2025.01.06

はぴテク相談室:男女平等とイルビーイング(不幸)の複雑な関係

相談者

最近、職場で女性活躍推進とかジェンダー平等の話が多くて、それ自体はいいことだと思うんですけど…なんか自分(男性・30代・収入低め)は逆に肩身が狭いというか、しんどくなってきてる気がして。気のせいですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

気のせいじゃないと思いますよ。実は27カ国・3万5千人以上のデータを分析した国際的な研究で、男女平等と「不幸せ」の関係はとても複雑だということが明らかになっているんです。まず、あなたの感覚と関係しそうな部分からお話しましょうか。

相談者

ぜひ聞かせてください。どんな研究なんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

香港大学のAraki先生らが2024年に発表した研究で、「主観的な不幸せ(人生満足度が10点中4点以下)」に着目しました。男女平等度の低い国ほど、全体的に不幸せな人が増える傾向があったんですが、特に影響が大きかったのが『低所得の男性』だったんです。

相談者

低所得の男性が特にしんどいというのは、どうしてなんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究では、男女不平等な社会では「男性は稼ぎ手であるべき」という社会的な期待が強くなるからだろうと考察されています。その期待に応えられないと、スティグマ――つまり「情けない」とか「失格だ」というような心理的なプレッシャーを感じやすくなる。その負担が不幸せに直結しているようなんです。

相談者

う〜ん、それ、すごく刺さります…。でも、じゃあ男女平等が進めば、その苦しさも減るってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

データ上はそういう傾向が見られました。男女平等度が高い国では、低所得男性の不幸せリスクが相対的に低かったんです。「稼ぎ手でなければ」というプレッシャーが和らぐからかもしれません。ただし、これは相関関係のデータなので、平等が進めば必ず幸せになれるとは言い切れないんですが。

相談者

なるほど。でも一方で、女性の場合はどうなんでしょう?女性も平等な国の方が幸せになるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ここが研究で一番驚きだった部分なんですが、女性は収入層によって結果がバラバラだったんです。高所得の女性は、男女不平等な国ほど不幸せが増えていたんですが、中所得の女性は逆に、男女平等が進んだ国で不幸せが増えるという結果が出たんです。

相談者

え、平等なのに不幸せが増える!? それはどういうことなんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究自体も「難解な結果」と認めていて、断定はしていません。一つの見方として、研究紹介をしていた専門家は「不幸せな職場が多い社会で、働く人が増えるほど不幸せも広がる可能性がある」と述べていました。つまり、平等に働く機会が広がっても、働く場所自体がしんどければ、その影響を受ける人が増えてしまうかもしれない、ということですね。

相談者

なるほど…。じゃあ、男女平等を進めるだけじゃダメで、職場環境そのものも変えていかないといけないってことですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そう、その通りだと思います。研究の示唆としても、ジェンダー平等の促進と、職場をウェルビーイングの高い場所にしていくことは、両輪で進める必要があるんじゃないかと感じますよね。あなた自身も、今の職場の空気感とかプレッシャーの出どころを少し振り返ってみると、何かヒントがあるかもしれませんよ。

相談者

そうですね。「稼がなきゃ」っていうプレッシャー、自分の中にも社会からも来てると感じます。それが「ジェンダー規範」って呼ばれるものなんですね。ちょっと客観的に見られるようになった気がします。

はぴテクさん
はぴテクさん

それは大事な気づきです!自分の苦しさが「個人の弱さ」じゃなくて、社会的な構造からも来ているかもしれないと知るだけで、少し楽になることがありますよね。ちなみに、デンマークのような国では収入による不幸せの差がほとんどないというデータもあって、社会の仕組みが個人の幸せに大きく関わっているのは確かなようです。

■ 今日のまとめ

  • 低所得の男性は、男女不平等な社会において「稼ぎ手であるべき」というプレッシャーが強まり、不幸せを感じやすいという傾向が27カ国のデータで示されました。
  • 男女平等が進むことで低所得男性の不幸せリスクが下がる傾向がある一方、女性の場合は収入層によって結果が異なり、中所得女性では平等な国ほど不幸せが増えるという複雑な関係も見られました。
  • 男女平等を進めることと、職場そのものをウェルビーイングの高い場所にしていくことは、両方同時に取り組むことが大切だと示唆されています。

■ 出典・注意事項

  • Araki et al. (2024). Low Income, Ill-being, and Gender Inequality: Explaining Cross-National Variation in the Gendered Risk of Suffering Among the Poor. Social Indicators Research. https://doi.org/10.1007/s11205-024-03358-z

  • 【注意事項】本研究はヨーロッパ社会調査(ESS)および世界価値観調査(WVS)の既存データを用いた多レベルロジスティック回帰分析によるものであり、相関関係の分析です。男女平等度が不幸せを直接引き起こす・防ぐという因果関係が証明されたわけではありません。

  • 【注意事項】分析対象は27カ国・主にヨーロッパ圏のデータが中心であり、日本を含む全ての国や文化に同様の結果が当てはまるとは限りません。

  • 【注意事項】「不幸せ(イルビーイング)」はキャントリルの梯子(0〜10点)の0〜4点と定義されており、幸福度全般を測るものとは異なります。

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

研究自体の紹介はこちら😊
男女平等とイルビーイング(不幸)の複雑な関係
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2025-01-06-1736200806/

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