はぴテク相談室:幸せでない組織は、組織変革に抵抗する
最近、会社で大きな組織変革が始まったんですけど、周りの同僚たちがなかなか変化を受け入れてくれなくて…。どうしたらいいか悩んでいます。
それは悩ましいですね。実は2024年に発表されたばかりの研究で、まさにそのテーマが扱われているんです。マレーシアのエネルギー産業で働く313名を対象にした調査なんですが、「組織変革への抵抗」と「従業員の心理的ウェルビーイング(心の健康や幸福感)」には、はっきりした負の相関があることが分かったんです。
負の相関…?つまりどういうことですか?
簡単に言うと、「職場で幸福感や満足感が低い人ほど、変革に抵抗しやすい」という関係が見られたということです。逆に幸福感が高い人は変革を受け入れやすい傾向がある、ということですね。ただし、これは相関関係であって、「幸福感が低いから抵抗する」という因果関係が証明されたわけではない点は大事なポイントです。
なるほど。確かに、最近職場の雰囲気がギスギスしていて、みんなあまり余裕がなさそうで…。それが変革への抵抗にも影響しているのかもしれませんね。
まさにそのとおりだと思います。研究では「心理的レジリエンス」という概念も重要な役割を果たしていることが分かりました。レジリエンスというのは、困難な状況にぶつかっても、しなやかに回復・適応できる力のことです。このレジリエンスが高い人は、変革のストレスを乗り越えて、心の健康も保ちやすいし、組織のためにプラスの行動(自発的な協力など)も取りやすいという関係が見られたんです。
レジリエンスを高めるって、具体的にはどうすればいいんでしょうか?
この研究では、従業員への「簡単なコーチング」がレジリエンスを高める手段として提案されています。職場でお互いの強みを認め合ったり、小さな成功体験を積み重ねたりすることが、しなやかな心を育てる土台になりますよ。
職場全体として何かできることはありますか?同僚だけじゃなくて、上司や会社の姿勢も関係しそうで…。
鋭いですね!研究では「知覚された組織的支援」、つまり「会社や組織が自分をサポートしてくれている」と従業員が感じることが、変革と心の健康をつなぐ重要な橋渡しになることも分かっています。会社が自分たちのことを気にかけてくれていると感じると、変革への抵抗感が和らぎ、幸福感も維持しやすくなる傾向があるんです。
会社が従業員を大切にしているって感じさせることが大事なんですね。でも、うちの会社はあまりそういうことを発信してくれなくて…。
そこで研究が提案しているもう一つのポイントが「透明性の向上」です。変革に関する意思決定のプロセスや理由をオープンにすることで、従業員の不安や疑心暗鬼を減らせるとされています。「なぜ変わるのか」「どう変わるのか」が見えないと、人は不安から抵抗しがちになりますよね。
確かに!変革の背景をちゃんと説明してもらえると、受け入れやすくなりますよね。リーダーの役割も大きそうですか?
はい、研究ではリーダーを「変革の担い手(チェンジエージェント)」として位置付けることも重要だと示されています。リーダー自身が変革の意義を体現して、率先して動く姿勢を見せることが、チーム全体の雰囲気を変える力になると考えられています。
なんだか、変革を進める前にまず職場の土台を整えることが大事なんですね。焦って変革を進めるより、一人ひとりの幸福感やレジリエンスを育てることが先決な気がしてきました。
その感覚はとても大切だと思います!この研究が示していることをまとめると、変革を成功させるには「人の心の状態」が深く関わっているということなんです。幸福感・レジリエンス・組織への信頼感、この三つが土台にあると、変革にも前向きに向き合いやすくなる傾向が見られています。ただし、今回の研究はマレーシアのエネルギー産業という特定の場所・業種での調査ですので、すべての職場に同じことが当てはまるとは限らない点は頭に置いておいてくださいね。
■ 今日のまとめ
- 組織変革への抵抗と心理的ウェルビーイング(幸福感)には負の相関があり、職場の心の健康が変革の受け入れやすさと関係している可能性がある(ただし因果関係は未確認)。
- 心理的レジリエンス(困難への適応力)と、組織からサポートされているという実感が、変革と心の健康をつなぐ重要な橋渡しになることが示された。
- 変革を進める際は、①意思決定の透明性を高める、②リーダーが変革を体現する、③従業員のレジリエンスをコーチングなどで育てる、という三つのアプローチが有効だと提案されている。
■ 出典・注意事項
- 出典:Resisting organisational change? Psychological resilience and perceived organisational support as mediators in promoting psychological well-being and organisational citizenship behaviours, The International Journal of Wellbeing, 2024/10/8. https://internationaljournalofwellbeing.org/index.php/ijow/article/view/3501
- 注意①:本研究は相関研究であり、「幸福感が低いから変革に抵抗する」という因果関係が証明されたものではありません。
- 注意②:対象はマレーシアのエネルギー産業に属する従業員313名に限定されており、他の国・業種・文化的背景の組織にそのまま一般化できるとは限りません。
研究自体の紹介はこちら😊
幸せでない組織は、組織変革に抵抗する
https://wellbeing-archive.pages.dev/posts/2024-10-10-1728597603/