2025.03.17

はぴテク相談室:つながりを作りやすく、また抜けやすい地域は幸せ

相談者

最近、なんか人間関係がしんどいな〜って感じることが多くて。職場の人間関係とか、地域のコミュニティとか、抜けたくても抜けられない感じがすごくて…これって自分がダメなのかなって思ったりするんです。

はぴテクさん
はぴテクさん

それ、すごくリアルな悩みですよね。「抜けたくても抜けられない」という感覚、多くの人が感じていると思います。実は最近、まさにそのテーマを扱った面白い研究が発表されたんですよ。「関係流動性」と幸福度の関係を調べた研究なんですが、聞いてみますか?

相談者

関係流動性…?なんですかそれ?

はぴテクさん
はぴテクさん

簡単に言うと、「新しいつながりを作りやすく、また合わないつながりからは抜けやすい」という、人間関係の自由度のことです。たとえば「職場や地域で新しい友達を作りやすいか」「気が合わない関係から抜け出しやすいか」といったことですね。この自由度が高い環境を「関係流動性が高い」と表現します。

相談者

あ〜、それが低い環境にいるってことですかね、私。で、その研究ではどんなことがわかったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

中国の2万人以上を対象にした調査と、世界34カ国・7万人以上を対象にした調査、両方で同じ結果が出ていて。関係流動性が高い地域に住んでいる人ほど、幸福度が高いと報告していたんです。しかも収入の高さや都市か田舎かといった条件を調整しても、この結果は変わらなかったんですよ。

相談者

へ〜!じゃあ、関係流動性が高いところに引っ越せば幸せになれる…ってこと?

はぴテクさん
はぴテクさん

実はそこがすごく面白くて、「交差遅延分析」という手法を使って時間の流れを追った調査でも、関係流動性が高い環境にいると、その後の幸福度が上がりやすいという方向性が確認されています。ただ逆、つまり「幸せだから関係流動性が高まる」という方向は確認されなかった。環境が先に影響している可能性が示唆されているんです。

相談者

じゃあ環境って大事なんですね。でも、ちょっと待って。日本ってどうなんですか?日本って関係が固定されてる感じ、すごくありますよね。

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭いですね(笑)。この研究で日本も調査対象になっているんですが、実は世界34カ国の中で関係流動性が最も低い国として出てきているんです。「一度入ったグループからは抜けにくい」「関係は選ぶというより状況で決まる」という傾向が強い文化ですね。

相談者

やっぱり!じゃあ日本人は不幸せなんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そこが面白いところで、幸福度は「真ん中くらい」なんです。関係流動性は最低でも、幸福度は最低ではない。関係が固定されていても、それによって関係が深まるという側面もあるので、一概に「流動性が低い=不幸」とは言えないんですよね。ただ、「抜けたくても抜けられない」という息苦しさを感じやすい構造ではある、とは言えそうです。

相談者

なるほど…。じゃあ今の私みたいに、抜けたくても抜けられない感じがしんどいときって、どう考えればいいんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究が示していることのひとつは、「新しいつながりに入りやすく、合わないつながりから出やすい」という両方の自由度が、幸福度に関係しているということです。なので、今の関係をすべて変えなくても、「もし合わないと感じたら出てもいい」「新しいつながりの選択肢を少し増やしてみる」という感覚を持てると、心持ちが変わってくるかもしれません。環境そのものを変えるのが難しくても、「選択肢がある」と感じられるかどうかが大事なポイントみたいです。

相談者

「選択肢がある」って感じるだけでも違うんですね。なんか少し気持ちが楽になりました。田舎の深いつながりの良さと、都市の自由な感じの良さ、両方あるのが一番ってことですかね。

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそのイメージです!深くつながれる安心感と、合わなければ出られる自由度、この両方があるのが理想的な環境という話に通じますよね。今すぐ環境を変えられなくても、「自分にはこの関係から離れる選択肢もある」と意識するだけで、息苦しさが少し和らぐかもしれません。研究はあくまで集団レベルの傾向を示したものですが、日常の関係を見直すヒントとして使えそうですよね。

■ 今日のまとめ

  • 「関係流動性」=新しいつながりを作りやすく、合わない関係から抜けやすい自由度のことで、これが高い地域の人ほど幸福度が高いと報告されていた(中国2万人・世界34カ国7万人の調査)。
  • 時間の流れを追った分析(交差遅延分析)でも、関係流動性が高い環境がその後の幸福度を予測する方向性が確認されており、環境が先に影響している可能性が示唆されている。
  • 日本は関係流動性が世界最低水準だが幸福度は中程度。「深いつながり」と「出入りの自由」の両方を持てる環境が、幸福度を高めやすいと考えられる。

■ 出典・注意事項

  • 出典:Wei, L., English, A. S., Talhelm, T., Zhang, Y., Tan, X., Zhu, J., & Wang, J. (2025). People in relationally mobile cultures report higher well-being. Emotion. https://psycnet.apa.org/record/2025-37034-001

  • 【注意事項①】研究1・2は横断調査(ある時点での測定)であり、相関関係を示すものです。関係流動性が高いから幸福度が上がるという因果関係を直接証明するものではありません。

  • 【注意事項②】研究3(交差遅延分析)で因果の方向性が示唆されていますが、観察研究であり、測定されていない第三の要因が影響している可能性は排除できません。

  • 【注意事項③】関係流動性の測定は「自分の身近な社会」に対する主観的評価であり、個人の認識に依存します。

  • 【注意事項④】幸福度への影響は集団・文化レベルで確認されたものであり、すべての個人に同様に当てはまるとは限りません。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
つながりを作りやすく、また抜けやすい地域は幸せ
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-03-17-1742252422/

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