2025.03.23

人生評価と人生満足度と幸福感は違うのか?ーGFSのデータよりー

ハーバード大学のティム・ローマズ先生らによる研究。

Global Flourishing Studyのデータより😊

ちょっとマニアックですが、

ウェルビーイングを表す指標として、

人生評価や生活満足度や幸福感を使ったりしますが、どういう違いがあるんだろう?

というお話。

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①人生評価(Life Evaluation):

**測定方法:**カントリルのはしご(10段階)

質問内容:「はしごの一番上は、あなたにとって可能な最高の生活を表し、一番下は最悪の生活を表します。現時点であなたは個人的にどの段階に立っていると感じますか?」

調査から分かった特徴:

・より認知的で、客観的な基準(社会的成功、経済的安定など)に基づいた評価

・将来への見通しや長期的な視点を含む

・フィンランドの例(世界幸福度報告書で常に上位):「幸せというより、むしろ満足している」状態

※特にカントリルのはしごで測定される生活評価は、より「権力、達成、成功」といった観点から生活を評価する傾向があるという分析が示されています(Nilsson et al., 2024)。これは以前紹介しましたね😊

②生活満足度(Life Satisfaction):

**測定方法:**10段階評価

質問内容:「全般的に、現在のあなたの生活全体にどの程度満足していますか?」

調査から分かった特徴:

・自分の期待と現実の一致度に関する判断

・社会との比較や達成感を反映

・より状況的・環境的要因の影響を受けやすい

③幸福感(Happiness):

**測定方法:**10段階評価

質問内容:「一般的に、あなたはどの程度幸せまたは不幸を感じますか?」

調査から分かった特徴:

・より感情的・主観的な体験

・日常的な喜びや楽しさ、心地よさを反映

・より対人関係や情緒的つながりの影響を受けやすい

※関係性

生活満足度と幸福感:これらは比較的強く関連し、多くの国で似たスコアを示す

人生評価:他の2つとは異なるパターンを示すことが多い

※文化による違い

西洋社会:「幸福感」をより個人的な感情状態として理解する傾向

東アジア:「幸福感」を社会的調和や関係性との関連で捉える傾向

北欧:「生活評価」が高くても「幸福感」は必ずしも同様に高くない(安定と充足感≠感情的な高揚)

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ちなみに論文の主題ではないのですが、

日本の特徴

人生評価(LE):5.90、22カ国中16位

生活満足度(LS):6.03、22カ国中19位

幸福感(Happiness):6.22、22カ国中20位

・雇用状況による(他国よりも)差異が大きい

雇用者:LE=5.75、LS=5.87、H=6.05

定年退職者:LE=6.49、LS=6.69、H=6.72

失業者:LE=4.24、LS=4.27、H=4.65

定年退職後は幸せ、失業の不幸せが大きい。

・子ども自体の健康が(他国よりも)幸せに効いてくる

子ども時代は優れた健康状態:LE+0.98、LS+1.10、H+1.10

子ども時代は不良な健康状態:LE-0.91、LS-0.95、H-0.85

※スコアは平均値との差

・高齢者の幸福度がそんなに高く無い(U字型でない)

・婚姻状況の影響が大きい(結婚が幸せにつながる)

・宗教への参加による差があまり大きくない。

などがありました。

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人生評価、人生満足度、幸福の幼少期と人口統計学的予測因子:グローバル繁栄研究の国際分析

Childhood and demographic predictors of life evaluation, life satisfaction, and happiness: A cross-national analysis of the Global Flourishing Study

Tim Lomas(Harvard University),Hayami Koga,R. Noah Padgett (Harvard University),James Pawelski(University of Pennsylvania)

preprint

[https://www.researchgate.net/publication/382725182_Childhood_and_demographic_predictors_of_life_evaluation_life_satisfaction_and_happiness_A_cross-national_analysis_of_the_Global_Flourishing_Study](https://www.researchgate.net/publication/382725182_Childhood_and_demographic_predictors_of_life_evaluation_life_satisfaction_and_happiness_A_cross-national_analysis_of_the_Global_Flourishing_Study)

主観的幸福感は、学界や学界以外(政策立案など)でますます注目を集めている。しかし、研究文献には、(1)主要な構成要素をめぐる概念的混乱、(2)文脈的ダイナミクスに関する限定的で断片的な理解、(3)異文化への配慮の欠如など、さまざまな欠点がある。本稿では、これら3つの問題を解決できる野心的な研究プロジェクト、Global Flourishing Study(GFS)のデータを報告する。これは、人間の繁栄の予測因子を調査する、最低5年間の予定のパネル研究である。前述の問題に対処するにあたり、まず、GFSには、主観的幸福感の中核にある、しばしば互換的に使用されるが実際には異なる3つの構成要素、すなわち生活評価、生活満足度、幸福について個別の項目がある。次に、GFSでは、15の文脈的要因(子供時代に関連8つ、人口統計学的4つ、両方に関連3つ)とこれらの構成要素との関連性を分析できる。第三に、GFS には (この初年度に) 地理的にも文化的にも多様な 22 か国から 202,898 人の参加者が含まれています。文脈的要因に関しては、15 の要因すべてが 3 つの結果変数すべてと有意な関連性を示しており、最も大きな変動が見られたのは、幼少期の予測因子の中では自己申告による健康状態、人口統計学的要因の中では雇用状況でした。しかし、全体的なパターンは国によって一様ではなく、観察された傾向は必然的でも普遍的でもないが、社会文化的要因に左右されることを示唆しています。この調査結果は、この重要なトピックの概念的、文脈的、異文化間のダイナミクスをより深く理解し、今後の研究の基盤を提供します。

投稿者によるコメント・補足(2件)
コメント 1

キャントリルのラダーの課題。2024。
冨や権力の影響がちょっと出過ぎる。
https://www.facebook.com/groups/wellbeinginfo/permalink/1620149295462429/

コメント 2

味の素さんとギャラップさんの、食とウェルビーイングレポート。
https://www.facebook.com/groups/wellbeinginfo/permalink/1565328180944541/

論文紹介 主観的幸福・幸福測定文化と幸福・日本的幸福研究方法論・指標

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