2025.03.25

はぴテク相談室:目標を追うことは、幸せにつながるのか?

相談者

最近、仕事でやらされている感じが強くて、なんかモヤモヤするんです。上司から言われた目標に向かって頑張っているんですけど、全然やる気が出なくて、むしろ気持ちが落ち込んでくるというか…。目標を持って頑張ることって、幸せに繋がるんじゃないんですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

それはつらいですね。実は、「目標を持つこと」自体より、「なぜその目標を追うか」の理由が、幸せと深く関係しているという研究があるんですよ。オーストラリアのイーディス・コーワン大学のジョアン・ディクソン先生らが2025年に発表したばかりの研究なんですが、少し聞いてもらえますか?

相談者

はい、ぜひ聞かせてください!「なぜ目標を追うか」って、そんなに大事なんですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究では、目標を追う理由を大きく4つに分けています。①自分のための目標(楽しいから、やりたいから)、②誰かのための目標(大切な人が喜ぶから)、③不安からの目標(乗り遅れたくないから)、④周りから決められた目標(自分には重要じゃないけど誰かに言われたから)、という4種類です。オーストラリアとシンガポールの約200人を対象に、この4種類と幸福感の関係を調べたんです。

相談者

なるほど。で、どの種類の目標が幸せに繋がったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

結果がちょっと興味深くて。②誰かのための目標は、国に関わらず幸福感と正の関連がありました。一方、③不安からの目標と④周りから決められた目標は、国に関わらず幸福感と負の関連、つまり不幸せと結びついていたんです。ご相談の状況、「上司から言われた目標でやる気が出ない」というのは、④に近い感じがしませんか?

相談者

あ…まさにそれです。自分には全然重要じゃないのに、やらなきゃいけない感じで。そういう目標だと幸福感が下がるって、なんか腑に落ちます。じゃあ、①自分のための目標は幸せに繋がるんじゃないんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

実はここが面白いところで、①自分のための目標は国によって結果が違ったんです。シンガポールでは幸福感と正の関連がありましたが、オーストラリアでは有意な関連が見られませんでした。文化や環境によって、「自分のためにやる」という感覚が幸せにつながるかどうかは変わってくるかもしれない、ということが示唆されています。

相談者

へえ、それは意外ですね。じゃあ、一番確実に幸せと関連しているのは②誰かのための目標なんですね。でも、やらされ仕事の中で「誰かのため」なんて見つけられるのかな…。

はぴテクさん
はぴテクさん

難しく感じますよね。ただ、研究の著者たちも「たとえ外から与えられた目標でも、その中に自分や誰かのためになる意味を見つけていくことが大事」とコメントしています。たとえば、今の仕事の目標の中に「この成果でチームの誰かが助かる」とか「お客さんが喜ぶ」という側面は、何かないでしょうか?

相談者

うーん…確かに、自分が頑張ることでチームの後輩が楽になるっていう部分はあるかもしれないです。そういう視点で考えたことがなかったな。

はぴテクさん
はぴテクさん

それはとても大事な気づきだと思います。目標そのものは変えられなくても、「なぜやるか」という理由の部分に、誰かへの思いを見出せると、気持ちが変わってくる可能性があります。研究が示しているのも、目標の種類そのものより、その動機づけの質が幸福感と関連しているということなんですよね。

相談者

なるほど。あと、③の不安からの目標っていうのも気になりました。「乗り遅れたくないから」という理由ですよね。私、それも結構あるかもしれなくて…。

はぴテクさん
はぴテクさん

正直に気づけるのはいいことだと思います。研究では、③不安からの目標も④周りから決められた目標も、どちらも幸福感と負の関連があることが示されていました。「怖いから頑張る」「怒られたくないから頑張る」という動機は、頑張っているのに気持ちが消耗していく感覚と結びつきやすいのかもしれません。

相談者

本当にそうなんですよ、頑張っているのに全然満たされない感じで。今日の話を聞いて、目標の「中身」より「なぜやるか」という理由をもっと意識してみようと思いました。ありがとうございます!

■ 今日のまとめ

  • 目標を持つことより「なぜその目標を追うか」という動機の種類が、幸福感と関連している。
  • 「誰かのための目標(関係的自律的動機)」は国に関わらず幸福感と正の関連があり、「不安からの目標」「周りから決められた目標」は国に関わらず幸福感と負の関連があることが示された。
  • 外から与えられた目標であっても、その中に「誰かのためになる」という意味を見出していくことが、研究者たちによって重要と指摘されている。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Dickson, J. M., et al. (2025). Why Do We Pursue the Personal Goals We Do? The Relationships Between Distinct Goal Motives and Subjective Well-being. Journal of Cross-Cultural Psychology. https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/00220221251323200

  • 注意事項①:この研究は相関研究であり、目標動機が幸福感を「引き起こす」とは言えません。関連性が示されたものです。

  • 注意事項②:サンプルはオーストラリア人95名・シンガポール人102名の計197名と比較的小規模であり、他の国・文化への一般化には限界があります。

  • 注意事項③:幸福感の測定にはウォーリック・エディンバラ精神的ウェルビーイング尺度(過去2週間の自己報告)が使用されており、長期的な幸福感との関連は今後の縦断研究が必要とされています。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
目標を追うことは、幸せにつながるのか?
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-03-25-1742862640/

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