2025.06.02

はぴテク相談室:辛い出来事からの意味づけ、って何だろう。

相談者

去年、仕事で大きな失敗をしてしまって…。もう一年近く経つのに、まだそのことが頭から離れないんです。時間が経てば忘れられると思っていたんですけど、全然そうじゃなくて。どうしたらいいんでしょう。

はぴテクさん
はぴテクさん

一年近く、ずっとその出来事を抱えてこられたんですね。それは本当につらかったと思います。

今日ご紹介したいのが、獨協医科大学の荒井先生らが2025年に発表した「意味づけ」という概念についての研究なんです。辛い経験をした後、どうやって人は適応していくのか、を丁寧に分析した研究なんですよ。

相談者

「意味づけ」って、よく聞く言葉ですけど、具体的にどういうことなんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

いい質問です!この研究では「意味づけ」をこう定義しています。

「直面する状況において自己と向き合いながら、考え方が変わったり、新しい自分を発見したりして、自分自身を再解釈していくプロセス」

つまり、過去の出来事そのものを変えることはできないけれど、その出来事に対する「自分なりの解釈」を少しずつ変えていくことで、心の回復や適応につながりうる、という考え方なんです。

相談者

なるほど…。でも「解釈を変える」って、簡単に言われても、どうすればいいのかわからなくて。「前向きに考えなよ」って言われても、それができないから困ってるわけで。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです、それすごく大事なところ!この研究でも、意味づけは「突然パッと切り替わるもの」じゃなくて、プロセス=段階を踏む流れとして描かれているんです。

研究では「先行要件→属性→帰結」という流れが示されていて、最初はストレスフルな出来事にさらされる「先行要件」の段階があります。まだ意味なんか見出せない、まさに今あなたがいらっしゃる段階かもしれません。

相談者

じゃあ、その次の段階ってどういうことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

次が「属性」、つまり意味づけの種類の部分です。たとえば「あの失敗があったから、自分の弱さに気づけた」とか「あの経験で、本当に大切なことが見えた」とか、考え方や自分自身への見方が少しずつ変わっていく、そういう変容のことです。

そしてその先に「帰結」、つまり意味づけから得られるもの——たとえば心の安定や新しい自分の発見——があるとされています。

相談者

なんか、ポストトラウマティックグロースって言葉に近い感じがしますね。

はぴテクさん
はぴテクさん

さすがです!研究でもその点に触れていて、意味づけはポストトラウマティックグロース——日本語だと「心的外傷後成長」、つらい体験を経て人間的に成長するという概念——と近い話だとされています。

辛い出来事が「ただの傷」で終わるのではなく、自己を再発見するきっかけになりうる、そういう可能性を研究は示しています。ただし、これは「絶対こうなる」という保証ではなく、そういう流れが見られた、という研究の知見です。

相談者

それを聞いて少し楽になりました。でも、一人で頭の中でグルグル考えても、なかなか前には進まないんですよね…。

はぴテクさん
はぴテクさん

その感覚、すごく正直な気づきだと思います。この研究でも面白い点があって、意味づけが起きるプロセスには「支えとなる存在」や「辛い体験を誰かに語ること」が関わっていることが示されているんです。

一人で抱えてグルグルするのとは違って、誰かに話す、誰かと一緒にいる、ということが意味づけを促すひとつの流れとして見えてきているんですね。

相談者

話すことって大事なんですね。うまく話せるか自信がないけど、友人や家族に少し打ち明けてみようかな。

はぴテクさん
はぴテクさん

「うまく話せなくてもいい」って思うと、少し楽かもしれません。きれいにまとめた話じゃなくても、ただ「しんどかった」と言葉にするだけで、それが意味づけへの一歩になることもあるようです。

今すぐ「解釈が変わった!」とならなくても、焦らなくていいんです。これはプロセスですから。

相談者

プロセスって考えると、少し気持ちが楽になります。一年悩んだのが無駄じゃなかったかもしれないって、ちょっと思えてきました。

はぴテクさん
はぴテクさん

その気づき、すごく大事だと思います。この研究の言葉を借りると、あなたは今まさに「自己と対峙している」真っただ中にいるんですよ。それは意味づけのプロセスの中にいるということでもあるかもしれません。

過去の事実は変わらないけれど、そこへの向き合い方は、ゆっくりと変わっていける。そのことを今日の研究は教えてくれています。

■ 今日のまとめ

  • 「意味づけ」とは、辛い出来事に対する解釈を変え、新しい自分を発見していくプロセスのこと。一度に切り替わるものではなく、段階を踏む流れとして研究では示されています。
  • 意味づけは「先行要件→属性(考え方の変容)→帰結(心の回復など)」という流れで起きるとされており、今すぐ答えが出なくても、その途中にいること自体がプロセスの一部です。
  • 誰かに辛い体験を語ること、支えとなる存在がいることが、意味づけを促す流れに関わっているとこの研究では示されています。一人で抱え込まず、話すことが一歩になるかもしれません。

■ 出典・注意事項

  • 荒井洋子・常盤洋子「意味づけの概念分析:心理的ケアへの適用可能性の検討」日本看護科学会誌, 45巻, 2025年5月 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/45/0/45_49/_pdf

  • 【注意事項】本研究はRodgersの概念分析法を用いた概念整理の研究であり、実験や追跡調査による因果関係の実証ではありません。「意味づけをすれば必ず回復する」という保証を示すものではなく、概念の定義とプロセスの構造を明らかにしたものです。

  • 【注意事項】主に看護・医療分野の文献をもとに分析されており、すべての人や状況に同様に当てはまるとは限りません。個々の状況によって経験は異なります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
辛い出来事からの意味づけ、って何だろう。
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-06-02-1748900684/

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