はぴテク相談室:利他的なお医者さんは、医療の質が高く、無駄もない❗
最近、病院にかかることが多くて気になってるんですが…担当のお医者さんによって、なんか全然違うなって感じることがあって。親身にしてくれる先生だと、なんか安心するし、ちゃんと良くなる気がするんですよね。これって気のせいなんでしょうか?
気のせいじゃないかもしれませんよ!実は2024年にアメリカの医学誌「JAMA Health Forum」に載った研究で、まさにそのことを調べたものがあるんです。250人のお医者さんと7600人以上の患者さんのデータを使った研究なんですが、「患者さんを第一に考える利他的なお医者さん」と「そうでないお医者さん」で、患者さんの医療の結果に違いがあるかどうかを調べたんです。
へえ!「利他的なお医者さん」って、どうやって判断するんですか?アンケートとか?
面白い方法を使っていて、「独裁者ゲーム」という経済学の実験なんです。簡単に言うと、「あなたはお金を持っています。相手にいくら分けますか?」という選択をしてもらうゲームです。自分のことより相手を優先する選択をするお医者さんを「利他的」と分類しました。全体の18%、45人のお医者さんが「利他的」と判断されました。
なるほど!で、その利他的な先生に診てもらうと、実際に何が変わったんですか?
結果がかなり印象的でして。利他的なお医者さんに診てもらった患者さんは、「本来防げたはずの入院」が約38%少なく、「本来防げたはずの救急外来への受診」が約41%少なかったんです。さらに医療費も約9%低かったという結果でした。ただし、これは横断的研究、つまり「ある時点を切り取ったデータ」なので、利他的だから良い結果になった、と断言はできないんですが、注目に値する関連性だと思います。
すごい差ですね!でもなんで利他的な先生だと、入院や救急が減るんでしょう?
研究では直接の理由まで掘り下げてはいないんですが、考えられる背景としては、患者さんをしっかり診て、予防的なケアや細かな対応を丁寧にしてくれることで、悪化する前に手を打てているのかもしれません。親身に話を聞いてもらえると、患者さん側も早めに相談しやすくなるという可能性もありますよね。ただ、あくまで「関連がある」という研究なので、この点は慎重に見る必要があります。
確かに、親身な先生だと「あ、ちょっとこれ聞いてみよう」ってなりますよね。でも、先生方もすごく大変そうで…利他的であり続けるって、しんどくないんでしょうか?
すごく大事なところに気づきましたね。実はそれが現場でよく起きていることで、最初はすごく患者さんのために頑張れるんですが、過度に自分を犠牲にし続けると、心が折れてしまうことがあるんです。医療系・教育系のお仕事の方に特に多いパターンです。
あ、先生や保育士さんとかでも聞きますよね、燃え尽きるって。
そうなんです。「燃え尽き症候群」というやつですね。利他的であろうとする気持ちが強いほど、自分のウェルビーイング(心身の健康や幸福感)がおろそかになってしまいがち。そうすると、最終的には利他性そのものも失われてしまうという皮肉な結果になってしまいます。だからこそ、まず自分自身のウェルビーイングを大切にした上で、人に与える、という順番がとても重要なんです。
「まず自分を大切に」って、なんか自己中みたいで言いにくい気がしてたんですが、そういう意味があるんですね。
おっしゃる通りで、「自分を大切にする=わがまま」ではなくて、「自分を整えてこそ、人を助ける力が持続する」ということなんです。飛行機の中で「まず自分の酸素マスクをつけてから、周りを助けてください」って言いますよね。あれと同じイメージです。長く利他的でいるためにも、自分のコンディションを保つことが土台になるんです。
その視点、なんか目からウロコです。お医者さんを選ぶときも、なんとなく「感じのいい先生がいいな」って思ってたのが、データ的にも意味があることだったんですね。
そうですね。「なんとなく親身に感じる」という直感は、あながち間違いじゃないかもしれません。研究では米国のメディケア(高齢者・障害者向け公的保険)の患者さんを対象にしているので、日本の状況に直接当てはまるかどうかは分からない部分もありますが、「患者さんを大切に思う気持ちが医療の質に関連している」という視点は、とても示唆に富んでいると思います。
ありがとうございます!お医者さんへの見方も、自分自身の「利他と自分を大切にする」バランスについても、すごく考えさせられました。
こちらこそ、良い気づきをシェアしてくれてありがとうございました。誰かのために頑張りたいという気持ちは素敵なことです。ただ、その前に自分のウェルビーイングをしっかり土台にすること。それが長続きする利他につながる、ということを今日のお話のポイントとして持ち帰ってもらえたら嬉しいです😊
■ 今日のまとめ
- 利他的なお医者さん(患者を優先する姿勢が強い医師)に診てもらった患者さんは、予防可能な入院が約38%、救急外来受診が約41%少なく、医療費も約9%低いという関連が研究で示されました。
- ただしこれは横断的研究(ある時点のデータ)であり、「利他的だから良い結果になった」と因果関係を断言できるものではありません。あくまで関連性として捉えることが大切です。
- 利他的であり続けるためには、まず自分自身のウェルビーイング(心身の健康)を大切にすることが土台になります。自分を犠牲にし続けると燃え尽きてしまい、利他性そのものが失われてしまう可能性があります。
■ 出典・注意事項
- 出典:Physician Altruism and Spending, Hospital Admissions, and Emergency Department Visits / JAMA Health Forum, 2024年10月11日 / https://jamanetwork.com/journals/jama-health-forum/fullarticle/2824419
- 【研究の限界・注意事項】この研究は横断的研究(ある時点のデータを分析)であるため、利他主義と医療成果の間に『関連がある』ことは示されていますが、因果関係(利他的だから良い結果になった)を証明するものではありません。
- 対象はアメリカのプライマリケア医・心臓専門医と、メディケア(主に高齢者・障害者向け公的保険)の患者に限定されており、日本を含む他の国や医療制度、他の診療科への一般化には慎重な解釈が必要です。
- 利他的と判断された医師は全体の18%(45人)と少数であり、サンプルサイズの限界も考慮する必要があります。
研究自体の紹介はこちら😊
利他的なお医者さんは、医療の質が高く、無駄もない❗
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-10-23-1729719569/