はぴテク相談室:ベーシックインカムとウェルビーイング
最近、ベーシックインカムって話題になってますよね。正直、お金をもらったからって本当に幸せになれるのかな?って半信半疑なんですけど…。はぴテクさん、どう思いますか?
いい疑問ですね!実はドイツで573人を対象に、1年間毎月1,000ユーロ(約16万円くらい)のベーシックインカムを受け取ってもらい、幸福度がどう変わるかを追いかけた研究があるんです。2025年に「Journal of Happiness Studies」に掲載されたばかりの新しい研究ですよ。
へえ、実際に実験したんですね!で、結果はどうだったんですか?
全体として、受給した人の幸福度は上がったんです。しかも誰一人として幸福度が下がった人はいなかった、というのが大きなポイントです。特に最初の6ヶ月で一気に上がって、そのあとはゆるやかに上昇が続く、という流れでした。
最初の6ヶ月で特に上がるんですね。でも、じゃあみんな同じくらい幸せになるんですか?
そこが面白いところで、「誰が特に幸福度が上がりやすいか」にも違いがあったんです。まず「心配性な人」、つまり不安を感じやすい性格の人ほど、幸福度の上がり幅が大きかったことが分かりました。経済的な不安が和らぐことで、特に効果が出やすいのかもしれませんね。
あ、それは納得です。私もわりと心配性なので…。他にはどんな人が効果大きかったんですか?
もう一つは「何事も面白がれる人」、つまり新しい経験に興味を持ちやすい性格の人です。お金に余裕ができたことで、新しいことにチャレンジしやすくなって、それが幸福感につながりやすいのかもしれません。さらに「自分で自分の人生を決めたい」という価値観が強い人も、幸福度の伸びが大きかったんです。
「自分で決めたい」タイプ、というのは具体的にどういうことですか?
シュワルツという研究者の価値観の分類で「自己決定(Self-Direction)」と呼ばれるもので、「自分の意志で選択・行動したい」という価値観です。ベーシックインカムがあると、仕事や生活の選択肢が広がって、自分で決める自由を実感しやすくなる。そういう人にとっては特に響きやすかった、ということのようですね。
じゃあ逆に、あんまり効果がなかったタイプの人はいたんですか?
注目すべき点として、「快楽主義」、つまり今この瞬間の楽しさや快楽を大事にする価値観が強い人は、生活満足度の伸びが比較的小さかったという結果が出ています。ただ、繰り返しになりますが、どのタイプの人も幸福度が下がることはなかった、という点は共通しています。
なるほど。でも、これって「お金があれば誰でも幸せ」っていう話と、どう違うんですか?
鋭いですね。この研究はあくまで「ベーシックインカムを受けた人たちの幸福度の変化を追った」ものです。比較対象のグループとの厳密な比較ではないので、「ベーシックインカムが原因で幸福度が上がった」と断言はできないんです。また、対象がドイツの特定の573人なので、他の国や文化に同じ結果が当てはまるかどうかも分かりません。研究の結果として「関連が見られた」という理解が正確です。
そういう限界もあるんですね。でも、心配性な自分にはちょっと希望の持てる話でした。何か日常生活でも活かせることってありますか?
そうですね。この研究から日常のヒントを引き出すとすれば、「経済的な不安を減らすこと」と「自分で選択できる場面を増やすこと」が、心配性な人の幸福感に関係している可能性があります。完璧な収入保障がなくても、固定費を見直して安心感を作ったり、小さなことでも自分で選ぶ機会を意識的に増やしたりすることが、ウェルビーイングにつながるヒントになるかもしれませんよ。
■ 今日のまとめ
- ドイツの573人を対象とした研究で、1年間のベーシックインカム(月1,000ユーロ)を受給した人の幸福度は全体的に上昇し、低下した人はいなかった。特に最初の6ヶ月で上昇幅が大きかった。
- 心配性な人(神経症的傾向)・新しい経験に開かれた人・自己決定を重視する人は、特に幸福度の伸びが大きい傾向があった。
- これはあくまで受給者を追跡した調査であり、因果関係の証明ではない。対象がドイツの特定グループのため、結果の一般化には注意が必要。
■ 出典・注意事項
- Malinkacristin Mitte et al.(Ernst-Abbe-Hochschule Jena / Humboldt-Universität), 'Who (Really) Wins with Basic Income: Personality and Values as Predictors of Happiness Trajectories', Journal of Happiness Studies, 2025/1/15. https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-024-00831-x
- 【注意事項】本研究は比較対照群との厳密な比較実験ではなく、受給者573人の幸福度変化を追跡した観察的パネル調査です。観察された変化はベーシックインカムとの関連を示すものであり、因果関係を証明するものではありません。
- 【注意事項】対象はドイツ在住の特定の参加者であり、異なる国・文化・経済状況への一般化には限界があります。
- 【注意事項】幸福度の測定にはWHO-5(過去2週間の気分・活力・睡眠・興味を問う5項目)が使用されており、特定の側面に限定された指標です。
研究自体の紹介はこちら😊
ベーシックインカムとウェルビーイング
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-01-23-1737669011/