。
日常の小さな挑戦でも、シスが働くんですね。なんか少し希望が持てました。じゃあ、私が今できることって何でしょう?
この研究から見えてくるのは、「有益なシスを育てながら、有害なシスに気づく」ことのバランスが大切だということです。具体的には、まず自分が限界を感じたときに「実はもう少し力が出るかもしれない」と内なる強さを信じてみること。次に、行き詰まりを感じたら「今、問題にこだわりすぎていないかな?」と引いた目線で確認すること。そして、頑張ることで人間関係や自分の健康を犠牲にしていないかを時々チェックすること。これは今日からでも意識できる小さなステップだと思います。ミスが続く時期こそ、この視点が役に立つかもしれません。
■ 今日のまとめ
- フィンランド発祥の「シス(SISU)」は逆境に立ち向かう内なる強さで、有益な面(潜在的力・行動志向・並外れた忍耐力)と有害な面(推論・自己・他者への害)の二面性があることがヘルシンキ大学の研究で示されています。
- 有益なシスが高い人ほど決意・コントロール感・ポジティブ感情が高まることと関連していた一方、有害なシスが高い人ほど満足感・コントロール感が低下することと関連していました(ただし相関関係であり、因果関係ではありません)。
- シスは大きな逆境だけでなく日常の小さな挑戦でも発揮されることが新たに示されました。頑張る力を持ちながら、時々引いた目線で「固執しすぎていないか」を確認するバランスが重要と示唆されています。
■ 出典・注意事項
- 出典:Määttänen, I. et al. (2025). Mental fortitude in everyday life: Associations between beneficial and harmful sisu, sisu-related states and affects, measured by ESM. International Journal of Wellbeing. https://internationaljournalofwellbeing.org/index.php/ijow/article/view/3523
- 注意事項①【相関であって因果ではない】:有益なシスとポジティブ感情の関連、有害なシスと満足感低下の関連は、あくまで統計的な関連(相関)として示されたものです。シスがそれらを直接引き起こすと確定されたわけではありません。
- 注意事項②【対象集団の限界】:参加者はフィンランドの4組織に所属する82名の知識労働者に限定されており、サンプルサイズが小さく、日本人や他の職種・文化への一般化には慎重さが必要です。
- 注意事項③【さらなる研究の必要性】:論文自体も、シスと状況の相互作用やネガティブ感情の役割については「さらなる研究が必要」と明記しています。
研究自体の紹介はこちら😊
ワールドハピネスレポート世界8連覇中、フィンランドの幸せの秘訣、SISU(シス)
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-06-08-1749341752/